東京タレントナビ - タレコラ

Dr.片山晴子 RSS Feed

金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2007/12/28

わんこそばで鍛えた底力?!…女帝の資質(3)

前回は、女帝・菅原初代の武器の一つとして「歯」を取り上げました。そしてそこに更に加わる第二の武器…それは、「岩手在住」というプロフィールです。わんこそばで鍛えたのかどうかはともかく、彼女の嚥下力(えんげりょく)の強さも女帝級です。嚥下力とは、平たく言えば飲み込む力…つまり、食べ物を口から胃に押し込んでいくノドの筋郡ないし食道の蠕動力の総称と定義できます。そしてこれは、試合終盤に食べ物の逆流に耐える力の強さにも通じています。

今大会の本番撮影中、圧巻だったのがバリ島での最初の勝負となった「豚バラ串45分」でした。元々、前半から飛び出す先行逃げ切り型の試合運びで勝ち進んできた彼女でしたが、この豚バラ串でのスピードは人間離れしておりました。串に数切れ連なって運ばれてくる、焼きたて状態でも比較的固い豚肉が、まるでヘビに呑まれていくように、食道〜胃の蠕動運動に乗って消えていくのです。そんな彼女を番組プロデューサーが心配そうに、半ばあきれつつ、観察しては叫んでおりました。

 「三回しか噛まないで、どうして肉が食えるんだ?!」

ちなみに、大食い番組の常として、同じ食材であっても選手の手元に来るまでに当たりはずれが出来てしまうことは避けられません。豚バラ串も、焼きたての段階ですら十分に弾力豊富な肉なのですが、これが冷めるとさらに固くなります。それでも、彼女の噛む回数は変わる気配を見せません。まるで「わんこ豚?」の世界です。

なお、あの試合では、異例の事態も発生しました。豚バラ串を焼くペースが選手の食べるペースに追いつかず、試合開始後12分余りの時点で十数分の中断を余儀なくされたのです。これに関してもまた、印象的なエピソードがあります。

試合途中の中断は、大食い選手にとってはイヤなものなのだそうです。試合再開を待っている間に血糖値が上がってしまい、満腹中枢が刺激されてあまり食べられなくなってしまうからです。白田信幸君や山本卓弥君といった百戦錬磨の2人ですら、中断中の表情はあまり明るくなく、再開後に向けて気を引き締めているようでした。

そんな中、菅原さんに調子の善し悪しを聞いてみました。すると、「待っている間に幽門が開いたのか、肉が下に落ちて楽になりましたぁ」と余裕の笑みを、さらに摩訶不思議なダンス(?)のおまけまで見せてくたのです。ちなみに、医学的見地からみて、食事開始から15分そこらという短時間で消化が完了ないし幽門が開くというのは異例の早さです。まして、消化の悪い食材ならなおさらです。いずれにしても、食材を先送りする内蔵力の強さという点で、彼女は大食い界でも随一の存在といえるでしょう。

それにしても、菅原さんのあまりの怪食ぶりに、助けを求めるように私の方を見ていたプロデューサーのあの顔は、一生私の脳裏から消えることはないでしょう。

しかし、彼女の真骨頂は、実は<大食いの資質…大項目>(3)精神力、つまりメンタル面の強さにあります。これについては、次回に続きます。

備考
<大食いの資質…大項目>
(1)  胃全体の容量
(2)  胃に食べ物を入れるスピード
(3)  それらをコントロールする精神力