2008/06/06
「副作用のない薬はない」ドイツ・ブンデスリーガーの場合
ドイツはすっかり初夏となり晴天が続き、いい季節になりました。どちらの方角を向いても、テラスでのコーヒーブレイクや庭でのバーベキューを楽しむ人ばかりです。こちらも負けじとカフェオレ片手に地元新聞をパラリとめくったら、なかなか興味深い記事に遭遇しました。
「副作用のない薬はない」というタイトルの下に、転倒したサッカー選手の足と、白い錠剤の写真が載っています。どうも、ドイツのブンデスリーガー(プロのサッカーリーグ ) の選手が、長年の消炎鎮痛剤の連用から腎不全を発症したという衝撃的なニュースを受けての長文解説記事のようです。消炎鎮痛剤の開発の歴史からラインアップ、さらにメカニズムから副作用に至るまでを詳しく解説し、さらに医師のコメントを添えてあります。
あまりに長文なので、結論だけ簡単に抜き出し、以下に箇条書きにしてみました。
( 結論1 ) スポーツを生業としている人間(以下、プロ選手とする)は、競技生活に必然的に伴う痛みを抑え込むことで、長期的に内臓に後戻りの出来ないダメージを負わせている可能性が常にある。 薬剤の効果には個人差があり、同じ量の薬を飲んでも持続時間・効力・副作用は同じにはならないが、副作用のない薬剤など存在しない。
( 結論2 ) プロ選手が内服する鎮痛剤の量は、一般人の内服量よりもはるかに多い。それは、プロ選手の運動量が一般人の趣味としてのスポーツのレベルとは桁違いだからである。両者は厳格に区別されるべきものである。過剰なスポーツが体に悪いのは当然だが、それを生業としている人間もいる。
( 結論3 ) 痛みには、ちゃんと意味がある(筆者注:痛みが当該箇所のダメージを警告しているということ)。その点は、プロ選手でも一般人でも同じである。痛み自体を仮に除去したところで、その続き(筆者注:そのダメージ?あるいは全く別の苦しみ?)が現れるだけのことである。
読み進めながら、これは話が大食いに似ているように思いました。「サッカー」「スポーツ」といった単語を「大食い」などと置き換えつつ文章を読み進んでいったら、何と、立派に理屈が通っていくではありませんか。そして、一通り読み終わると、大食いの世界の別の側面を言い当てられたような記事に見えてくるのです。
それでは、来週から、その読み替えにチャレンジしてみることにしましょう。
参考記事
"Harmlose Arzneimittel gibt es nicht": Frankfurter Rundschau、2008年5月10日、 (109号)、14-15頁
「副作用のない薬はない」というタイトルの下に、転倒したサッカー選手の足と、白い錠剤の写真が載っています。どうも、ドイツのブンデスリーガー(プロのサッカーリーグ ) の選手が、長年の消炎鎮痛剤の連用から腎不全を発症したという衝撃的なニュースを受けての長文解説記事のようです。消炎鎮痛剤の開発の歴史からラインアップ、さらにメカニズムから副作用に至るまでを詳しく解説し、さらに医師のコメントを添えてあります。
あまりに長文なので、結論だけ簡単に抜き出し、以下に箇条書きにしてみました。
( 結論1 ) スポーツを生業としている人間(以下、プロ選手とする)は、競技生活に必然的に伴う痛みを抑え込むことで、長期的に内臓に後戻りの出来ないダメージを負わせている可能性が常にある。 薬剤の効果には個人差があり、同じ量の薬を飲んでも持続時間・効力・副作用は同じにはならないが、副作用のない薬剤など存在しない。
( 結論2 ) プロ選手が内服する鎮痛剤の量は、一般人の内服量よりもはるかに多い。それは、プロ選手の運動量が一般人の趣味としてのスポーツのレベルとは桁違いだからである。両者は厳格に区別されるべきものである。過剰なスポーツが体に悪いのは当然だが、それを生業としている人間もいる。
( 結論3 ) 痛みには、ちゃんと意味がある(筆者注:痛みが当該箇所のダメージを警告しているということ)。その点は、プロ選手でも一般人でも同じである。痛み自体を仮に除去したところで、その続き(筆者注:そのダメージ?あるいは全く別の苦しみ?)が現れるだけのことである。
読み進めながら、これは話が大食いに似ているように思いました。「サッカー」「スポーツ」といった単語を「大食い」などと置き換えつつ文章を読み進んでいったら、何と、立派に理屈が通っていくではありませんか。そして、一通り読み終わると、大食いの世界の別の側面を言い当てられたような記事に見えてくるのです。
それでは、来週から、その読み替えにチャレンジしてみることにしましょう。
参考記事
"Harmlose Arzneimittel gibt es nicht": Frankfurter Rundschau、2008年5月10日、 (109号)、14-15頁