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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2015/09/11

U-18ベースボール・ワールドカップ観戦記(1)…大会直前の壮行試合は「瑠偉様」オンステージ!

2015 WBSC U-18ベースボールワールドカップ(8月28日~9月6日)については、つい最近まで甲子園を湧かせていた人気選手がそのまま数多く選出されている高校日本代表への関心は高く、その動向が連日ニュースで報道されていました。初の日本開催となり、日本の初優勝への期待も大きくかかっていたこの大会、日本代表チームは一次リーグ及びスーパーラウンドを合わせた7試合をコールド・圧勝揃いの七戦全勝で通過し、二年連続同カードとなるアメリカとの決勝に臨みましたがが、結果はアメリカの大会三連覇と日本の二大会連続準優勝に終わったのは皆様ご存じの通りです。

私はといえば、東海大相模の全国優勝で幕を閉じた第97回全国高等学校野球選手権大会以降、現地に残り仕事をしておりました。そして、東海大相模と仙台育英との劇的な決勝戦からわずか6日後の8月26日の夕刻、夏の決勝の余韻もまだ冷めやらぬ阪神甲子園球場にひょっこりと舞い戻ってきたのでした。それもこれも、U-18W杯代表の壮行試合である「高校日本代表vs大学日本代表」を是非観てみたかったからです。わが人生初となったローソンチケットの手続きの煩雑さに若干悪戦苦闘しつつも、何とかチケットをゲットして私は現地に駆け付けたのですが、そこに広がっていたのは、いつもの「高校野球の甲子園」とは異なる景色でした↓。

いつも高校野球の時しか見ないため、プロ野球の阪神戦と併記された看板は何だか新鮮です。球場正面も、これまた別の雰囲気が漂っています↓。

(左:甲子園大会期間中。球場名の上には「高校野球100年」を記念して今年登場した新しいシンボルマーク。右:大学日本代表との壮行試合当日。球場名の上には阪神球団80周年のトラのマークが復活。ズラリと並ぶ垂れ幕もまた高校野球大会の時とは異なり、阪神タイガースの選手のものとなっている)

しかも、今回のチケットは侍ジャパンのユニフォーム付き一塁特別指定席でした↓。

(岩手放送のオラ君が清宮君に似て見えてきた…?)

さて、18時予定の試合開始に先立ち、大学日本代表と高校日本代表の先発メンバー紹介がありました。甲子園大会の選りすぐりの精鋭たちからなるチームの中で、あの早稲田実・清宮幸太郎選手にも増して、何と言ってもこの日の一番の大歓声を集めたのは、やっぱりこの人でした↓:

一番センター、オコエ瑠偉!背番号8!その名がコールされた瞬間の甲子園のどよめきにも似た盛り上がりこそ、高校野球の一番人気はこの人!ということを何よりも証明していました。なお、彼の名前がローマ字表記だと「Louis OKOYE」であることも、この日初めて知りました。オコイェと書いてオコエ…だったんですね。

瑠偉=Louisだと知ったその瞬間、私がついつい連想せずにいられなかったのは、以前このサイトでも取り上げた1979年のヒット曲で今や高校野球応援の定番曲となった『ジンギスカン』で有名なドイツのグループ「ジンギスカン」のダンサー、ルイ・ポットギーター(Louis Potgieter)でした(下写真中央)(→神村学園から敦賀気比まで…高校野球定番応援曲「ジンギスカン」は移民大国ドイツの縮図!)。

(末尾参考サイトの「ジンギスカン」の動画より引用)

片やステージやテレビスタジオでセンターポジションを縦横無尽に駆け抜け、いや、踊り抜け(?)てきた「歌わないダンサー」の「ルイ様」、対するは関東一高でも全日本でもセンターポジションを駆け抜け続けた「瑠偉様」です。ともに”センターポジション”という共通項があるのみならず、この二人のファーストネームが読みも綴りも全く同じであることに、私は勝手に感動してしまうのでした(そんなことを思うのは世界中で私だけなのでしょうけど…笑)。また、出てきただけで見るものを圧倒し、その目を釘付けにしてしまう独特のスター性という点もまた、この二人に共通する特徴かもしれません。かの「ルイ様」はドイツで活躍した南アフリカ人であり、「瑠偉様」とは事情は異なりますが多少のオーバーラップを感じないわけではありません。もっとも、あちらの「ルイ様」別名「魔王様」は1993年に惜しまれつつ41歳で他界したのですが、こちらの「瑠偉様」は「野球界の魔王様」の座をそもそも獲得できるのかどうか、そして長く活躍できるのかどうか、今後が大いに期待されるところです。

話を元に戻しましょう。この壮行試合は大方の予想通り、高校代表が2対9で大学代表に敗れました。しかし、試合内容そのものは決して悪いものではありませんでした。そもそも、まだ3年生ながら既に大学ナンバーワンの速球派右腕で来年秋のドラフトの目玉とされる田中正義投手(創価高校→創価大学)を、普段の金属バットからいきなり木製バットに持ち替えたばかりの高校生が、それも先発打者9人中4人(平沢、清宮、船曳、オコエ)がキッチリと外野へ安打を弾き返したこと自体が衝撃です(ただし5三振)。芯が小さく飛ばしにくいはずの木製バットでも、目が慣れてくれば高校生と言えども150キロ台の速球にそう簡単には振り負けず対応してくるというのは、ピッチングマシンの普及やフィジカルトレーニングなどの時代背景もあるのでしょうが、凄い時代になったものだと頼もしく見えました。中でも、初回二死三塁で迎えた一年生の清宮君に速球を詰まりながらもセンター前に運ばれたシーンには、これがトラウマになってしまわないかと思わず気を揉んでしまうのでした。

それでも、大学代表の首脳陣がこのMax156キロとも言われる右腕を相手が打者一巡するまで交代させなかったのは、高校ジャパンがU-18の本大会で対戦するであろう「仮想・アメリカ」「日本にはいないタイプの剛腕」への対策をにらんだ一種のシミュレーションとして、事前の約束があったのではないかと想像しない訳でもありません。

(読み方は「たなか・せいぎ」。この”日本人離れ”の剛腕の名は、来年の秋のドラフトで日本全国にとどろくことになるでしょう。今から覚えておいて損はありません)

なお、この試合では、1年生四番の清宮幸太郎選手(下写真・上)が打席に入る前に、何とオコエ選手(下写真・下)がバット引き…という超お宝シーンもありました。

(どちらが1年生なんだか…というインパクトのある、それでいて素敵なシーン)

試合後、今度は壮行セレモニーが始まりました↓。

試合終了後は、引き続き壮行セレモニーがありました。マウンド付近に整列する高校代表の前方で、中央のマイクを前に「必ずや日本一を獲って見せます」と力強く宣言するのは、ジャパン監督の西谷浩一氏(大阪桐蔭)です。そして、背後にはコーチの仲井宗基氏(八戸学院光星監督)と島田達二氏(高知監督)の姿も見えます。既に21時を大きく回っているというのに居残って壮行セレモニーを見守った観客はもちろん、一塁側に整列した大学代表一同からもあたたかい拍手が送られ、かくしてU-18野球W杯はこの二日後に晴れて幕開けとなったのでした。


そして、この第27回WBSC U-18 ベースボールワールドカップ、さすがは国際大会だけのことはあり、日本にいながらにして色々な発見の連続でした。私が野球の国際大会を見るのは、2010年にドイツのシュトゥットガルトで開催された野球のヨーロッパ選手権以来となりました。今大会では、日本の高校野球事情について深く考えさせられるエピソードも多々ありました。それらについては、来週あらためて考えてみたいと思います。


<参考サイト>

YouTube動画:Dschinghis Khan - Dschinghis Khan (ZDF Starparade 1979年6月12日放送分)
https://www.youtube.com/watch?v=pzmI3vAIhbE

YouTube動画: 15/08/26 田中正義(創価大)vs高校日本代表 全投球シーン
https://www.youtube.com/watch?v=WGjKhRd-bl8
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