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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2015/12/25

当サイトのコラムで振り返る波乱と激動の2015年

この原稿が掲載される頃といえば、待望のクリスマスです!先月13日の金曜日のフランス・パリの同時多発テロ事件とその直後のサッカー「ドイツvsオランダ」のテロ予告による中止騒動以降(→世にも奇妙なフランス・ボルドー体験(1)…テロの影響で中止となったエリック・ボンパール杯に行ってきました)、ドイツにおいても多少なりとも人混みを警戒する風潮が生まれ、それまで喜々としてクリスマスマーケットに足を運んで大酒をくらっていた人々が妙におっかなびっくりになり、「いや~、(テロがあろうがなかろうが)人生は続くのだから、普通に振舞わなくっちゃ♪」などと言いながら目が笑っていない…というような、その心細きホンネを無理に糊塗するが如くカラ元気を見せるケースが周囲で増えるに至り、これはエラい世の中になった、クリスマスがこんな調子では世界は一体どないなんねん…と思ったものでしたが、その後はのど元過ぎれば何とやらで、何とか無事に平和なクリスマスを迎えることができそうです。

(IBC岩手放送のオラ君@クリスマスマーケット。オラ君の視線を釘づけにしているドイツのソーセージですが、加工肉製品の添加物の発癌性を指摘する報道があったのも今年でした)

思えば今年は、例年をしのぐ激動と波乱の一年でした。当サイトでは新年早々の上海外灘の雑踏事故(→新春上海見聞録(1)…カウントダウンイベントでの惨劇「上海踩踏事件」の現地報道で学ぶ雑踏事故時の自衛手段)、邦人人質殺害事件(→自国民をイスラム武装勢力に誘拐されたドイツはどう対処したか…2014年ドイツ人人質事件の場合)、メルケル首相訪日(→往復23時間のフライトで日本滞在30時間弱!60歳のスーパーウーマン、メルケル独首相の確信犯的メッセージ)、ギリシャ発の欧州経済危機(→ギリシャ国民投票の裏で(1)…電撃辞任のバルファキス財務相と日本のヘルメットメーカーの思わぬ場外乱闘、→ギリシャ国民投票の裏で(2)…著書の表紙が動かぬ証拠!「ちょいワル」前大臣はドイツでタレント級の人気)、終戦70周年(→ドイツ終戦70周年(2)…ウィンクラー演説に聞き入るドイツの要人たちの姿に思う、→欧州はまるでジャパンウィーク?!…「最後のカミカゼ」から「ヒロシマ」「ナガサキ」そして「センダイ」まで)、日本の安保関連法案成立(→フランスにて腰を抜かす(1)…ル・モンドの社説が凄いことになっている件)、難民流入問題(→「今年の漢字」のドイツ版に相当?「今年の単語」に選ばれた「フリュヒトリンゲ」が巻き起こした論争の意味)、そして先日のパリのテロ(→世にも奇妙なフランス・ボルドー体験(2)…非常事態宣言下のジャン・ムーラン記念館から見える世界、→世界最頻出テロ用語は日本語?!「KAMIKAZE」大合唱の仏メディア、「NINJA」大流行のテロリストのアカウント名)など、様々な出来事を題材に一年間連載を継続させていただくことができました。

これでもか、これでもか…とビッグニュースが続いたそんな2015年でしたが、二つほど追加報告しなければならないことがあります。一つ目は、以前のコラム(→目指すは「五度目の正直」!ドイツでも始まった五輪招致活動の前哨戦)で取り上げた、ドイツ・ハンブルグ市のオリンピック招致にまつわるその後の誰もがビックリの”ちゃぶ台返し”です。

この時のコラムでは、ベルリンとハンブルグの一騎打ちの末にドイツオリンピックスポーツ連盟(DOSB)がまず3月21日にハンブルグを2024年五輪立候補都市として選定、さらには9月15日までにハンブルグでの住民投票を済ませてから申請書類を国際オリンピック委員会(IOC)に提出…という段取りまで説明しました。そして今年の9月15日の時点では、五輪開催立候補都市は確かにハンブルグ・パリ・ローマ・ロサンゼルス・ブダペストの5つでした。

しかし、当初の予定と異なったのは、ハンブルグが実際に五輪招致についての住民投票を行ったのは結局9月ではなく、つい先日の11月29日だったということです。そして、その結果は何と「否決」でした(上写真のニュース映像の見出しは「夢が弾けた…ハンブルグ市民は2024年五輪招致にNOと言った」の意味)。賛成48.4%、反対51.6%というと僅差のように思いますが、住民の意思がはっきりNOと出た以上はどうにもならず、これによりハンブルグは2024年の五輪開催の立候補を取り下げることに決まりました。直後からハンブルグ市長を始めとする政治家やDOSBにIOCの関係者の恨み節がニュース等で流れてきましたが、それよりも何よりも、今回のこの大どんでん返しによって2024年の自国開催の五輪への出場を夢見た各競技の若きアスリートたちが受けた大いなる衝撃と落胆は想像するに余りあります。

ただし、この住民投票の敗因は何と言ってもそのタイミングが悪すぎたことに尽きます。以前のコラムでも述べたように、ハンブルグは当初から市民の五輪開催に対する支持率がベルリンよりも低いことが懸念視されていました。その上、今年に入ってからFIFA会長のスキャンダル、2006年ドイツワールドカップ招致にまつわるスキャンダル、欧州経済危機とそれに引き続く難民流入による治安への不安、そして何よりも五輪招致賛成派にとって潮目が明らかに不利に転じる決定打となった出来事が、先月のパリでのテロ事件でした。これだけ金銭・治安両面にまつわる不安材料が次々と登場しては、おらが街での五輪招致など誰が望むでしょうか?イスラエル選手団のアスリート11名の命が奪われたテロで血塗られた1972年のミュンヘン五輪を脳裏に浮かべた人も少なくなかったことでしょう。この住民投票が当初予定だった9月15日以前、少なくともパリのテロのあった11月13日より前に行われていたならば、その結果は違ったものになっていたのではないか思うのは、決して私だけではないようです。そして、オリンピックの存在そのものが今後ますます「金食い虫&治安リスク」というイメージで固定化され、その開催都市選考自体がますます「ババ抜き」化していくのではないかと想像してしまうのです。

さらにもう一つ、追加報告です。以前の当サイトのコラムでも取り上げたことのある「世界で最も楽曲が売れたドイツ人作曲家」として知られるジェームス・ラスト(James Last)氏が本年6月9日亡くなりました。86歳でした。

(上写真は故人の生前最後となった本年4月26日のコンサート映像から。アメリカ在住のラスト氏が死の1か月半前まで欧州で弾丸コンサートツアーを敢行していたとは、まさに生涯現役、一億総活躍の世界です。このラストコンサートも体調不良を隠して強行したものだったそうです)

ラスト氏の作品の中には、今や高校野球の定番応援曲の一つでもあり、フジテレビのプロ野球ニュースの中の「今日のホームラン」のテーマとして、ドイツでは全く無名ながら日本だけで超有名な曲があるのですが、その正式名称は果たして『バイブレーション』なのか、『バイブレーションズ』なのか…?かつてのコラム(→高校野球応援曲のルーツを探る…またもやドイツ人が支える甲子園!ジェームス・ラスト「バイブレーション」)の中でも解説したこの謎について、いずれ本人に直接聞こうと思っていたのが本人の死によりついに叶わなくなってしまい、とても残念です。謹んで故人の御冥福をお祈り申し上げます。

最後に、締めくくりのクイズです。「世界で最も曲の売れたドイツ人作曲家」は確かに前述のジェームス・ラストですが、それでは「世界で2番目に曲の売れたドイツ人作曲家」は誰でしょうか?正解はコチラの男性です↓。



これは本年3月3日のドイツZDFの朝の情報番組”Volle Kanne”からのショットです。右の青いジャケット姿でTMネットワーク時代の小室哲哉氏かと思うようなごっついキーボードをスタジオに持ち込んで生演奏を披露している男性こそがその人、オルガン奏者兼作曲家のフランツ・ランバート氏(Franz Lambert)です(左の男性は番組司会者Ingo Nommsen)。日本ではまるで知名度が低いと思われるこの音楽家ですが、実は日本に限らず世界中で耳にしたことの無い人はほとんどいないのではないかという超有名曲の作曲者です。その曲とは、この場面で流れてくるあのテーマです↓。

そうです、W杯サッカー時の選手入場の際に流れる、「ターン、ターンカ、ターンタン、ターンタカタターン…」で始まるあの有名なテーマ曲です。上写真は昨年7月のW杯ブラジル大会決勝のドイツvsアルゼンチンでこの曲に乗って審判団を筆頭に両チームの選手が入場してくるところで、真ん中には優勝トロフィーが鎮座しています。世界中でバンバンかかるこの曲の作曲者であることがもたらす著作権料はすさまじいものだと思われますが、フランツ・ランバート氏はあくまでも「私はジェームス・ラストの次点!2番手に過ぎませんから」と控えめなのが、生放送トーク番組内ではなかなかいい味を出していました。ということで、最後はFIFAサッカーつながりになったところで締めくりとします(笑)。

なお、来年は1月8日より連載を再開します。世界に暗い影を落とす出来事が立て続いた2015年から打って変わって、2016年こそは少しでも明るい話題が増えて平和と安定の方向へとその舵が戻るようにと、心から願わずにはいられません。


<参考サイト>
Zeit Online (2015年11月30日):Olympiabewerbung : Hamburger sagen Nein zu Olympia (五輪招致:ハンブルグ市民の答えはノー)
http://www.zeit.de/politik/2015-11/olympia-bewerbung-hamburg-referendum
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