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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2008/06/20

「副作用のない薬はない」・・・大食いの場合 (結論2)

ドイツのプロサッカー選手の薬害 ( 消炎鎮痛剤の過剰服用に伴う腎不全 ) に関するドイツの新聞記事からの考察の続きです。今回は、( 結論2 )について考えてみたいと思います。

( 結論2 ) プロ選手が内服する鎮痛剤の量は、一般人の内服量よりもはるかに多い。それは、そもそもプロ選手の運動量が、一般人の趣味としてのスポーツのレベルとは桁違いだからである。両者は厳格に区別されるべきものである。過剰なスポーツが体に悪いのは当然だが、それを生業としている人間もいる。

「元祖!大食い王決定戦」はすでに、6キロ級の胃袋を持っていないと本選に出場できない時代に突入しました。2007年秋のジャイアント白田さんや山本卓弥さんは、10kg級の胃袋同士を戦わせていました。ちなみに、高校の硬式野球部などでも、「どんぶり飯を何杯以上」などといった食事のノルマを指導者が課すケースが増えました。しかし、そんな野球部員の食事ノルマも、キロに換算したら、どう頑張っても一食あたり2〜3kgにしかなりません。昨今の大食いは、もはや体育会系クラブ活動の延長で手に届くレベルでは無くなったということです。

ブンデスリーガーの選手に、「だったらサッカー辞めたらいいじゃん」と言うことは簡単です。それができていたら、彼も腎不全にはならずに済んだでしょう。ブンデスリーガーが「男の子の夢」でありつづける国・ドイツにおいて、サッカーの人気はとにかく半端ではありません。日本における野球に匹敵、ないし、それ以上とも言えるでしょう。スポーツ競技は、そのポピュラリティーを増せば増すほど、その不健康度も増すという宿命にあることを、この記事は警告しています。

ちなみに、今回取り上げたドイツの記事本文では、「薬の効果・副作用には個人差がある」という内容はありますが、「同じプロ選手であっても、同じ量や激しさの運動を課した場合の怪我のしやすさや痛みへの耐性もまた、個人差がある」という視点での言及がありませんでした。

野球を例に挙げれば、昔の軍隊も顔負けの尋常ならざる激しいトレーニングを課せられてもケロッとこなす選手もいれば、同じことをしたらあっという間に壊れてしまうような選手もいます。

薬剤の副作用への注意喚起も大事ですが、そもそも、その選手に合うトレーニング内容ないし、試合での起用法をこれまで本当に実践してきたのかを同時に検証しないと、この件も含めたブンデスリーガー全体の抱える真の問題点は整理できないはずなのです。薬害そのものは大変気の毒ですが、同じような被害を防ぐためには、薬剤の処方やモニタリング体制のみならず、「運動の処方」についても見直すことが重要ではないかと思っています。

来週は、(結論3)について考えてみましょう。

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