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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2015/02/13

上海新春見聞録(3)…すでにオリンピックモード全開!2022年冬季五輪招致にかける中国の「熱情」

今回の上海旅行で知ったことの一つに、中国が2022年の冬季オリンピックに立候補しているという事実があります。それまで知らなかったのがお恥ずかしい限りですが、2020年夏季五輪に東京が選ばれたのが一昨年の9月であったことを考えると、今年が2022年冬季五輪開催都市の決定年にあたり、このタイミングで候補都市の活動が表面化してくるのも至極当然のタイミングなのでしょう。羽生結弦選手の金メダルで記憶に新しい2014年のソチ五輪(ロシア)が終わり、その次の2018年の平昌五輪(韓国)に引き続く2022年の冬季五輪ですが、これまた今回知って大変驚いたのですが、開催候補都市として当初は6都市が立候補していたにもかかわらず、並みいる候補の辞退が相次ぎ、現時点で残っているのは何と北京(中国)とアルマトゥィ(カザフスタン)だけという、予想外に寂しい展開になっているようです。

上記2都市以外で立候補していた残りの4都市は、ストックホルム(スゥェーデン)、クラクフ(ポーランド)、リヴィウ(ウクライナ)の順に昨年前半のうちに早々と辞退を表明、そして残っていたオスロ(ノルウェー)は最有力候補とまで目されながら、高額の財政負担(IOC各役員に対する高コストな便宜の要求が背景にあったとのこと)を理由に昨年10月に辞退してしまいました。これに伴い、残るのは北京とアルマトゥイのみとなり、2018年、2020年、そして2022年という、三大会連続でのアジア開催のオリンピックとなることが確定したという次第です。

ご存じの通り、北京といえば2008年夏季五輪の開催都市です。もし今回も選ばれれば、五輪史上初の夏季・冬季の両大会開催都市かつ同国初の冬季五輪開催都市ということなります。どうりで、上海で見た年末年始のテレビがすっかり五輪招致モードで盛り上がっていた訳です↓。

「告別2014・迎接2015・北京」の意味は訳すまでもないでしょう。その下に「鸟巢」…トリの巣、という語句が見えます。これは、2008年北京五輪のメイン会場だった北京国家体育場(英名:Bird’s Nest)のことを指します。下の写真は、鳥の巣のような構造の体育館にライトアップが施され、カウントダウン終了とともに2015の文字が現れた瞬間のものです。なお、2008年の北京五輪の際は、この会場にて開会式と閉会式、さらには陸上競技にサッカーの決勝が行われました。ミュンヘンのサッカー場であるアリアンツ・アリーナと雰囲気が似ていると思われた方、ビンゴです。こちらの体育館も、アリアンツ・アリーナと同じスイスの建築家集団による設計だそうです。


なお、この「鳥の巣」で盛大に行われた昨年から今年にかけての年越しを祝うカウントダウン・ライトアップショーには、このような有名人も参加していました↓。


ピアニストのラン・ラン(LANG Lang)が登場です。パンダではありません。ラン・ランといえば身振り手振り付きのダイナミックな演奏でお馴染みですが、ここではインタビュー姿もありました。言葉が分からないので字幕からの推測ですが、「私たちの熱情を音楽で世界に伝えたい」という主旨と思われるその発言のうち、「熱情」とはここでは「五輪招致への国民の熱意」を指すのかもしれません。私個人は、ピアニストのことを中国語で「鋼琴演奏家」と言うことの方が大いにウケたのと同時に、ランランという名前が漢字だと「郎朗」という異なる字の組み合わせであることも、この放送で初めて知りました。「郎」自体は中国では比較的よくみる苗字ですが(80年代の女子バレーボールのスターだった郎平さんは今は市販薬のコマーシャルで健在ぶりをアピールしていました!)、下の名前はイチロー(鈴木一朗)と同じ「朗」です。まさにその名に違わない「朗らかな男性」であるラン・ランは、ドイツでもとても人気のあるピアニストです。

さらに、フィギュアスケートファンにはうれしい、こちらのご夫妻の姿もありました↓。


2010年バンクーバー五輪フィギュアスケート・ペアで金メダルの申雪(SHEN Xue)/趙宏博(ZHAO Hongbo)のお二人です。字幕の「冬奥冠軍」とは「冬季五輪チャンピオン」の意味だそうです。バンクーバー五輪後に引退(引退後に結婚)、ご主人の趙宏博は中国のトップクラスのペアを指導するコーチとして世界を飛び回っています(先日のエリック・ボンパール杯にも来ており、教え子ペア2組が銀&銅メダル獲得という快挙に、もの凄く嬉しそうな顔で表彰式の動画をスマホで撮っていたのが印象的)。

ここまで見ても、五輪招致にかける中国の情熱が伝わってきて余りあるものがあったのですが、翌日の1月2日にはさらにトドメを刺す番組に遭遇してしまいました。その名も「2022邀约冬奥」、つまり「2022年冬季五輪招致」という、こちらの番組です↓。


「冬」という字をあしらったデザインの大会のロゴも、何だかすでに五輪開催が決まったかのようなハマり具合です。番組内ではさらに、期待の星とおぼしき中国選手が次々と登場、それぞれに2022年冬季五輪への熱き想いを(もちろん中国語で)語るのでありました。


何偉(何伟:HE Wei)選手だそうです。「滑雪」がスキーを意味するので、「単板滑雪運動員」はスノーボード選手という意味でオッケーでしょうか。意外と若く見えるこの選手、昨シーズン時点での情報によれば御年24歳、身長170cm、北京在住、ホームリゾートは南山(ナンシャン:青海省と甘粛省にまたがる山脈群)、スノボを始めたのは14歳、世界ランクが98位だそうです(World Snowboard Tourホームページより)。


今度は「自由式滑雪空中技巧運動員」という、えらくものものしい肩書の女性が登場です。これはお察しの通り、「フリースタイルスキー・エアリアル選手」で間違いないでしょう。英語版Wikipediaにもその名がある徐夢桃(徐梦桃:XU Mengtao)選手は1990年7月24日生まれの24歳。2010年バンクーバー五輪こそ転倒があり6位でしたが、2011年エアリアル世界選手権優勝、そして何と2014年ソチ五輪では堂々の銀メダルに輝いています。中国は男女共にエアリアルが強いようで、ソチ五輪でも男子エアリアルのJia Zongyang(贾宗洋)選手が銅メダルを獲得しています。

そして、極め付けは応援団です。まさかこの番組でこの人を見るとは思いもよりませんでした↓。


出た~、ショーン・ホワイト(Shaun White、アメリカ)!日本でも知名度が高いと思われるスノーボード・ハーフパイプの選手で、2006年トリノ五輪・2010年バンクーバー五輪の2大会連続金メダリストです(ソチ五輪は4位)。例によって中国語字幕が壮絶なことこの上なく、「肖恩・怀特」でショーン・ホワイト!何だか、不肖の息子が恩を特別に抱くという妄想をこちらに抱かせます(怀=抱くという意味)。「冬奥会单板滑雪U型池男子冠军」に至っては、ハーフパイプを「U型池」と言うのかクラクラしてきます(笑)。そして、その不肖じゃなかったショーン・ホワイトが「全力を挙げて北京での冬季五輪開催を応援している」と番組内でコメントした姿に、あらためて北京五輪の招致活動の盤石ぶり(と、その背後の豊富な資金力)を見せつけられたような気になるのでした。


この後、各種スポーツの連盟の重役たちの視察旅行の模様と彼らの絶賛のコメントがズラズラ続き、見ている方がすっかりお腹いっぱいになってきたところで、最後の最後に満を持して登場してきたのが、最近妊娠報道のあったテニスのLI Na(李娜)選手でした(上写真)。2011年全仏と2014年全豪の2度のグランドスラムを制して昨年9月に引退した彼女が、「ワタクシ、李娜は、2022年北京五輪の申請を支持します!」と高らかに宣言して、ようやく番組が終わりました。次々とビッグネームを広告塔として投入しての熱気あふれる五輪招致活動だけに、これで万が一にも招致に失敗しようものなら、あまりにも壮大な空振りとして数十年は立ち直れないショックが(精神的にも経済的にも)残るのではないかと、他人事ながらつい心配してしまいます(笑)。となると、今後さらなる奥の手が用意されているかもしれません。ますます、今後の中国の動きと事態の成り行きに注目したいところです。

なお、対抗馬のアルマトゥィ(Almaty)といえば、1997年までカザフスタンの首都だった同国最大の都市です(旧名アルマ・アタ)。フィギュアスケートのファンの方であれば、ソチ五輪銅メダリストのデニス・テン(Denis Ten)選手の出身地と言った方が分かりやすいかもしれません。ということは、今年は五輪招致活動との絡みでデニス・テン選手の露出が世界的に大幅に増えてくることは間違いありません。語学の達者な彼がひのき舞台でどのようなスピーチをするのか、大いに興味があります。


(昨年のエリック・ボンパール杯のフリー演技直前にジュースをグイっと飲むデニス・テン。右は名伯楽と名高いコーチのフランク・キャロル)

なお、2022年冬季五輪の開催地を正式決定する第128次IOC総会は、今年の7月31日にマレーシアのクアラルンプールで行われます。ドイツ人であるトーマス・バッハIOC会長の手で開封されるカードに書かれた文字は、果たして「BEJING」か、それとも「ALMATY」か…?!結果判明に至るまでのそれぞれの国の招致活動の盛り上がりにも注目しつつ、見守っていきたいと思います。


<参考サイト>

Wikipedia - 2022年冬季オリンピック
http://ja.wikipedia.org/wiki/2022%E5%B9%B4%E5%86%AC%E5%AD%A3%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%83%E3%82%AF

World Snowboard Tour - HE WEI(何伟)
http://www.worldsnowboardtour.com/riders/he-wei-2/

Wikipediaドイツ語版 - Xu Mengtao(徐梦桃)
http://de.wikipedia.org/wiki/Xu_Mengtao

記録映画『Bird’s Nest – Herzog & de Meuron in China』(2008年、スイス)
http://www.swissfilms.ch/de/film_search/filmdetails/-/id_film/2146532281
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