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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2013/05/17

クロアチアに見出す日本(3)…共通点は「食い倒れ国家」?美味しいクロアチア料理と国民の苦悩

本年1月に訪問したクロアチアについては、以前も当コラムで取り上げたのですが、今週はその滞在時にとても美味しくて心に残ったクロアチア料理について、少し考察を含めて取り上げたいと思います。

クロアチアは1991年に独立した旧ユーゴスラビアの国の一つで、下の図のように、アドリア海に面した部分と内陸部を有しています。

(観光情報サイトkroati.deから引用)

アドリア海沿いの複雑な海岸線と、その沖合に数多くの離島があるところは、日本を彷彿とさせるものがあります。そして、そこから取ってつけたように斧の先のような形の内陸部がつながり、全体としてはXの字のようにもZの字を横にしたようにも見える独特の形状の国土を成しています。このトロピカルな海岸線、険しい山岳部、さらには内陸の平原…という国土の多様性が、日本にも負けない特産食材の多様性をもたらしていることは、この国が欧州でも屈指の「食ベものの美味しい国」として広くその評判を知られていることからも伺えます。その「食い倒れ国家クロアチア」を可能にする3つの気候区分の混在を分かりやすく示したのが上の図です。薄いオレンジのアドリア海沿岸は地中海性気候、濃いオレンジの山岳部分である中部クロアチアは山岳性気候、首都ザグレブを含む青色の内陸部分である北クロアチアは大陸性気候となっています。地中海気候地区ではその温暖な気候を利したオリーブ(油)・トマト・オレンジやブドウ(ひいてはワインも)など、基本的にイタリアやスペインと変わりないようなラインアップの食材が特産品であるのと、沿岸で展開する漁業が有名でシーフードの消費も盛んなのは、最近日本のスーパーやデパートで「クロアチア産マグロ」を見る機会がかなり増えていることでもご存じの通りです。これが山岳部となると、アルプスのような連峰が続き一転して夏も冬も寒く、酪農・牧畜に適した気候となるため、ほとんどスイスかと思うような牛乳・チーズなどの酪農品にブランド品の高価な生ハムなどが知られています。さらには、この山岳部があることにより、質の良い天然のミネラルウォーターがもたらされ、以前のコラムでも登場した国際的にその名を知られる名水「Jana」がその代表選手でもあります(→クロアチア土産の中に見出す日本(2)…MIKADOにSAPOROって?!キティちゃんボトルの水も登場!)。内陸部は夏暑くて冬寒いという典型的な寒暖の差の激しい気候ですが、2つの川に挟まれているという恩恵もあり、欧州でも有数の穀倉地帯となっています。これまた美味しいことで知られるパンやパスタを生み出す小麦粉、さらにはポテトにトウモロコシの生産も盛んです。面積からすると九州の1.5倍しかない国でありながら、これだけの食材が全部国内で揃う環境は珍しく、そこに住む428.5万人の人々の欲張りな胃袋を満たすには申し分のない「元祖!大食い理想郷」とでも呼ぶにふさわしい国なのであります。

さて、そんな食い倒れ国家クロアチアの、アドリア海沿岸に浮かぶ数多くの島の中の一つに、コルチュラ島というのがあります。私はクロアチアの首都ザグレブでの滞在中、そんなコルチュラ島の名を冠した市内中心部の老舗シーフード料理店「レストラン・コルチュラ」で食事をする機会がありました。

クロアチアといえば魚、そしてイカ墨リゾットです。ということで、私はこれらの含まれたディナープレートを注文しました。出てきた料理を店員さんが丁寧に取り分けてくれたのが、コチラです↓。

ちょっと暗くて見にくいのですが、取り皿の奥側半分が魚、手前左がイカ墨リゾット、手前右が野菜とポテトの炒め物です。同じ海洋部分を持つ国同士という共通点のなせる業なのか、クロアチアのシーフード料理は比較的日本人好みの味に仕上がっており、ポテトもリゾットも同じく絶品でした。さらに、魚にかかっているソースはお店特製のガーリック・ミントソースで、口が臭~くなってしまうのですが、美味しさのためなら全然許されるレベルです(笑)!これにクロアチア特産の白ワインを合わせ、それはもう天国のようなディナータイムを過ごすことができたのでありました。

しかし、次の日から、エラいことに…。汚い話で恐縮ですが、翌日以降のお通じが真っ黒になってしまったのです。まさに、消化管出血で見るタール便そのもの…。そうです、イカ墨リゾットを食べると、それが完全に排出されるまで、タール便が続くのです。しかもイカ墨の場合、血液ではないのに、便潜血反応も実際に陽性となってしまうことでも知られます。私の場合、真っ黒のお通じは1日で収まったものの、ドイツから持ってきた尿の試験紙で調べたら、(便潜血用のキットではないためあくまでも参考ではありますが)潜血反応陽性が数日間続いてしまい、「これはイカ墨のせいなのか?それとも、消化管出血が同時進行しているのか?」が分からず、数日後についに反応が陰性化するまではずっと不安が消えずに残ったものでした。ということで、健康診断を間近に控えている方は、イカ墨を使った料理は1週間以上前から避けた方が無難です。

なお、美味しい食材に囲まれているクロアチア国民には、「食い倒れ立国」「大食いパラダイス」ならではの悩みもあるようです。それは、国民の肥満です。ちょっとテレビをつけていても、絶えずこのような通販番組が流れています↓。

これはサプリの宣伝で、これを飲めば「あなたはあなた自身の新しい(ボディ)ラインを体現する」のだそうです(笑)。ちなみに、この当時は1クロアチア・クーニャが約16円(2012年4月8日以降はずっと17円台で推移)なので、このサプリ、ちょっと高すぎるのでは…?それにしても、世の人々がお腹のお肉を気にするのは、どこの国も同じだなあと、以前のベトナムやフランスでの体型補正下着のCMを思い出してしまいました。(→大食いベトナムロケで遭遇した面白いモノ大集合!(3)…どこの国にもある?!「三段腹解消下着」

これはクロアチア版「ピンポンパン」とも呼ぶべき、子供がたくさん出てきてお遊戯をする番組です。この中に登場するたくさんの子供たちも、その背後にチラホラ登場するティーンエージャーや大人たちも、それはもう驚きを通り越して感心してしまうほどに、肥満体の方がとんでもなく多いです!ザグレブ市内を歩いたり公共交通機関に乗ってもこれはすぐに目に留まるのですが、クロアチアにおける国民の肥満率の高さ、それも特に顕著な子供の肥満率の高さは、同国内でも随分と問題視されているのだそうです。

ただ、本場のクロアチア料理の味のレべルの高さを実体験してしまうと、ついつい食べ過ぎてしまう国民の気持ちも分からないではありません。また、「肥満になりやすい」という遺伝的素因は、裏を返せばスラブ諸国のお家芸とも言うべき格闘技や重量挙げなどのパワースポーツの強化には有利に働くでしょうし、バスケットボールやサッカー、アイスホッケー、テニスなどの分野において、世界中に有名選手を数多く輩出しているこの国の「ガッチリしていて高身長、それでいて俊敏性もスピードもある」という恵まれた身体骨格の形成にも、この3つの気候区分の恩恵をフルに活用した郷土料理が一役買っていると思われます。そんなクロアチア料理を、おデブちゃんにならない範囲内で(笑)私ももっとじっくり味わう機会を是非また得たいと思っているので、いずれ遠からぬ未来にクロアチア旅行をする機会を夢見て、毎日細々とではありますがクロアチア語の勉強を楽しんでいる今日この頃です。


<参考サイト>
外務省 - 各国・地域情勢 - クロアチア共和国
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/croatia/data.html

kroati.de - Wetter Kroatien クロアチアの天気(ドイツ語)
http://www.kroati.de/kroatien-infos/wetter-klimauebersicht-kroatien.html

MSNマネー - 日本円/クロアチア クーニャ
http://jp.moneycentral.msn.com/investor/quotes/quotes.aspx?symbol=%2fJPYHRK%2c%2fJPYHRK%2c%2fJPYHRK%2c%2fJPYHRK%2c%2fJPYHRK%2c%2fJPYHRK&symbol=/JPYHRK

 

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