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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2013/03/01

クロアチアの中の日本(1)…「欧州選手権inザグレブ」新ヨーロッパチャンピオンは羽生結弦選手のチームメイト

皆さんは、クロアチアといえば何を思い出しますか?ザグレブという都市の名を聞いたことがありますか?もし一年前にこう聞かれていたら、私はしどろもどろの返答しかできなかったかもしれません。今回、フィギュアスケートの欧州選手権がザグレブ開催であったことで、2年ぶりに同大会を観戦すべく頑張って休暇を取得、わが人生初となるクロアチア旅行が実現したのでした。

旧ユーゴスラビア連邦を構成していた6つの共和国の中の一つ、クロアチア共和国は1991年6月25日に独立しました。お隣さんのスロベニアと仲良く同じ日の独立でしたが、直後から国内でセルビア人勢力との激しい内戦や、国連の仲介による停戦、さらなる戦闘再開やボスニア・ヘルツェコビナ紛争への介入、国連暫定統治機構による施政など、長い混乱の年月を経て、ようやく1998年に今の政治体制となるに至りました。

この国は、スポーツが盛んなことでも知られています。長身でパワーのある身体的特徴を利してか、多くのNBA選手を輩出しているバスケットボールが有名で、他にも元世界ランキング2位のイワニセビッチでも知られるテニス、2006年のワールドカップではグループリーグで日本との対戦もあったサッカーなどが挙げられます。首都ザグレブは、旧ユーゴ時代の1967年より続くフィギュアスケートの国際大会であるゴールデンスピン・オブ・ザグレブ(Golden Spin of Zagreb/Zlatna Pirueta Zagreba)の開催地としても知られ、内戦による中断もはさんだこの大会の歴代優勝者の中には、小川勝さん、南里康晴さん、町田樹さん、鈴木明子さん、國分紫苑さんといった日本人選手の名前を見つけることができます。

このゴールデンスピンの開催リンクでもある”Dom Sportova”が、今回の欧州選手権の会場でもありました。欧州選手権なので日本人はさほどいないかと思いきや、フランクフルトからザグレブまでの往路の飛行機も乗客の3分の1以上が日本人だったことにおったまげ、さらには試合会場で多数の日本人女性の観客がリンクサイドを占領し、お気に入り選手の横断幕やお手製の国旗を手に熱狂的な応援を繰り広げている姿に、日本女性の逞しさを見た思いでした。また、選手サイドにも日本にゆかりのある人物がチラホラおり、今回はその方々を写真でご紹介していきたいと思います。

まずは、日本人ではありませんが…今大会で一番の話題をかっさらった人物↓:

表彰台のてっぺんに立った瞬間の、男子シングルのハビエル・フェルナンデス選手(スペイン)です。その経歴にことごとく「スペイン史上初」や「スペイン人としてン十年振り」といった修飾辞がついて回ってきた彼ですが、ついに今回、”スペインのフィギュアスケート史上初の欧州チャンピオン”の称号を手に入れました。二年前の欧州選手権のときは、日本でも有名なあのニコライ・モロゾフ氏に師事していた彼ですが、このシーズン明けに師弟関係を解消して渡米、これまた後に日本でも「羽生結弦選手の新コーチ」として有名となるブライアン・オーサー氏に師事。つまり彼は、オーサー門下生としては羽生君の一年先輩にあたるチームメイトにあたります。羽生選手がチームメイトになったことは、フェルナンデス選手にとって明らかにプラスとなっているようです。細かい振付のパーツが似ているのは当然として、スケーティングスタイルが随分と羽生選手に似てきたと、隣に座ったいかにもスケートマニアというハンガリー人のお嬢さんが言っていました。彼女の見立てでは、「フェルナンデス選手にいまひとつ足りないものを全部備え持っているのが羽生選手」だったことが彼の最大の幸運だとかで、その説がもし正しいなら、フェルナンデス選手がこの欧州選手権で自己ベストを大幅に更新する274.87点(SP 88.80+FS 186.07)でまた一つ”壁”を打ち破り、次は「スペイン史上初の世界王者」の座を虎視眈々と狙えるのも、羽生選手の存在が大きく貢献していることになります。(私としては「逆も真なり」であることを強く期待したい)

そんなチームメイトの快進撃に対し、先月行われた四大陸選手権での羽生選手の調子はあまり芳しくなかったようですが、彼らの狙うところは来る世界フィギュアスケート選手権(3月11日~3月17日、バドワイザーガーデンズ、カナダ・ロンドン)やその先のオリンピックシーズンであり、目下のところこの二人が熾烈な世界のトップ争いの一角を担っていることもまた間違いなく、今頃はきっと互いを強く意識しながらの濃密な練習が続いているのではないかと想像されます。さらに、日本で頑張る我らが高橋大輔選手や、地元開催で勢いづきそうなパトリック・チャン選手(カナダ)も交え、世界王者のタイトルの行方が今から大変楽しみです。

(上は大会会場の各種ブースのうちの一つ、スケート靴メーカーのコーナーにて。左から高橋大輔、パトリック・チャン、羽生結弦の各選手の昨年の世界選手権の表彰台での写真。欧州のただ中にありながら、このデカデカと掲げられたこのスリーショット写真は東洋の威力と存在感を存分に発揮。下は、地元クロアチアのテレビで優勝インタビューを受けるハビエル・フェルナンデス選手)

ちなみに、フェルナンデス選手の元お師匠だったモロゾフコーチは、教え子の演技中にリンクサイドで熱~くなることでも有名です。そんなモロゾフ氏の視線に支えられつつ、今大会で2位となったフローラン・アモディオ(フランス)の迫真の演技はコチラ↓:

 

アモディオ選手の背後のMary Cohrの看板の後方に、看板に両手を掛けつつ教え子の一挙手一投足を中腰の気合で見守るモロゾフ氏の姿が見えます。

さて、次はペアです。ロシア国籍を取得してロシア代表となった「元・日本人」の川口悠子選手も、相変わらず頑張っていました↓:

(ショートプログラム前の六分間練習での川口悠子さん。寒がりなのか、練習始めはいつもボレロ風の黒いカーディガンを着ています)

 (こちらはフリー演技後。ロシア代表としてすでに5回の欧州選手権に出場歴を誇り、中でも2009/2010年シーズンにはヨーロッパチャンピオンにも輝いた川口悠子/アレクサンドル・スミルノフ組でしたが、今大会は残念ながら5位でした。ロシアのペアは国内の競争が熾烈化しており、来シーズンの攻防およびソチ五輪の代表選考の行方もこれまた史上稀にみるドラマチックな展開となることは間違いなさそう)

さらに、日本にゆかりのあるヨーロッパの選手として、新顔が登場ました!日本人としてはうれしい限りです↓:

こちらは、ドイツのペアであるMari Vartmann(マリ・ファルトマン)/Aaron Van Cleave(アーロン・ヴァンクリーブ)組です。女性の方がMariという名とその東洋的な顔立ちで「ひょっとして?」と思わせるものがあり、実際に調べたら案の定、父がドイツ人で母が日本人というハーフでした。ちなみに、ペアを組む男性はカナダとアメリカの二重国籍だそうで、そのvan Cleaveという名からも推察される通り、先祖がオランダ(およびドイツ)からの移民です。この二人は2010年にペア結成したばかりで、近々開催の世界フィギュアにも出場予定ですので、多少なりとも日本に縁のあるこのペアにも是非注目していただければ幸いです。また、2014年のソチ冬季五輪のフィギュアスケートでドイツのペアが2枠確保可能となるか否かは、この世界フィギュアの成績にかかっています。そして、もしこのペアが五輪出場となったら、この男性は3重国籍となるはずですので、グローバリゼーションの申し子のような「日本人ハーフ」と「パスポートを3つ持つ男」の華麗なる共演が大会の話題の一角を占めることになるかもしれません。

今回取り上げた選手は、全組が間もなく世界フィギュアに登場します。彼らの活躍を、そして日本勢のみなさんのベストパーフォーマンスを、心から期待したいと思います。



<備考>
アイスリンクへのアクセスが分かりにくかったので、自分用忘備録も兼ねて記載しておきます。”Dom Sportova”に公共交通機関で行かれる際は、市内の路面電車の3番、9番、あるいは12番(いずれもLjubljanica行き)に乗って「Tresnjevacki trg」駅で下車していただき、スーパーKONSUMの左手の道をまっすぐ15分弱ほど、Hotel Four Points by Sheratonという高層ホテルを目印にひたすら歩くと、ホテルのすぐ向こう側にリンクが見えてきます。リンクのさらに北側に隣接する鉄道駅(Zapadni Kolodvor)は、乗り場が線路の反対側にしかなくアクセスが悪いのと、電車の本数が極端に少ないことから、市電より明らかに不便でお勧めできません。

路面電車の場合、電車の本数は路線によるが5~22分に一本(感覚としては関西の私鉄並みという印象)で、夜中も走っているので便利(深夜0時~早朝4時までは割高運賃)。切符は車内ではなく停留所横のキオスクで買った方が安い(キオスクで買う一回券12HRK=1.60€、車内で買う一回券15HRK=2.00€、一部無料区間あり)。一日乗車券のようなものが欲しい場合はZagreb Card(24時間券60HRK=8.02€、72時間券90HRK=12.03€)をホテルや観光案内所で購入(Zagreb Cardは博物館や土産物店にレストラン等の割引券にもなる)。


<参考サイト>

Podruznica Upravljanje sportskim objektima - Dom Sportova (リンク公式サイト)

Four Points by Sheraton Panorama Zagreb (リンク隣接のホテル。予約もここから可能)

なお、このHotel Four Points by Sheratonは大会期間中、選手やコーチに大会役員等の宿舎並びに会議場・懇親会会場としての役割も果たしていた。

Zagreb Tram Map (ザグレブの路面電車網)

Getting around Croatia : Public Transportation in Zagreb

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