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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2013/08/30

前代未聞の珍光景in甲子園(2)…弘前学院聖愛(青森)の比類なき「お作法」3連発!

今年の甲子園は、前橋育英(群馬)の初出場初優勝で幕を閉じました。群馬県勢の優勝は1999年夏の桐生第一以来14年振りの快挙となりました。大会後半をほんの数日しか見ることのかなわなかった私ですが、それでもこの大会には幾多の楽しい発見があり、後々の思い出に残ることの間違いない大会と言えそうです。なぜなら、今大会が”甲子園観戦歴ン十年”の私から見ても非常に珍妙な光景のオンパレードだったからであり、その中でも筆頭格と言える存在が、これまた今大会が初出場となる青森代表・弘前学院聖愛(以下、聖愛)です。そのかつてないほど独特なお作法は、見る人々の心に強烈な印象を残していきました。それでは、その「お作法」について私が選んだトップスリーを順に見ていきましょう。


お作法その1) 「試合後に3方向に向かって挨拶する」

高校野球ではご存じの通り、試合終了後には勝利校の校歌が演奏されます。校歌斉唱が終了すると、両チームの選手および監督・部長・スコアラーはそれぞれの応援席であるアルプススタンド前へ駆け出していきます。通常、彼らはアルプススタンド前に横一列に並び、自校応援団に向かって一礼してからそのままベンチに走り去っていく…というのがこれまでのお決まりの「お作法」でありました。それが、大会第11日の三回戦登場して延岡学園(宮崎)に敗退した聖愛の場合、この「お作法」の手順が大いに異なっていたのでした。

・ステップ1:.まず、相手の延岡学園が三塁アルプスに向かって整列したら、聖愛もまた相手側である三塁アルプスに向かって整列。そして、延岡学園が自校応援団に向かって礼をするのと完全にシンクロするように、聖愛も延岡学園サイドである三塁アルプスへ向けて深々と頭を下げる↓。(アルプススタンドの野球部員も一緒に礼しているのがこの写真にも写っている)

三塁アルプスの延岡学園応援席からは当然、聖愛の選手一同の行動が真正面に見えるので、この史上初ともいえる異例な光景に対して、延岡学園応援団はかつてない大歓声で異様な盛り上がりを見せていました。しかし、この光景に背を向けている延岡学園の選手たちは、自校応援団が何に対してここまで盛りあがっているのか、この時点では事情が分かっていない様子だったのが印象的でした。


・ステップ2:次に、一塁内野席およびネット裏の一般客へと向きを90度転換し、同様に一礼する。

 
なお、この「応援席と内野席に対して別々に挨拶する」は延岡学園(下写真手前)も一貫してやっていることであり、ここでも両チームの礼の向きとそのタイミングはほぼシンクロしている↓。
 


ステップ3:最後にようやく自校応援団に対して3方向目となる礼をする。


(なお、延岡学園は前述のようにアルプススタンドと一般内野席の2方向への挨拶が「お作法」なので、聖愛がアルプススタンドに向かって3度目(3方向目)となる挨拶をする時点では、もうベンチに戻ってきている)

甲子園で試合後にアルプススタンドおよび一般内野席の2方向に向けて礼をする「2方向挨拶派」は、20年以上前の甲子園では見た記憶が皆目ありませんが、ここ数年はそのようなチームが増加傾向にあります。察するに、昨年春夏連覇の偉業を達成し、今大会にも出場した大阪桐蔭(大阪)がかねてからこのスタイルであることが、多くのチームの感銘とそれにあやかりたいという心理を呼び起こしている…というのが主因でしょうか。しかし、「3方向挨拶派」となると、間違いなくこの聖愛が甲子園史上初ではないかと思います。これがホントの『三顧の礼』ってヤツでしょうか(笑)?春夏通じて初出場にもかかわらず2勝を挙げ、津軽リンゴっ子旋風を巻き起こしたこの聖愛の姿を目の当りにして、次は全国津々浦々で『三顧の礼』が流行する可能性も十分あります。下手したら、さらに上を行く『四顧の礼』(笑)の登場も夢ではないかも知れません!来年以降の甲子園に伝染病のように広がるかもしれない新たな「お作法」が、今からちょっぴり楽しみでもあります。


(参考までに、昨年夏の甲子園で優勝した大阪桐蔭の写真も紹介↑。自校アルプスへの応援を済ませた後、クルリと180度その向きを変え、相手校アルプスに向かってこれから礼をしようかという瞬間。左から6人目には、現在阪神タイガースで活躍中の藤浪晋太郎投手の姿も)


お作法その2)試合途中のグラウンド整備を終えて退場しようとする甲子園のグラウンドキーパーを、ベンチから全員で出迎えて礼をする。

 

 
NHKの中継でも、この「グラウンドキーパーへの礼」を取り上げて解説者やアナウンサーが褒めていました。よく見ると、右端のボールボーイまで同じ挨拶をしています。もっとも、これは昔からちょくちょくみられる光景であり、聖愛だけの専売特許ではありません。有名なところでいうと、2006年センバツ準優勝・2009年選抜優勝でも知られる清峰(長崎)がその初出場時から一貫して行ってきたことでも知られており、このスタイルは九州のチームに比較的多い印象があります。


お作法その3) 試合終了時の挨拶の際の「ハグ攻撃」!

試合が終わり、両校選手がホームベース付近に一斉に整列します。主審がゲームセットをコールすると、試合終了のサイレンが鳴り響く中で両チームが深々と頭を下げます。


ここまでは珍しくも何ともない、いつもながらの光景です。

思えばン十年前の昭和の時代、試合終了の挨拶をした選手同士は握手すらせずに逃げるように分かれていったものでした。しかし、21世紀の現代の高校野球はもっと友好的と見えて、一礼したあとには両者が歩み寄りって握手などしたり言葉を交わしたりするのが当たり前のようになって今に至っています。

しかし、聖愛はここでもまた、昭和の時代からやってきた私の度胆を抜く「仰天のお作法」を見せてくれたのでした。選手の半数近くだったかと思うのですが、何と、延岡学園の選手へと突進していきなり抱きついたのです!さすがはキリスト教のミッションスクールだけのことはあり、教義たる博愛の精神をそのまま体当たりで表現したようなその姿は、欧州暮らしの長くなった私には何の違和感もない光景であると同時に、聖愛メンバーの一種の「日本人離れ」したキャラクターの潜在を感じさせました。もっとも、延岡学園の選手はその瞬間、微妙に後ずさりしていたようにも見えましたが…(笑)。

いずれにせよ、あまりに突然のハプニングだったため、私はデジカメを取り出すのが間に合わず、千載一遇のシャッターチャンスを逃してしまいました(涙)。この試合がたまたま素晴らしき熱戦でもあり、完全燃焼できたという気持ちの発露としてのハグだったのか、それともこのチームは元々「抱きつき作戦」(笑)でここまで勝ち上がってきたのか?それまでの聖愛の試合を見たことのない私には予想だにできませんでした。

ということで、テレビの録画映像を見直してみました。しかし、NHKも朝日放送(ABC)もいずれもアングルやカット割りが「ハグ攻撃」の確認に不向きなものばかりで、私が見ていた三塁内野席からだと一目瞭然かつ壮観ですらあった「抱きつき」の決定的瞬間が捉えられていません。


(NHK)


(ABC。キャプテンどうしのワンカットだけかろうじて確認)

最近は光星学院(今年から八戸学院光星へ校名変更)の大躍進ですっかり甲子園上位常連県となった青森から、エラく個性的な新顔のチームが全国区に名乗りを上げました。願わくば来年以降、今度こそはシャッターチャンスを逃さぬよう写真技術も鋭意磨きつつ、今後の聖愛の活躍にもますます注目していきたいと思います。

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