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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2008/06/13

「副作用のない薬はない」・・・大食いの場合(結論1)

先週は、ドイツのプロサッカー選手の薬害を取り上げた地元新聞記事から、結論部分を3点ほど抽出しました。今週から、大食い関連の単語と入れ替えを進めつつ、この3点について考察を加えていきます。このコラムが掲載される頃、ドイツもサッカーのヨーロッパ選手権の期間と重なります。こちらはまさに、国を挙げてサッカーフィーバーで大いに盛り上がっていることと思います。今回、「元祖!大食い王決定戦」(TV東京)が2005年以降放送してきた大食い競技の本質ないしその側面を、ドイツのサッカーというタイムリーなネタに載せて語るのも、悪くないかもしれません。

ポイントは、単語を次のように入れ替えることです。
「スポーツ」「競技生活」→「大食い」「大食い人生」
「痛み」→「太ること」「肥満」
「薬剤」「鎮痛剤」→「生活習慣・運動習慣といった人為的工夫」
「副作用」→「大食い生活の長期化に伴う身体的ダメージ」

(結論1) スポーツを生業としている人間 (以下、プロ選手とする) は、競技生活に必然的に伴う痛みを抑え込むことで、長期的に内臓に後戻りの出来ないダメージを負わせている可能性が常にある。 薬剤の効果には個人差があり、同じ量の薬を飲んでも持続時間・効力・副作用は同じにはならないが、副作用のない薬剤など存在しない。

まず、冒頭を「大食いを特技としている人間」と規定します。「大食いを生業とする人間」だと、非タレントの選手が含まれなくなってしまうため、敢えて本稿では「大食い選手」に統一します。大食い選手は、大食い生活に必然的に伴う肥満のリスクを回避するための生活習慣・運動習慣といった人為的工夫と引き替えに、血液や筋・骨・歯ないし臓器に後戻りのできないダメージを負わせている可能性があると、この文章は語っています。

医師は常に、薬のプラス効果(薬効)とマイナス効果(副作用)を天秤にかけて、プラスがマイナスを上回ると判断した場合にのみ、しかるべき量の薬を処方する・・・これこそ、医学部のカリキュラムでもかなり早い段階で扱われる、医学の基本中の基本原則です。薬剤の効果と副作用との関係は、コインの表と裏のようなものです。

原則として、薬剤の副作用は、速やかに薬剤を中止すれば治まるとされています。大食い選手の場合、大食いによる副作用の発現を調節するための生活習慣や運動習慣が、長期的には思わぬ身体のダメージに結びつくことを常に懸念しなければなりません。具体的な身体症状としては、唾液腺の肥大、血液の電解質異常、骨・歯のトラブルなどが挙げられます。薬剤の副作用と同様に「やめれば治る」性質のものがメインですが、ダメージが永久歯や骨梁のような再生しない組織に及んだ場合は、「後戻りできないダメージ」という表現が当てはまることになります。

この調子で、来週は(結論2)について検討してみます。
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