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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2013/06/21

ヨーロッパはファッションの通販天国!英国キャサリン妃は「安価でないとオシャレを楽しめない人たち」のシンボル?

ヨーロッパはファッションの通販天国!英国キャサリン妃は「安価でないとオシャレを楽しめない人たち」のシンボル?

本年7月に第一子の出産を控えるイギリス王室のキャサリン妃は、6月13日に最後の単独公務として豪華客船の進水式に参加、さらには6月15日にエリザベス女王の誕生日の祝賀式典したのを最後に、本格的に出産準備に入ったと報じられています。

「ロイヤルプリンセス号」と命名されたこの豪華客船の進水式に、キャサリン妃は白黒のダルマチアン柄のコートを着て隣席したようです。見たところ、このコートはホブス(HOBBS LONDON)というブランドの「ダルメシアン・マック」(Dalmatian Mac)という服で、お値段は定価で169ポンド(≒約25180円)とそんなにベラボーな高さではなく、頑張って倹約すれば庶民にも手の届きそうです。ただし、目下のところ絶賛品切れ中(笑)であります。

HOBBS LONDON - Dalmatian Mac
http://www.hobbs.co.uk/product/display?productID=0113-4001-9091L00&productvarid=0113-4001-9091L00-BLACK%20IVORY-18&refpage=coats-jackets
”Dalmatian is the print of the season. Be stylish and animal friendly with the Hobbs Dalmatian coat - a minimalist design that lets the print make the statement. Hanging to the knee, the collarless coat has a zip fastening and two front pockets. Wear it with a simple outfit to give the mac its full effect. ”

(2013年6月14日CNNニュース動画より引用)

(2013年6月13日INSTYLE.com記事より引用)

上記リンクからはさらに、キャサリン妃のトータルコーディネートをそのまま真似っ子したい女性たちのために、帽子(79→59ポンドに値下げ)やピンヒール(149ポンド→104ポンドに値下げ)も販売されており、”ケイトさん商法”の健在ぶりとそのたくましさに驚くばかりです。

INVITATION by HOBBS - INVITATION IMOGEN HAT (帽子) : 59ポンド≒約8790円
http://www.hobbs.co.uk/product/display?productID=0113-1829-040000&productvarid=0113-1829-040000-BLACK-1SIZE
HOBBS LONDON - RENE COURT (靴) : 104ポンド≒約15500円
http://www.hobbs.co.uk/product/display?productID=0113-C90R-002H110&productvarid=0113-C90R-002H110-BLACK-41

「ダルメシアン」といえば「101匹ワンちゃん」でもお馴染みの、しかも私がここのところヒイキの引き倒しにしているクロアチアのダルメシア地方を原産とするワンコの種類でもありますが、上記の商品説明に「ダルメシアンは今シーズンの流行プリントです」などと書かれているのを見るにつけ、思わずクロアチア国民になり代わって全世界にお礼を言いたくなってしまう私です(笑)。また、この「シンプルなデザインがこの派手なプリントを引き立てる」という説明文をそのまま地で行くようなキャサリン妃の着こなしもお見事で、とても妊娠8か月とは思えません。

ちなみに、このダルメシアン柄のコートは売り切れているものの、同柄の半そでワンピースはまだサイト上では販売されており、こちらもお買い得価格(定価110ポンド≒16400円→値下げで88ポンド≒約13100円へ)となっています。ただ、ついでに楽天市場をのぞいたら、これと全く同じワンピースが日本では32600円で販売されていることを発見してしまい、ヨーロッパデザインのファッションにはいつも倍以上のカネがかかるという、我らが日本の悲しい宿命に思いを馳せるのでした。私自身、ドイツやフランスに行く機会が増えるようになって初めて、日本のデパートで2万円程度だった服と全く同じものが、かの地では定価でも7000円程度(バーゲンだとさらにその半値以下)で入手できる、という圧倒的な現実を目の当りにして愕然としました。かの地のギムナジウム学生やリセエンヌはほんのお小遣いに毛が生えた程度の金額で心行くまでオシャレを楽しめるのに対し、目の飛び出そうなジャパン・プライスの服飾代を、なけなしの小遣いや食費を切り詰めてまで捻出するお嬢さんの姿などを見るにつけ、「こんな日本の一体どこがデフレなのか?」と、プランタン銀座の真ん中で叫びたいような気持ち(笑)になったこともありました。

なお、このキャサリン妃の愛用ブランドとしては、こちらの会社の名前も挙がっています:

ASOS  discover fashion online
http://www.asos.com/

このASOS(エーソス)という会社、2000年にイギリスでスタートしたオンライン専門ショップであり、その最大の特徴は「キュート」「フェミニン」でありながら「他にないような独自性」を持つそのデザインと、それを徹底した低価格で販売しているということにあります。この方針が低所得層ないし小遣い額に制限のある若年女性層に爆発的に受け入れられたということが、同社がリーマンショックや欧州経済危機をものともせず快進撃を続ける理由ではないかと推察します。さらに、この業界では先駆的と言えるのは、商品を実際に着用したモデルのキャットウォーク動画を全商品で掲載していることです。二次元の写真を何枚も角度を変えて見るよりも、動画ならではの「商品を自分が実際に着たら他人からどんな感じに見えるか」を繰り返し確認して脳内シミュレーションをできることは実に重宝しますし、後々のトラブルや返品のリスクを軽減する観点からも、今後他社が追随してくる可能性があるでしょう。私もこのサイトでは何度か買い物しており、厚手の紫のコート(70ユーロ≒当時のレートで8400円)は昨年のウィンターシーズンに大活躍してくれました。

しかし、私がこのASOSブランドで何よりもその慧眼に感服したのは、通常ラインアップの服と全く同じデザインのものを、さらにマタニティ仕様・おデブちゃん仕様・おチビちゃん仕様で用意していることです(全商品ではないようだが、いずれもかなり多様なラインアップを揃えている)。これらはそれぞれ「ASOS Maternity (マタニティ)」「ASOS Curve (カーブ)」「ASOS Petite (プチ)」なる名称の別カテゴリーに入っています。なお、「プチ」(おチビちゃん)の定義は「身長160cm以下」だそうで、平均身長158cm余という日本人女性はかなりの人数がここのカテゴリーに入りそうな感じです。通常ラインアップの方は身長175cmが基準になっているようで、これなら身長が178cmのキャサリン妃は何を着てもドンピシャリな訳です。

今さらながら、どうして今回ASOSの話になったかというと、ちょうどASOSのことを執筆していたところに、「キャサリン妃愛用のマタニティドレスのブランドがASOSである」という内容の女性自身の報道がグッドタイミングで入ってきたからです。

女性自身(2013年6月13日配信)臨月間近の英キャサリン妃、激安ワンピースでお買い物
http://jisin.jp/serial/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%A1/hollywood/6980
”(中略)…このワンピース、名だたるメゾンの製品かと思いきや、英国のファストファッションブランド「ASOS」のマタニティラインのもので、なんと値段は25ポンド(約3,700円)だというから驚きだ。…(中略)…ちなみにこのドレス、現在はセールで17.50ポンド(約2,600円)にまでディスカウントされており売り切れは必至。キャサリン妃とお揃いのマタニティファッションを楽しみたい妊婦の皆さんは急いだ方が良さそうだ。”

(2013年6月11日INSTYLE.com記事より引用)

いかがでしょうか。上記写真左はキャサリン妃のプライベートショットだそうで、右側の「ASOS Maternity」のモデルが着用しているのと同じネイビーブルーのマタニティドレスに紫のカーディガンを合わせています。この女性自身の元ネタだと思われるcanada.comの記事によると、このドレスは定価40$のところを28$で売っているが売り切れ必至(カナダのサイトなので単位はおそらくカナダドル)、ウエストがゴムで伸縮するため腹部が快適、しかも素材が洗濯機で洗えるヴィスコース96%…といった具合に、セールスポイント満点です。しかも、妊婦用のマタニティドレスといえば歴史的にもオシャレだったためしがありませんので、その点ここのマタニティドレスであれば、キャサリン妃に限らず、妊娠後も自分のファッションレベルを落としたくないと考える妊婦さんのオシャレ心を存分に満たしてくれることは間違いないでしょう。

なお、この女性自身の記事の中で一カ所、読んで違和感を抱いた部分がありました。キャサリン妃が「激安ワンピース」を着ることをどうして「驚きだ」と表現するのだろうか?ということでした。

ドイツの人(とくに若い女性)を見る限り、かつてはファッションに完全に無頓着だったのが、ここ数年のうちにようやく多少の色気に目覚め始めたように見えます。しかし、それでも「身の丈に合った予算内でいかに自分らしさを表現するか」こそがファッションの醍醐味と思っていることが、彼らの言葉の端々には表れています。「食費をケチってまで買う服なんて、あるわけ無い!」「そんな金があれば、まずは海外旅行に決まってるだろが!」が国民的コンセンサス(?)であるような人間集団の中では、妙に高価な服やカバンを持っていたら、その方が周囲からプカプカ浮いてしまいそうです。

キャサリン妃の親しみやすいファッションも、多分にそんな欧州気質の一般庶民をターゲットに据えた英国発の”服飾資本主義勢力”の拡大戦略を背景にうかがわせますが、その背後に"打倒、フランス・イタリア・スペイン!もうダサイなんて言わせない!”の声も若干聞き取れるような気がするのは空耳でしょうか(笑)?いずれにしても、可処分所得の範囲内で自分の生活と折り合いをつけてこそのファッションであって、「安くなければ楽しめない」「でも安かろう悪かろうではイヤ」という気難しい乙女のニーズを絶妙にうまく捉えたのがASOSであることは間違いありません。そして、そのシンボルともいうべきモデル役を王室メンバーが担ってしまうという、日本ではとても考えられない現象が、「開かれた王室」のイメージ戦略にも大いに貢献しているということなのでしょう。

なお、ASOSは通常配送は全世界無料ですが、これだと日数がかなりかかります。そこで、購買額が一定金額を超えた場合、決められたコードを入力することで速達配送料を無料にすることができます。その無料になる金額を国別に比較してみて気付いたのですが、ファッション界を名実ともに牽引するフランス・イタリア・スペインは75ユーロ(約9600円)以上のお買いもので速達無料にしてもらえるのに対し、ドイツは100ユーロ(約12800円)以上買わないと無料にならないのです。これは、ドイツが好景気でカネ持っていると思われているのでしょうか、それともドイツ女のファッションセンスはまだまだと足元を見られているのでしょうか?ちなみに、これがオーストリアだと125豪ドル(約11280円)以上、ロシアは6000ルーブル(約17880円)以上のお買いもので速達配送が無料となります。この数値の微妙な高低もまた、何らかの事情や意図が隠れていそうで興味深いです。

ここで気を付けていただきたいのが関税です。配送料は無料でも、送り先が日本の場合、税関で足止め食らった末に勝手に中身を開けられ、関税の請求書がピラリと追加されてきます。関税額は商品購入総額が1万円以上10万以下の場合は、個人輸入であれば商品代金の60%を掛け、その10%が関税額となり、これに税関手数料が200円かかります。私も、通販で洋服5点ほど合計約3万円程度の商品の送り先を日本にしたところ、2000円余りの関税の払込書が同封されて随分遅れて到着、後日支払った経験があります。送付先がドイツだと同じEUで関税がかからないことを考えれば、各種の規制の壁が厚い日本という国は、いい意味でも悪い意味でも、海に囲まれているという意味にとどまらず、「基本的には閉じた国である」という現実に直面するのです。

なお、「未来の王妃キャサリンの激安ワンピ姿」には、実はもう一つ重要なメッセージが込められているのではないかと私は思っているのですが、それについては長くなるので来週に稿を改めたいと思います。


<参考サイト>
InStyle.com - Way to Go Out Like a Superstar, Kate Middleton! Royal Wears Dalmatian Coat for Final Appearance
http://news.instyle.com/?cat=37116383

canada.com - "Thrifty Kate scores a royal bargain with jaunty jersey dress from ASOS"
http://www.canada.com/life/royals/Thrifty+Kate+scores+royal+bargain+with+jaunty+jersey+dress+from+ASOS/8508703/story.html

個人輸入の関税・関税率について
http://www.privateimport.com/information/dutytax/
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