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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2016/12/30

FLUCTUAT NEC MERGITUR…「今年の三大事件」で振り返る2016年

全日本フィギュアも閉幕し、早いもので2016年もあと数日を残すのみとなりました。今年も無事に連載を継続することができてホッとしています。さて、今週は、今年一年間で特に印象に残った出来事ないし思い出のうち3つほど、IBC岩手放送公式キャラクターのオラ君の成長(?)とともに写真で振り返りつつ、今年のコラムを締めくくりたいと思います。題して、「オラ君の今年の三大事件」です!

第3位:同時多発テロ一周年のパリで目の当りにしたテロの傷跡

トップバッターは、先週のコラムで言及した、フィギュアスケートのグランプリシリーズ・フランス杯観戦のために久々に訪れたパリでちょっと残念に思ったという、コチラの話です↓:

日刊スポーツ(2016年11月11日):パリ同時多発テロから1年、浅田真央らに外出禁止令(以下、引用文は青字、強調は筆者)
http://www.nikkansports.com/sports/news/1736388.html
テロに用心! 11日開幕するフィギュアスケートグランプリ(GP)シリーズ第4戦フランス杯出場の浅田真央(26=中京大)ら男女4選手に対し、日本連盟がテロ対策のため、書類3枚にわたる注意喚起を行っていることが10日、分かった。
エキシビションが行われる13日は、ちょうどパリ同時多発テロから1年にあたる。しかも会場は、事件が起こった4カ所から5キロ前後と近い。同行する小林芳子強化部長によれば書類には「不必要な外出は避ける」「日本代表ジャージは外で着用しない」などが記されており、選手はホテルとすぐ横のアリーナを往復する以外、基本的には外出を禁じられることとなった。パリ市内は銃を持った警官があちこちに常駐する厳戒態勢。昨年、ボルドーで行われた同大会のフリーが中止になっただけに、無事終わることを祈るだけだ。

私自身、大会役員やレフェリーの宿泊先でもあり選手宿舎と隣接するホテルに滞在していたため、選手がスケート靴を入れたキャリーケースをコロコロ引きながらアイスアリーナに向かう様子は毎日のように自室の窓から見ることが出来ました。確かに彼らは基本的にホテルとアリーナとの間の往復に終始していたようですが、時にはホテル向かいのビストロやイタリアンレストランなどで選手や連盟関係者の姿を目撃することも多々ありました。もっとも、目の前の日本料理店で彼らを見かけることがなかったのは、昨年の同時多発テロで集中的に狙われたのがアジア系の多いレピュブリック地区で、カンボジア料理屋や寿司店などが犠牲になったことも考慮されたのかもしれません。

さて、私は当然ながら日本のスケート連盟の関係者でもなければ選手でもないので、毎日のようにフツーに外出しておりました。町に出ると、こんな看板があちこちに掲げられていました↓。

2015年11月13日というあの忘れ得ない日付の下に、「FLUCTUAT NEC MERGITUR」とあります。これはラテン語で「波に揺れるが沈まない」(英訳すれば'Tossed but not sunk')という意味で、パリ市の標語だそうです。パリ市内の対テロ厳戒態勢は1年経っても相変わらずで、街中あらゆるところには銃を持った警官のみならず迷彩服に機関銃という兵士の姿も目立ち、デパートやショッピングモールに入るだけでも毎度のように空港のような物々しい手荷物検査があるので、これでは消費意欲が減退してしまいます!そして、これは今回のフランス杯のアイスアリーナも例外ではなく、敷地内に入る所と建物の入り口の2か所でそれぞれ手荷物検査を受けなければならないため、どうしても長蛇の列ができてしまい、会場に入るだけでも今までの何倍もの時間がかかるのでした。

ちなみに、確かにテロの舞台となった通りはフランス杯の会場から結構近いです。例えば、1年前のテロ事件で全130名の死者のうち大多数を占める89名もの死者を出したライブハウスのバタクラン劇場などは、お散歩で行ける程度の徒歩圏にあります↓。(→世にも奇妙なフランス・ボルドー体験(2)…非常事態宣言下のジャン・ムーラン記念館から見える世界、→世界最頻出テロ用語は日本語?!「KAMIKAZE」大合唱の仏メディア、「NINJA」大流行のテロリストのアカウント名

(左上:ニュース映像でもお馴染み、惨劇の舞台となったライブハウス「バタクラン」の入り口。右上:警察が常駐し、世界各国から来たマスコミもテントを張って機材を並べている中、ライブハウス入口の電光掲示板に「スティング」の赤い文字が見える) 

(左下:バタクランの裏口の前。建物内の銃撃戦の際、この通りに面した窓から観客がぶら下がり、弾丸の雨から身を守っていた。右下:向かいの建物の壁には、流れ弾の当たった跡が今も生々しく残る!)

オラ君もすっかり縮み上がってしまいました。左上写真のバタクラン裏口の黒いドアの前には、今も足もとに血の染みのようなものがこびりついて残っています。それを発見した瞬間、ちょうど1年前にこの場に居合わせた人々の悲痛な叫びや生への執着、恐怖と戦慄の記憶が一気によみがえり、いかに一般市民の平和な生活というものが脆く、あっという間に失われてしまう性質のものかを痛感させられました。

私がバタクランを訪れたのはテロ1周年の前日となる11月12日で、まさに1年振りとなるバタクラン再オープン公演の記念すべき日でもありました。そのスティングのライブにはさすがに行きませんでしたが、同日深夜には公演の様子がテレビで録画中継され、寝不足で翌日ヘロヘロになることも覚悟の上で、つい懐かしのナンバーからニューアルバムまで堪能してしまったのでした↓。

なお、バタクランからさらに北上してレピュブリック広場(左下写真)まで足をのばすと、ここにもマスコミが大挙しておりました(右下写真)↓。

オラ君も元をただせばテレビ局のキャラクター。テレビカメラの前に出るのはお手のものです(笑)。

テレビカメラといえば、オラ君は実はさかのぼること2日前の11月11日にもフランスのテレビクルーの前に姿を現していたことがありました↓:

この日は朝からオランド大統領やヴァルス首相も参列し、第一次世界大戦で戦没者となった無名兵士の追悼式典がパリの凱旋門前で行われました。私とオラ君はミーハーなもので、午前中にホテルで生中継を見て「現地に行ってみよう」と思い立ち、そのまま現地入り!さっきまでテレビ画面で見ていた生中継担当リポーター(女性)本人がいきなり目の前にいるのだから、別の感慨が湧いて来ようというものです。

なお、それだけでは飽き足らないオラ君、式典の様子も再現してくれました↓:

慰霊の花束と炎の前にオランド大統領が立つシーン(左上)の横で、フランス国歌『ラ・マルセイエーズ』を斉唱する男声コーラス隊の姿があります(右上)。そして、その後に駆け付けたオラ君、フランス大統領も顔負けの風格で無名兵士の墓碑前という同じポジションに凛として立ったかと思えば(左下)、次の瞬間には先述の男声コーラス隊が立っていたのと同じ台にちゃっかり登って『ひとり・ラ・マルセイエーズ』を披露中です(右下)。来年はフランス大統領選も控えていますが、ひょっとしてオラ君、出馬する気があるのかも(笑)?

ちなみに、私たち日本人には馴染みが薄いかもしれませんが、フランスにとっての11月11日とは、単にテロ事件の2日前というだけではありません。この日は第一次世界大戦の休戦協定が結ばれた日であり、第二次世界大戦の終戦日である5月8日と並んで、フランスのみならず欧州にとってはるか以前から重要な意味を持つ日であります(末尾参考サイトA)。凱旋門の足元に埋め込まれたプレートによれば、普仏戦争(1870-1871)でドイツに占領されたアルザス・ロレーヌ地方を取り返したのが他ならぬこの1918年11月11日(その後再びドイツ領となるも第二次大戦後フランスに復帰)なら、フランスの高校生や大学生がナチスドイツ占領に抵抗すべく命を顧みず闘ったのも1940年11月11日とのことです(参考サイトB)。

フランス杯が例年11月に開催されることが多いのも、何かの因縁でしょうか?日本の連盟が出した外出禁止令はもちろん仕方がないこととして理解できます。ただ、同じ大会に出場した他国の選手が結構外出していたのを、私自身この目で何度も確認しているため、日本人とは一体どういう人間集団なのか、世界の中での立ち位置はどこなのか…といった思いがつい頭をよぎります。

大会終了翌日、市内中心部からホテルに戻る地下鉄で、座席に腰かけてふと隣席のニーチャンの顔を見たら某国の大会出場選手でそれはもうビックリという、スケートファンにはたまらないハプニングまでありました(当連載で写真を紹介した選手の中の1人です)。日本でも有名なコーチのニコライ・モロゾフ氏に至っては、コートの襟元に短いマフラーを埋め込むように入れ(←私は勝手に「モロゾフ巻き」と呼んでいる)、「♪そんなに シャレこんで どこどこ行くの~♫」(沖縄曲「花」の替え歌で!)と歌いかけたくなるほどの出で立ちで、毎日のようにメトロのベルシー駅の階段を降りていっていました。さらにフランス代表選手の面々とは、友人数名を引き連れた宴会帰りらしきタイミングで何度も鉢合わせました。みんな、テロ恐怖や厳戒体制の下にいることは織り込み済みで、それでも久々となったパリ開催の大会を少しでもエンジョイしようと努力していたようです。(→フィギュアスケートGPフランス大会観戦記(1)…グランプリ・ファイナル出場選手を一挙紹介!男女シングル編、→フィギュアスケート・フランス杯観戦記(2)…グランプリ・ファイナルでも活躍した選手を紹介!ペア・アイスダンス編、→フィギュアスケート・フランス杯観戦記(3)…全日本フィギュア開幕!フランス杯での浅田真央選手を振り返る

FLUCTUAT NEC MERGITUR…揺れども沈まず。パリには今後ともそうあり続けてもらいたいと願うと同時に、私たち自身もこうありたいと思う今日この頃です。

さて、2位からは駆け足となりますが、日本のこの話題です:

2位 広島カープ、25年振りのリーグ優勝!そして新井選手2000本安打!

私が筋金入りのカープファンであるということをご存じの方は少ないかもしれません(→祝クライマックスシリーズ大健闘!「カープファン急増」にみる日本の世相の大変遷、→「炎のストッパー」津田恒美はなぜ悪性脳腫瘍になったのか?)。しかし、25年前の日本シリーズを広島市民球場で観戦するために、学校をサボって夜行バスで往復した…と言えば、少しは理解していただけるかもしれません。あの広島市民球場も今は無く、25年後となる今シーズンは残念ながら広島での観戦は一度もできませんでしたが、新井貴浩選手の2000本安打達成の瞬間を奇遇にも東京の神宮球場で見届けることが出来たのは、今年最大級のラッキーな巡り合わせでした↓:

2016年4月26日、私たちは神宮球場の三塁側外野席で赤い人々に囲まれておりました↓:

うちのオラ君も、こうしてファンの皆々様に囲まれてみると、まるでカープ坊やの生まれ変わりに見えますね(笑)。

そして、新井選手のレフト線を襲う打球が、私たちが手招きしたかのごとく、目の前に飛んできました!通算2000本目となるヒットはツーベースでした。歓喜に沸く新井ファン軍団の中にオラ君もいます(左上写真)!ちなみに、この写真のオラ君の赤い方の耳のあたりを拡大すると、右上に人影が見えます(右上写真)。これは、二塁塁上で贈呈された花束をファンの前で頭上に掲げた瞬間の新井選手本人の姿です!ウーン、このような歴史的なシーンに立ち会えるとは、オラ君も感激しきりです。勝利インタビュー(下写真)も最後まで聞いてから喜びの帰路についた私たちでした↓。

日本シリーズは残念ながら制覇することが出来ませんでしたが、25年振りに広島で日本シリーズが行われたこと自体を広島ファンとして心から喜び、その来年以降の飛躍を心から期待したいと思います。

1位…GEMAとYouTubeの合意成立→そして「オラ版PPAP」誕生!

GEMA、と言われても日本の方にはピンと来ないかもしれません。これはドイツの著作権団体の略称(正式名称はDie Gesellschaft für musikalische Aufführungs- und mechanische Vervielfältigungsrechte)で、日本でいうJASRAC(日本音楽著作権協会)のドイツ版と言えば分かりやすいでしょうか(参考サイトC)。実はかれこれ長い間、日本のYouTubeでなら普通に再生できる動画をドイツで再生しようとすると、口のひん曲がった赤いアイコンが出てきて、以下のような注意書きとともに再生自体がブロックされるという現象があり、さんざんドイツ国民の不興を買ってきたものでした↓。

「残念ながらこのビデオは、GEMAが使用許諾を得ていない楽曲を含む可能性があるため、ドイツ国内で再生できません。申し訳ありません」

この画面が出てくるたびに「GEMA、はよ仕事せんかい!」と毒づいたことも、一度や二度ではありません。それが、記念すべき今年の11月1日、ドイツはついにこのアイコンとおさらばすることになりました!ユーチューブとGEMAが(おそらく資金面で?)折り合い、それまで海外他国では再生できてもドイツではできなかったインターネットの動画サイト上の数々の珠玉のビデオか、この日を境にようやく再生可能となったのです。

今回の合意により再生可能となったビデオクリップの中には、マイケル・ジャクソンのスリラーだったり韓国のカンナムスタイルといった世界的な超有名動画の他に、コチラ↓の動画も含まれる…という一例として取り上げられたのは、何と、我々日本人にもおなじみのこの映像でした!↓ 

おおっ、ピコ太郎がドイツのニュース番組に登場?!「ペンパイナッポーアッポーペン」(PPAP)などと、日本のカタカナの文字がドイツの朝のニュース画面を占領するのは、それだけでも感慨深いものがあります。

これを見たら、テレビの申し子である岩手放送のオラ君も負ける訳にはいきません。テレビ局のキャラクターとしての意地と沽券にかけて、早速このような頑張りっぷりです(笑)↓。


 
これが我が家のピコ太郎ならぬオラ太郎。リンゴとペンとパイナップルが結構似合っています。ちなみに、リンゴが載っているクッションは、あのフランス皇帝ナポレオンが実際に使用していたというクッションのレプリカです。同じリンゴが妙に毒々しく、じゃなかった、高級に見えてきたかも?蛇足ながら、ドイツで購入したこのリンゴは1個55セント(当時のレートで65円弱)、パイナップルは1個が1.99ユーロ(同、230円程度)であり、ドイツのPPAPは日本よりも断然安上がりであったことも申し添えておきます。

パリに始まりPPAPで終わる…以上が2016年のオラ君の三大事件でした。思えばオラ君が我が家に来たのは2010年の大食い番組の岩手・江刺の藤原の里での撮影の時でしたが、あれから丸六年の歳月を経て、随分と彼も男らしくなってきたものです(笑)。たまに背伸びして自分より背丈の高いドイツビールなど舐めたりする悪戯っ子ですが(下写真)、来年以降も当コラムに登場することがあるかと思いますので、今後とも何卒よろしくお願いいたします。

 


<参考サイト>
A) Wikipedia日本語版 - ドイツと連合国の休戦協定 (第一次世界大戦)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E3%81%A8%E9%80%A3%E5%90%88%E5%9B%BD%E3%81%AE%E4%BC%91%E6%88%A6%E5%8D%94%E5%AE%9A_(%E7%AC%AC%E4%B8%80%E6%AC%A1%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%A4%A7%E6%88%A6)

B) Wikipediaフランス語版 - Manifestation du 11 novembre 1940
https://fr.wikipedia.org/wiki/Manifestation_du_11_novembre_1940

C) Wikipediaドイツ語版 - Gesellschaft für musikalische Aufführungs- und mechanische Vervielfältigungsrechte (GEMA) i
https://de.wikipedia.org/wiki/Gesellschaft_f%C3%BCr_musikalische_Auff%C3%BChrungs-_und_mechanische_Vervielf%C3%A4ltigungsrechte

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