大食い生体実験系?(4)~脅威の梨パワー・前編~
これまで6週にわたり、「元祖!大食い王決定戦」(TV東京)に登場する大食い選手の強さの秘密について、検証を重ねてまいりました。第1項の「胃ヂカラ」が思わぬ分量になってしまいましたので、第2項の咽喉ヂカラに行く前に、少し気分転換をしたいと思います。ここでは、2008年9月30日放送の番組のロケ回想記を兼ねて、梨の効能について考えてみたいと思います。
番組をご覧になった方は御存知のことと思いますが、今大会の一回戦は、市川の伊藤園で行われた「幸水梨・45分勝負」でした。私もスタッフと一緒に試食させてもらいましたが、この梨はとても甘味が強くて酸味が少なく、その美味しさは感動的ですらありました。
番組の撮影が始まり、選手一同がカメラとともに梨の木の下を歩くシーンがありました。そのとき、司会の中村有志さんが一回戦の食材を選手に伝えた後、ある選手に感想を尋ねました。すると、開口一番、返ってきた答えは、
「お腹こわさないかなぁ?」でした。
その瞬間、当コラムでもお馴染みの内山慶祐ディレクターから
「そのコメント、使えないっ!」
と、矢のような素早さでダメ出しのお声が上がりました。
食べ物を扱う番組たるもの、「下す」だの「戻す」といったことを匂わせる発言は一切NGだという、全国ネット放送局の番組制作における厳然冷徹たるハードルの高さを、毎度のこととはいえ、私はこのひとコマで痛切に感じたのでした。
しかし、このシーンを撮った1~2時間後には判明するのです。この選手の口から反射的に飛び出したコメントこそ、実はこの後に起こることを最も的確かつ簡潔に表現した文章だったのです。
この試合で最も多くの梨を食べたのがドクターこと西川廣幸さんの32個、最も少ない人でも23個(4名同点)でした。私も含め、普通なら1日に梨をどんなに多く食べたとしても、せいぜい2個か3個といったところではないでしょうか。
そして、試合終了の瞬間から、選手たちが続々とトイレに駆け込み始めました。
「試合途中から結構きてました」「緩くて緩くて、今けっこう凄いことになってます」
など、出てきた選手の会話からは、20個~30個レベルの数の梨が与える非常に即効性のある抗便秘・排便促進効果がうかがえました。中でも最高に面白かったのは、
「これってホンマ、大腸ファイバーの前処置みたいですわ・・・」
という、医学部を卒業して晴れて医師となり、初期研修でちょうど消化器内科をまわったばかりというドクター・西川選手の一言でした。
そうこうしているうちに私にも来ました。そして、スタッフにも・・・。ロケ終了後、「すでに剥いてしまった梨は売り物にもならないし、生ものなので、余っては困る」と伊藤園の主人に言っていただいていたこともあり、スタッフ一同みんな結構張り切って梨を食べまくっていたのです。1人5個以上はみんな食べたのではないでしょうか。多く食べた人ほど即トイレ・・・という感じでしたが、さすがに20個も食べるほどの「胃ヂカラ」はスタッフにはありませんので、選手がいうような「凄いこと」にはならずに、ちょうど良い感じの快便といったレベルで止まりました。
一体、どうしてこんなことになったのでしょうか。これを知るには、医学部でも習うところの「下剤(いわゆる便秘薬)の作用機序」について考えてみると良いでしょう。これについては次週、わかりやすく解説したいと思います。





