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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2008/05/30

大食い新世紀?!藤岡発言編〜元祖!大食い王決定戦・追記

3年間にわたる大食い番組全般の放送自粛を経て、「元祖・大食い王決定戦」(TV東京)は2005年春に放送が再開されました。そして今春、ハワイの女王戦における菅原初代さんの優勝により、当番組は大きなターニングポイントを迎えたと言えるでしょう。しかし、その転機の前触れは、実は以前にも1度ありました。

当番組は再開当初、試合毎に違う芸能人をゲストに招いていました。そして2005年秋の大会、北海道・中標津で行われた「バーベキュー30分勝負」において、馬にまたがり颯爽と現れたゲストこそ、かつての仮面ライダー役でも有名な俳優・藤岡弘さんでした。

それまでも、白衣を着て撮影に参加する私に、ゲストの方々は色々と質問して来られました。その中でも、大食い観戦に取り組む真剣さについては、藤岡さんが随一だったと思います。あの独特かつ魅惑の低音ボイスで、核心を突く質問を次々と繰り出してくるのみならず、大食い選手に対する共感をベースに競技への理解を蓄積していくその手法は、あまりにも見事でした。それもこれも、おそらく藤岡さんが御自身の人生経験の中から独自に築き上げられたものなのでしょう。患者さんと向き合う「医師」という職業に就く者として、本当にいい勉強をさせていただいたと思っています。

その藤岡さんですが、ロケ終了後の大食い選手たちとの別れ際に、次のように発言されました。

「きみたちのその勝利に懸けるエネルギーは素晴らしい。その力を是非、社会の人々のために役立てていって欲しい」

このコメントで、選手一同やスタッフから「おぉ〜っ!」「元・仮面ライダーは、さすがに言うことが違うぜっ!」などの声があがり、現場は大変な盛り上がりを見せました。しかし、この一連のシーンは、カメラが回っていたにもかかわらず、残念ながらオンエアされませんでした。「大食いの社会貢献」というのは、ちょっと話が大きくなりすぎたようです。

あの藤岡発言から2年半、時代はすっかり変わりました。ギャル曽根さんのタレント転向から火がついた大食いブームは最近、バラエティの一種としていささか露出過剰のジャンルとなった感さえあります。

しかし、藤岡発言の真の意義は、大食いを純粋に競技(スポーツ?)として捉え、競技自体の面白さで観客を楽しませるという本質の部分に言及したことにありました。そして、菅原初代さんの近年の大活躍の最大の功績は、バブル気味になったバラエティとしての大食いを、その本来(?)の姿に引き戻したことにあると思うのです。大食い競技が実際にスポーツと言えるかどうかは別の稿に譲るとして、スポーツの大会並に正々堂々とルールに則った番組作りをすることでしか、今のバブルを乗り切る方法は無いということを、過去の3年間の放送自粛という辛酸をなめた零クリエイトを始めとする制作サイドが一番骨身に染みているはずなのです。

そういえば今大会では、司会の中村有志さんがハワイでの移動中に菅原さんに聞いていた質問も、これまた印象的でした。
 「大食いは菅原さんの人生にとってどんな意味があるの?」

大食い番組の司会では第一人者といっても良いであろう中村有志さんもまた、社会貢献とまではいかなくても、藤岡発言にも共通する独自の強い想いを大食い選手に抱いているようでした。そして、今大会では今まで以上に、大食いの原点への回帰とその描写という点を強く意識した実況をされていた・・・そのように私は理解しています。