Nagoya Talents' Network - タレコラ

Dr.片山晴子 RSS Feed

金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2016/05/27

熊本地震に海外から貢献する…サッカー欧州組とユーロ2016、そして伊勢志摩サミットの関係

先週は、「ドイツにいながら熊本に貢献する方法はないか」という観点でコラムを掲載しました(→海外報道で読み解く熊本地震(4)…助け合いの輪、ドイツ発→ハイデルベルク経由→熊本へ!)。それがつい最近、いつものように漫然と日本のネットニュースをチェックしていたところ、まるで私のコラムを先読みするかのようなタイミングで(?!)このようなニュースが流れてきたものだから、そのあまりのタイムリーさにビックリしてしまったのでした↓:

スポニチアネックス(2016年5月24日):笑顔咲かせた!長友ら欧州組13選手が熊本をサプライズ訪問
(以下、青字および赤字は全て記事からの抜粋。強調は筆者)
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2016/05/24/kiji/K20160524012644930.html
 熊本の子供たちにうれしいサプライズ激励だ!日本代表MF清武弘嗣(26=ハノーバー)、長友佑都(29=インテル・ミラノ)ら欧州組13選手が23日、J2熊本が熊本市内で実施した「復興支援プロジェクト」にサプライズゲストとして参加した。被害が甚大だった熊本県益城町を中心とした園児から中学生まで約250人のサッカー少年と交流。被災地に笑顔を届けた。
 その瞬間、悲鳴に近い歓声とどよめきが起こった。清武が、長友が、そしてリハビリ中の内田武藤も。J2熊本が企画した復興支援プロジェクトに日本代表を含め、13人もの欧州組が集結した。事前告知はなく、知っていたのはごく一部の関係者だけ。うれしいサプライズに益城町、宇城市などから集まった約250人のサッカー少年とその保護者には笑顔が広がった。
 発起人は大分出身でJ2熊本に弟の功暉が所属する清武だ。震災直後から日本代表の主将、長谷部(公式戦出場のため不参加)と相談し、招集を呼びかけた。ようやく実現した支援活動。約1時間20分、ミニゲームなどで交流した清武は「地震のときは海外にいて毎日がもどかしかった。眠れない日が続いていた。ほんの少しだけホッとしました」と話した。


この「地震のときは海外にいて毎日がもどかしかった」という清武選手のコメントは、当サイトのコラムを継続的にお読みいただいている読者の皆様にとってはまさに「どこかで読んだフレーズ」だったことでしょう(笑)。また、この記事内に出てくる清武・長友・内田(ドイツ/シャルケ)・武藤(ドイツ/マインツ)の4名以外の「欧州13選手」の残り9選手は、別の報道(末尾参考サイトA)によれば川島永嗣(スコットランド/ダンディー・ユナイテッド)、吉田麻也(イングランド/サウサンプトン)、酒井宏樹(ハノーバー/ドイツ)、酒井高徳(ハンブルガーSV/ドイツ)、山田大記(ドイツ/カールスルーエ)、乾貴士(スペイン/SDエイバル)、小野裕二(ベルギー/シント・トロイデン)、太田宏介(オランダ/フィテッセ)、ハーフナー・マイク(オランダ/ADOデン・ハーグ)の各選手だったそうです。

さらにこれとは別行動で、ドルトムント(ドイツ)の香川真司選手もまた熊本の被災地をサプライズ訪問、くまモンとサッカーをしたそうです(参考サイトB)!こちらは熊本出身の放送作家・小山薫堂さんを中心に立ち上げた「FOR KUMAMOTO PROJECT」の企画したイベントだったそうです。小山薫堂さんといえば私自身はフジテレビの「カノッサの屈辱」と「料理の鉄人」のイメージしか無いのが申し訳ない限りで、熊本出身ということすら今回初めて知りましたが(逆から読んでつけたとされる”うどん熊奴”というペンネームは出身地の熊本とも掛けた?)、今もご健在かつ活躍中のようで何よりです。

また、先述の記事内に「公式戦出場のため不参加」と書かれた日本代表主将の長谷部誠選手ですが、その事情は以下の通りであったことが他の報道から分かります↓:

日経新聞(2016年5月24日):長谷部のEフランクフルト、ドイツ1部残留決める
http://www.nikkei.com/article/DGXLSSXK20035_U6A520C1000000/
【ニュルンベルク(ドイツ)=共同】サッカーのドイツ1部、2部入れ替え戦は23日、ドイツのニュルンベルクでホームアンドアウェー方式による第2戦が行われ、長谷部誠のアイントラハト・フランクフルト(1部16位)がニュルンベルク(2部3位)を1―0で下し、2戦合計2―1で残留を決めた。長谷部は守備的MFでフル出場した。

なるほど、他の欧州組選手はみんなシーズンを終了して続々と日本へ帰国する中、長谷部選手だけが所属チームの入れ替え戦があり、しかも1試合目が引き分けとなったために足止めを食らったということでしょうか。5月23日にドイツでゲームに出場となれば、同日に熊本で被災した子供たちとサッカー交流することなど、ドラえもんの「どこでもドア」でもなければ絶対に不可能です(笑)。その長谷部選手も25日にようやく日本に帰国し、6月開催のキリンカップサッカー2016に向けて既に帰国済みの欧州組のみで始動している事前合宿に合流するようです(参考サイトC)。25日に日本に着いたということは、ドイツを24日に出国したということ、つまり23日のニュールンベルグの試合直後からすぐに荷物をまとめての慌ただしい帰国だったことが分かります。一般論として、時差ボケは日本→ドイツよりもドイツ→日本の渡航の方が酷くなります。また、これ以上帰国が遅れると伊勢志摩サミットとぶつかって大変なことになる可能性があり、このような一日の休養もない強行軍とならざるを得なかったという側面もあるかもしれません。長谷部選手も今頃、「どこでもドアがあればどんなに楽か」と溜め息など漏らしつつ、長旅の披露と格闘しつつ練習に励んでいるのかもしれません。

なお、このキリンカップとは、日本とボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、デンマークの4か国がノックアウト方式(トーナメント)で優勝を争う国際親善大会で、6月3日(金)に豊田スタジアム(愛知)、6月7日(火)に市立吹田サッカースタジアム(大阪)で行われ(参考サイトD)、日本は初戦でブルガリアと対戦予定です(参考サイトE)。

さて、日本代表の欧州組選手がシーズンを終了し続々と帰国しているという報道に、日本のJリーグはまだシーズン真っ只中だというのに欧州サッカーのシーズンはどうして今頃終わるのかと不思議に思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、野球とフィギュアスケート以外はろくに知らないサッカー音痴のこの私であっても、その理由はドイツの街並みを見れば一目瞭然でした。というのも、今ドイツは2週間後の6月10日(金)に開幕を控えたサッカーの欧州選手権「UEFA EURO 2016」(ユーロ2016)の話題で持ち切りなのです。つまり、「ユーロ開幕に間に合うようにリーグ終了」(またはその逆)→「ユーロに出場権のない選手(日本のような海外組を含む)はみんなオフ」→「それならユーロに出場しない者同士で試合を!」→「このタイミングでの帰国とキリンカップ開催」という流れが想像できます。今回出場するボスニア・ヘルツェゴビナ(FIFAランキング20位)、デンマーク(同41位)、ブルガリア(同69位)の3か国は、いずれも今回のユーロ2016こそ出場を逃したものの、今年の9月から始まる2018年ロシアW杯ヨーロッパ予選ではW杯予選ではグループH(ベルギー、ギリシャなどが入るグループ)、グループE(ルーマニア、ポーランド他)、グループA(オランダ、フランス、スウェーデン他)と、別のグループに入っています。今回FIFAランキング57位という力量の比較的近い日本とアウェーで対戦することにより、W杯予選開幕に向けた巻き返しを狙っているのでしょう。

それにしても、日本ではゴミ箱も封鎖し、福島第一原発の作業まで止めて、警備も報道も伊勢志摩サミット一色だと聞いていますが、ドイツではサミットのサの字もG7のGの字も全く話題に上らないのは一体どういうことなのでしょうか?!ちなみに、今はちょうどドイツ代表の各選手がそれぞれ所属チームのシーズンを終え、ユーロ2016の直前合宿のためスイスの保養地アスコナ(Ascona)に続々と合流しているというタイミングです。ドイツにとっては世界王者として初めて臨む欧州選手権とあって、最後に妙に冷めてしまった2年前のブラジルW杯と比べても(→2014年ドイツW杯優勝直後の「ガウチョダンス」は1954年の「旧国歌斉唱事件」の再現か?)、今回は街も人も報道も大会前から随分と盛り上がっている印象があります。サッカー好きで有名なメルケル首相自身、5月25日現在もまだドイツにとどまり難民流入に関して色々と奮闘中の様子を朝のニュースが取り上げておりました。ニュース専門チャンネルに至っては毎時のニュースの半分近くをサッカー関連の話題に振り向けており、こんな調子で果たして伊勢志摩サミットは本当に開かれるのか、そして、開かれたとしてもどの程度の扱いになるのだろうかと、いち日本人として大いに心配な今日この頃でもあります(笑)。

では、サッカー関連で何をそんなに時間をかけて報道する話題があるのでしょうか?実は最近、難民流入問題とも関連するサッカーがらみの某事件が発生し、この件を中心にドイツメディアが連日、それこそ朝から晩まで大騒ぎしております。その事件については、以前当サイトで連載を開始したものの熊本地震のために中断した「不寛容時代を生きる」シリーズ(→毎週誰かが公開懺悔?究極の”不寛容時代”を生きる(1)…バトミントンの田児選手と桃田選手の場合)の第2弾としてうってつけの内容かと思われるため、来週に稿を改めて解説したいと思います。


 
(写真は今年の4月上旬に日本で法事に参加した際に出てきた瓶ビール。この時点で既に伊勢志摩サミットの期間限定ラベルであったという、その気の早さに驚いた)


<参考サイト>

A) ゲキサカ(2016年5月23日):欧州組13人が被災地熊本訪問!サッカー教室など開催「やれることを行動に」
http://web.gekisaka.jp/news/detail/?190143-190143-fl

B) 日刊スポーツ(2016年5月25日):香川真司、熊本地震の被災地へサプライズ訪問
http://www.nikkansports.com/soccer/japan/news/1652455.html

C) 東京スポーツ(2016年5月25日):フランクフルト長谷部が帰国 激動のシーズンは「これからに生きる」
http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/soccer/544978/

D) 公益財団法人 日本サッカー協会:キリンカップサッカー2016 - 大会概要
http://www.jfa.jp/samuraiblue/kirincupsoccer_2016/about.html#pankz
(リンク先にテレビ放映予定やチケット購入方法、各スタジアムへのアクセスなど掲載あり)

E) 産経新聞(2016年4月13日):キリンカップ組み合わせ発表 初戦はブルガリア代表と
http://www.sankei.com/sports/news/160413/spo1604130019-n1.html

バックナンバー>>
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465