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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2014/04/18

大島高校センバツ初出場記念!即興カラオケにオススメの曲「安陵愛唱歌」

「日本に旅行したときの一番の思い出は?」と周囲のドイツ人に聞くと、たいてい同じ答えが返ってくる…ということに気付いたのは、割と最近のことでした。これは老若男女を問わない傾向のようですが、特に若い人の場合はそれはもう判で押したように、彼らが一番に挙げるその返答とは、ズハリ、「カラオケボックス」です。ついこないだも、所用のため行った銀行の窓口で、私が日本人であることを知った男性行員が、いきなり「日本でのカラオケボックス体験」を熱~く語り出してビックリしました。

こちらはむしろ、外国人の日本滞在の目玉といえば「日本食」や「マンガ」「アニメ」「ゲーム」ひいては「電化製品の買い物」などを想定していたのですが、最近はドイツの都市部はもちろんどんな田舎にも日本食レストランがあり(←ただし、日本人が経営しているとは限らない”ナンチャッテ日本料理”の方が多い)、書店やDVDショップはどこでも日本のマンガや映画などをまとめた”日本コーナー”を設置、電化製品も日本で買うと電圧仕様が異なることから後々壊れるケースも少なからずあり(←特にパソコン故障とケーブル断線)、そっち方面は彼らは国内で間に合わせている様子です。しかし、「カラオケ」となると、カラオケ機器つきのバーはドイツでも近年多くなりましたが、見知った者同士だけで個室を占有して楽しむ「カラオケボックス」というスタイルは、いまだにドイツでは少なくとも私は見たことすらありません。

日本のカラオケボックスはセルフサービスで飲み放題のドリンクバーがあったり食事も可能ですし、何よりも、見知らぬ他人の曲を聞く必要がないため順番が早く回ってくること、一人でも入店可能で(宴会等に備えた)歌の練習ができたりと、いっぱい歌いたい人にとっては大きな利点が揃っています。にもかかわらず、これがドイツで商売ベースとして展開される気配がないのは、アウトドア志向でどんなクソ寒い日でも「空気の入れ替え」と称して窓を大きく開けたがる”酸欠嫌い”のゲルマン魂(?)や、赤の他人とのコミュニケーションをストレスというより喜びと感じる社交性(←ただし南欧諸国にははるかに及ばない)に負うところがありそうです。しかし、そんなゲルマン魂の持ち主も、日本に滞在している間だけは、いつもなら忌避する「狭い閉鎖空間」にも果敢にチャレンジするようで、そのインパクトは「ドイツでは絶対に経験できない最高の思い出」として、彼らの脳裏に深く刻まれるようです。

さて、3月下旬に再び帰国してきた私すでが、先週ご紹介したフィギュァスケーターのサフチェンコ・ソルコヴィー組がドイツ紙に吐露したのと同様のキツい時差ボケに悩まされていました(→フィギュアスケート世界選手権inさいたま…ドイツの新聞とテレビでみるドイツ選手の意外なホンネ)。当時、春のセンバツこと第86回選抜高等学校野球大会がとっくに始まっており、一日あたり3試合が組まれていましたが、帰国早々の頃は「目覚めれば第3試合」(笑)という情けない有様で、そんな中でも早朝の仕事があったりと、体内時計の調整に大いに苦労していました。そんな中、這うようにして甲子園までたどりついてようやく観戦できたのが大会第5日目第3試合、後に優勝することになる龍谷大平安の初戦「龍谷大平安vs大島」でした。



「大島」とは、伊豆大島でもなければ周防大島でもなく、鹿児島県の離島の一つである奄美大島の県立高校のことです。アルプススタンドには、全国で活躍する大島高校OBを始めとして、奄美大島出身者がまるで盛大な同窓会のごとく一同に会しており、お揃いの緑色のウィンドブレーカーを着て熱い応援を展開していました。写真中央の彼らの圧巻の人文字は、ここでは「大島高校 安陵魂」と映し出しています。大島高校の同窓会組織は「安陵会」と呼ばれ、大島高校の前身である旧制大島中学校(1916年~1948年)の校歌は「安陵愛唱歌」(1937年完成)として今にも歌い継がれています。

鹿児島県立大島高等学校 校歌・愛唱歌
http://www.edu.pref.kagoshima.jp/sh/Oshima/1_about/3_song/daicyu.htm

試合そのものは16対2で大差の勝利だった龍谷大平安は、応援の迫力では大島に完全に圧倒されていたことをこの試合で猛省したとかで、2回戦以降は見違えるほどその応援の演奏も声援もグレードアップかつパワーアップしました。元々オリジナリティー溢れる応援で有名な平安でしたが、近年やや失われつつあったその迫力をこの初戦での経験で取り戻し、そのまま一気にセンバツの頂点まで駆け上ることができたことは、ひとえに「大島効果」の影響と言えるでしょう。その大島高校はこの大会で応援団最優秀賞も獲得し、決勝戦後の閉会式では応援団長に表彰盾が贈呈されていました。



さて、話は飛びますが、ドイツの銀行員の話に感化されたという訳ではありませんが、少し時間があったので、先日地元のカラオケボックスにふらりと入ってみました。そこで何気なくリモコンを操作していて、偶然発見したのがこの曲でした:


民謡の沖縄・奄美曲のカテゴリーの中に入っていた「安陵愛唱歌」に、つい先日の甲子園の思い出もあり、咄嗟に反応してしまいました。作曲は、高校校歌の最高傑作の誉れ高い松商学園(長野)校歌を始めとして、かつての甲子園常連校の享栄(愛知)校歌、最近の甲子園でもよく流れるようになった慶應義塾塾歌、進学実績で有名な開成学園(東京)校歌など、多数の校歌・学園歌を手掛けたことでも知られる信時潔氏です(ちなみに戦時中よく流れたという「海ゆかば」も同氏の作曲)。この安陵愛唱歌に関しては、甲子園で聞いたのかどうかの記憶もあいまいでしたが、無謀にも歌ってみることにしました。その際、機械の採点機能をオンにし、上写真の右上の○がピンクになる時は音程が合っているという意味であることを逆手に取り、ほとんど即興というか自ら作曲しているに等しいデタラメの歌を試行錯誤でオリジナルの音程に合わせていくという形で、何とか歌いきってみました。


(右上の三個の○のうち、左端の♪のあるのが音程の合否を示す)

信時潔氏の楽曲に特有のパターンを甲子園観戦を通じてある程度把握していたのと、そのメロディーラインが比較的素直なために次の音の予測がしやすかったことはありますが、それにしてもこの我が即興のデタラメソングで85点も出たのには驚きました!


知らない曲で音程が81%合致というのもビックリながら、総合得点が85点に上がるのは何が寄与したのか、それ以前に、カラオケの点数はそもそもどのパラメーターによるどういう数式からはじき出されるものなのか、そっちの方にがぜん興味が湧いてきました。次回またカラオケボックスに行く機会があれば、今度は安陵愛唱歌をキッチリと覚えた状態で何点出るのかを比較対照してみたいと、再チャレンジを心に誓った私でありました。

余談ついでに、この時カラオケで同様に歌った別の曲についても紹介しましょう。羽生結弦選手が金メダルを獲得したソチ五輪でのショートプログラムでの使用曲、ゲーリー・ムーアの「パリの散歩道」が、カラオケ音源として収載されていることを、私は今回初めて知りました。


こちらは「羽生効果」で日本のフィギュァスケート中継では繰り返し何度も流れている曲なので、多くの日本国民がその旋律そのものなら知っているはずです。しかし、これが御大ゲーリー自らお歌いになっていらっしゃる歌唱つきの曲であることを、私は露ほども知りませんでした。かくして、これまた出たとこ勝負のメチャクチャ歌唱になってしまったのですが、そんな惨状の中で何と92点という高得点が出て絶句してしまった私でした。ただでさえ点が出にくい洋楽、しかも熟知している曲でもなかなか出ない点数が、全く知らない曲を歌って出るというのは、はっきり言って納得がいきません(笑)。

 


ちなみに、本家が歌うオリジナルのリンク先はコチラです↓。羽生君の演技でしかこの曲を知らない者にとっては、このボーカルパートの旋律は全く聞き馴れないメロディーラインで、何度聞いても覚えられそうにありません。この92点はよほどのマグレの産物としか考えられませんし、同じことを再現するのはSTAP細胞以上に困難ではないかと思います(笑)。

Gary Moore - Parisienne Walkways - Live HD
https://www.youtube.com/watch?v=vkUpfw4Hf3w
Gary Moore - Ballads & Blues 1982-1994 (Full Album)
https://www.youtube.com/watch?v=JsDUNusFS0o
(該当曲は12:26頃から)

かつて、まだカラオケがボックスでなく居酒屋やナイトクラブやバーにしか存在しなかった時代、誰かの入力ミスで聞いたことも見たこともない曲が店いっぱいに流れてきた際、(一曲かけると課金されてしまい取り消しが利かない店の場合は特に)取り消すのはもったいないと、みんなで想像力をたくましくしてその曲を即興で無理やり歌いきったものでした。当時全盛のレーザーディスクカラオケはリモコン選曲が数字入力だったので、時にはわざと目をつぶってランダムに数字を入力、恐ろしく古い歌などが出てきてヒャーヒャーと一喜一憂しつつ皆でしどろもどろになりながら歌ったりしたもので、宴会の余興としては(少なくとも私の周囲のコミュニティーでは)絶大な人気がありました。今思えば、古い時代の古い機器の不便さゆえに成しえたお遊びですが、技術は未発達でも実にのどかで結構楽しい時代でした。

今回の件で、奄美大島と縁もゆかりもない私のカラオケレパートリーに「安陵愛唱歌」が仲間入りすることは間違いないでしょう。「カラオケボックス」「採点機能」という時代の変遷こそあれ、あの時の宴会芸が21世紀に復活してきたかのような楽しさを、いずれドイツに戻ったらドイツ人にドイツ語でどう説明しようかと、そして、それを聞いたドイツ人のリアクションはいかばかりかと、今から想像するだけでワクワクしております。


<参考サイト>

鹿児島県立大島高等学校 校章・校訓
http://www.edu.pref.kagoshima.jp/sh/Oshima/1_about/2_motto/motto.htm

安陵の父・奥田愛正先生を偲ぶ会
http://amamishimbun.co.jp/index.php?QBlog-20130202-1

日本の作曲家たち/16 信時潔
http://www.medias.ne.jp/~pas/nobutoki.html
(同氏の写真あり)

信時潔作曲 校歌
http://home.netyou.jp//ff/nobu/NobuKoka/KokaExcel.htm
(来年2015年は信時潔氏没後50年なのだそうです)
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