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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2008/10/24

徹底検証?! 大食いの資質(5)・・・胃ヂカラ・膨張率編

「体格が大きい」ということが、大食い競技を有利に進めるための天賦の資質であることは間違いないでしょう。それとは逆に、体格面でのハンデを背負った小柄な選手は、それに対抗する資質を有しているはずです。その1つが「体脂肪率の低さ」であることを、前回のコラムで説明しました。そして今回は、前回の後半部と少し重複しますが、「膨張率」について、高橋実桜さんなどを例に挙げながら、考えてみたいと思います。

c.)腹壁の伸縮力
一般論として、皮膚や胃に限らず、人体の組織はそもそも、若い人ほど伸縮率が高いと考えられています。新しいゴムは弾力があって伸び縮みしやすいのに対し、古いゴムは引っ張るとすぐ切れてボロボロになってしまい、伸縮力も強度も極端に落ちることを思い出すと良いでしょう。だからこそ人間社会では、肌の張りやツヤ、顔のシワなどを、若さを推定するための重要な指標として採用しているのです。この理屈を胃腸の伸び縮みにもあてはめて良いのかどうかはともかく、「大食いは原則として若い人の方が有利」という事に関しては、異論は少ないと思われます。

それでも、例外は多数あります。かつての「TV(テレビ)チャンピオン」の女王・赤阪尊子さんの現役時代に始まり、最近すっかり女帝の貫禄がついた大食い魔女・菅原初代さん、今大会で大躍進を見せた期待の新星・梅村鈴さんなど、「20歳代前半」というカテゴリーを大きく踏み越えた(?)選手の活躍がそれを示しています。当番組で活躍する三十路・四十路越えの選手たちに共通する特徴は、彼女たちが年齢の割には肌ツヤが良く、「見た目の肌年齢」が生物学的年齢を大きく下回っているということです。あの赤阪さんの肌のハリとツヤにも、これまた毎回驚かされます。これらはテレビで見てもわかる事項ですが、ロケ現場で実際に会うたびに感じることでもあります。これもまた、大食い番組を見る上でのチェックポイントの1つです。

さらに、女性は妊娠出産の可能性があるためか、男性に比べて腹壁の伸び率が高いと考えられます。それが、上背のない小柄な女性の場合、「驚異の膨張率」とも言うべきパーフォーマンスとなって現れます。体格のハンデを膨張率で克服するタイプの代表格といえば、今大会でも準々決勝進出の大健闘を果たした「ひみつのミオちゃん」こと、高橋実桜さん(150cm)です。

最近、あるイベントで高橋実桜さんの大食い姿を見たジャイアント白田さんは、思わずこうつぶやいたそうです。

 「現役時代のオレに、この膨張率があったなら・・・」

その大柄な体格と頭脳的戦略を武器に、十数キロもの胃の容量を引っさげつつ大食い界の第一人者として君臨し続けた王者は、自分には無い資質をこの150cmのたおやかな女性に見出しては、贅沢なため息をつくのでありました。

ちなみに、今回のロケでは、やはり高橋実桜さんの「驚異の膨張率」について、選手間の話が盛り上がっていました。
「私、昔から皮膚がよく伸びる方なんですよね~」
などと言いながら、彼女はロケバスの後部座席で実演を始め、顔や二の腕の皮膚などをあちこち引っ張って見せていました。それが、他の選手の学問的な好奇心を呼び起こしたようで、何だか少し学究的な雰囲気もあった不思議なロケ風景でありました。