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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2015/10/23

世にも奇妙?!日本脳神経外科学会総会開催中の北海道で接した「奇跡のリリーバー」盛田幸妃氏の訃報

かねてから脳腫瘍およびその再発で闘病中だった元プロ野球(大洋→横浜→近鉄)の盛田幸妃投手(45)の早すぎる訃報が流れた10月16日の金曜日といえば、私は奇遇にも盛田さんの出身地である北海道にいました。というのも、ちょうどその頃、全国から脳神経外科医が集う第74回日本脳神経外科学会学術総会(2015年10月14日~16日、ロイトン札幌ほか)が札幌で開催中だったからです。

私自身、ホテルに戻ってテレビを付けたら、いきなりこのような画面↓に出くわし、そのあまりのタイムリーさに腰を抜かしたのですから、他の脳神経外科医の方々もきっとビックリしたことでしょう。脳腫瘍の闘病で脳神経外科の世界と縁の深い盛田さんが、かなり大勢の脳神経外科医が北海道に集結していたであろうこのタイミングで永遠の旅に立たれるとは…。そして私自身、その第一報をまさか盛田さんの郷里である北海道の地元報道で知ることになろうとは、全く予想だにしませんでした。

さすがは地元、北海道のローカルニュースだけのことはあり、初っ端からいきなり「シカベチョウ出身のモリタコウキさんが…」と、出身町名が枕詞のように入っていました。全国版とは趣の異なるこの独特のローカル感もさることながら、しみじみと再認識したのは、やはり盛田さんは「郷土・北海道のヒーロー」、それも「函館の星」だったのだろうということでした↓。

北海道南端の渡島(おしま)半島の北東部、函館市の北側に隣接する鹿部町は、漁業の盛んな町。盛田幸妃さんは、その鹿部町の漁師さんの息子として1969年11月に誕生した45歳。1985年(昭和60年)夏の甲子園では一年生ながら既に背番号11でベンチ入り、1回戦の沖縄水産戦の二番手投手として甲子園初登板(1-11で初戦敗退)。続く1986年(昭和61年)春の選抜大会では勝利した初戦では登板機会なし、二回戦の京都西戦では同点の場面で二番手として登板、2点を奪われ敗戦投手に(2-6で敗退)。高校最後の夏となった1987年(昭和62年)の選手権では初戦の対戦相手が奇しくも2年前と同じ沖縄水産。漁師の息子さんが水産高校と2度の対戦というのも、不思議な縁でしょうか(笑)?!ここでは、2年前の試合にも同じ一年生投手として登板して以降、すっかり甲子園のアイドルとなっていた上原晃(元・中日→広島→ヤクルト)との2年越しの対決となったが、8回までリードしながら痛恨の押し出し四球と適時打で逆転を許し2-3で惜敗(末尾参考サイト参照)。

結局、甲子園では未勝利に終わった盛田投手ではありましたが、同じ函館有斗高校出身で当時すでにパリーグきっての大投手として君臨していた佐藤義則(元・阪急、現・ソフトバンク投手コーチ)以来の逸材という高評価で、1987年のドラフト会議で横浜大洋ホエールズから1位指名を受け(←あの長嶋一茂さんの外れ1位)、翌年入団したのでした。

以後、大洋では主にリリーフとして活躍、1992年(平成4年)には念願の最優秀防御率のタイトルを獲得↓、この年にオールスターにも初出場。


それが、1998年(平成10年)になると、その命運が暗転します↓。


そうです、脳腫瘍が見つかったのです。盛田さんを襲ったことで知られる脳腫瘍は「髄膜腫」という腫瘍です。この腫瘍の発生頻度は10万人あたり年間5~8人で、全脳腫瘍の3割弱程度を占め、その85%が良性腫瘍とされており、盛田さんのケースのように悪性転化するのは珍しい部類に入ります。1998年の手術以降、懸命なリハビリが奏功し翌年1999年(平成11年)復帰。術後3年となる2001年(平成13年)には移籍先のチームである近鉄バファローズの最後の優勝に貢献。現在もなお盛田氏の代名詞として通用する「奇跡のリリーバー」という呼称のみならず、パ・リーグの「カムバック賞」も獲得したのは、皆様ご存じの通りです↓。

そんな盛田さんも、この翌年となる2002年(平成14年)に現役引退。その引退試合は、先発して打者一人だけに投げて降板するという、10月7日に50歳の最年長登板記録を更新して引退した山本昌投手さんと全く同じスタイルでした。従って私自身、先月の山本昌さんの引退試合の報道を読んだ際、なぜか真っ先に脳裏に浮かんだのが盛田さんの闘病生活でした。「そういえば盛田さん、どうしているのかなぁ?」と思いつつ札幌の脳外科学会に足を運んだ矢先の訃報とは、つくづく世の中は不思議な因縁だらけです。

それにしても、さすがは北海道!この訃報の締めくくりは、コチラの人物のコメントでした↓。

函館有斗高校から改め、盛田さんたちの学年の卒業(1998年)と同時に校名変更となった函館大学付属有斗高校の教頭先生です:

「野球において、佐藤義則さんと並んで学校が誇れる卒業生で、後輩たちが目標にする存在でした。病気ということで、本人が一番無念だったと思います。お悔やみ申し上げます」

うーむ、さすが北海道ローカルです。ここまできたら函館有斗時代の恩師の上野美紀夫氏(まだご健在のはず)とか、いっそのこと佐藤義則さん本人のコメントも取ってきてほしかったところです。しかし、佐藤氏の現職は日本シリーズを控えた福岡ソフトバンクホークスの投手コーチです。ということは、この原稿が掲載される翌日となる10月24日(土)より福岡ヤフオクドームで開幕する日本シリーズの際、佐藤コーチの追悼コメントがあるかもしれません。私個人は日本シリーズを日本で最後まで見届けることができないのが残念ですが、その勝敗の行方とともに、「もう一人の有斗の星」でもある佐藤義則投手コーチの手腕にも注目したいところです。

最後に、盛田幸妃さんは私の人生においても奇妙かつ奇遇なご縁があった方でした。あらためて、ご冥福を心からお祈りいたします。


<参考サイト>
日刊スポーツ(2015年7月15日):函館有斗・盛田こん身の1球は外角に大きくそれた
<北海道 百年の記憶-甲子園あの日、あの時/1987年夏・1回戦 函館有斗-沖縄水産(沖縄)>
http://www.nikkansports.com/baseball/highschool/news/1506909.html
(盛田氏とは幼馴染で、1985年夏に背番号12の一年生キャッチャーとして一緒にベンチ入りしていた西村嘉浩さんへのインタビューを中心に構成された興味深い記事。中高6年間バッテリーを組んだ盛田氏のことを「腕のしなり、指のしなやかさは天性のもの」「強がりだけど繊細」と評している)

NHKオンライン(2015年10月16日):カムバック賞 盛田元投手死去
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20151016/5757951.html

はこナビ - THE函館アレコレ:函館ゆかりの有名人たち
https://www.hakonavi.ne.jp/colums/yumeijin.html
(三橋美智也、北島三郎、GLAY、JUDY&MARYのYUKI、J-WALKの中村耕一といった音楽関係者がやたら多い。川内康範や石川啄木など文学関係の方も多いようである)
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