東京タレントナビ - タレコラ

Dr.片山晴子 RSS Feed

金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2008/10/31

徹底検証?! 大食いの資質(6)・・・胃ヂカラ・胃腸パワー編

ここまで「元祖!大食い王決定戦」(テレビ東京)にみる大食いの資質を考えてきました。一人で何十人分もの食べ物を胃に収めることのできる人々の体の神秘を、項目別に検証してきました。

そんな大食い競技の参加者の資質として先週取り上げた「膨張率」は、多少の例外はあるものの、基本的には若い選手が有利と考えられる項目でした。そして、本日のテーマ「胃腸のパワー」もまた、若さが重要な役割を果たす項目です。今回は、当番組を二度制覇した経験を持つ元キングこと、山本卓弥さん(169cm55kg)を例に考察してみたいと思います。

d.) 消化吸収能力の高さ

胃酸の分泌は、年齢が上がるとともに減少するとされています。腸管での吸収能力もまたしかりです。従って、一般論としては若い人の方が消化吸収能力は高いと考えられています。

e.) 胃腸の蠕動(ぜんどう)運動の強さ

2005年に始めて当番組のロケに帯同して以来、色々な選手のおなかに聴診器をあててきました。その中でも、このグルグルと鳴る腸音の強さ(グル音亢進)という要素が一番強い選手こそ、この山本卓弥さんです。
 
先々週の連載でも述べたとおり、座高はそこそこあるのに肩幅のない山本卓弥さんは、ジャイアント白田さんやドクター西川さんに比べて、胴体(ひいては腹腔)の容積は小さいと考えられます。その上、男性である彼には、高橋実桜さんのような「驚異の膨張率」を期待するのも現実的ではありません。

そんな山本卓弥さんがこれらのハンデを克服するための武器の一つが、「胃腸の蠕動(ぜんどう)力」です。

食べ物が胃に入り、胃酸の分泌が進むと、胃はその胃酸と食べ物を混ぜようとして、うねるような蠕動運動を開始します。そして、幽門を開けて食べ物を十二指腸に送り出すのも、蠕動のチカラです。さらに、十二指腸から小腸へ、小腸から大腸へと送り出すのも、これまた蠕動です。胃腸の蠕動が強ければ、食べ物の消化により胃の中を整理整頓したり、内容物を早く腸へ送り出すことにより、胃に余剰スペースを作ることが可能です。胃腸のパワーが強いというのは、そういう意味です。この観点での山本卓弥さんはまさに無敵の存在で、神から与えられたこの類(たぐ)い稀(まれ)なる胃腸のパワーを武器に、テレチャン世代の体格の良い選手たちと互角以上の戦いを展開してきたという構図が浮かび上がってきます。

本大会の参加選手が必ずしも腸のチカラの強い人ばかりではないということが、医学的見地からは当初とても意外でした。実は、テレチャン世代の二人(白田・西川)は、あくまでも他の出場選手との比較においてですが、どちらかというと腸のグル音がそんなに亢進していない部類に入ります。それに引き換え、「大食い第3世代」と呼ばれる選手たちには、腸の蠕動が比較的強い人が多い印象があります(これも例外はありますが)。これもまた『大食いの資質』の一角である可能性があります。「天は二物を与えず」と言われますが、大食い選手についても例外ではないのかもしれません。