Nagoya Talents' Network - タレコラ

Dr.片山晴子 RSS Feed

金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2012/11/09

大食い本選マカオ回想録(1)…まるで芸能人!マカオで見る「国家金牌運動員」の迫力

本年9月30日にオンエアとなった『元祖!大食い王決定戦』(TV東京)の優勝者、「ていねい木下」あらため「大食い界の怪物クン」こと木下智弘さんと、2012年ロンドンオリンピック男子バトミントン銀メダリスト、リー・チョンウェイ選手(Lee Chong Wei 李宗偉、マレーシア)には、思わぬ共通点があった…というのが前々回コラムの内容でした(→ドイツで観戦するロンドン・オリンピック2012 (12)…マレーシアのスーパースターと大食いの怪物クンの共通点)。マレーシアの国民的スターでありながらも、オリンピック2大会連続銀メダルという、なかなか世界の頂点に立てないリー・チョンウェイですが、そんな彼の前に大きく立ちはだかる「バトミントン界史上最強の怪物クン」といえば、ロンドン五輪バトミントン個人金メダリストの林丹(Lin Dan、中国)です。そして、そんなスーパースターの林丹選手と、私たちの大食いロケとの間にもまた、意外な接点があったというのが、今回のお話です。

大食いロケの選手・スタッフ一同は、同じくマカオで撮影された2009年秋の本選と同様、マカオへは香港経由で渡りました。香港に飛行機で到着後、バスと高速船を乗り継いでマカオに渡るこの移動は、2009年のロケ当時はホテル到着が3時半頃、食事を済ませて各自の部屋に落ち着いたのが明け方5時過ぎと、「番組史上最も過酷な移動」と司会の中村有志さんに酷評されたものでしたが(→大食い国内ロケの意味(3)…完全休養日の消失)、今回の移動は宿泊先ホテルへの到着が深夜2時45分頃、チェックインを済ませてカップ麺の支給を受け、各自の部屋に落ち着いたのは8月28日午前3時過ぎで、前回に比べれば幾分マシな(笑)移動でありました。

ホテルの部屋に到着した私は、荷物を広げて翌日以降のロケ準備に精を出しつつ、備え付けの大画面液晶テレビをつけて中国語チャンネルをザッピングし始めました。そして、いきなり懐かしの顔に遭遇することになります。何の予告もなく画面にデカデカと映し出されたのは、ドイツの五輪報道でもお馴染みの世界的スター、あの林丹(Lin Dan)選手でした。それまで、林丹の好敵手としてのマレーシアンスター、リー・チョンウェイに大食い競技における木下智弘選手の姿を重ねてきた経緯もあり、全ての作業を止めてこの映像に思わず見入ってしまうワタクシでありました↓。

 

澳亜衛視という地元マカオの衛星チャンネルに、「林丹勉励澳門学生 努力不懈」「分享心路歴程 学生受益良多」などの堅くて説教じみた、はたまた「超級丹人氣王 粉絲high翻天」などのヘンテコな文字列が並びます。ちなみに「澳門」(アオメン)とはマカオの中国語名、「粉絲」とはfansつまりファンのこと、「high翻天」とは「めっちゃハイになる」という意味だそうです。上の写真は、その「澳門学生」の一人と思われるお坊ちゃん(上写真右)が壇上に上げられ、林丹(同写真左)に肩を組んでもらってまさに「翻天」しそうな(天地がひっくり返るほどの)笑顔を見せているシーンでしょうか?どうやらこの映像は、ロンドンオリンピックにおける中国代表の金メダリストたちがマカオに集結し、地元学生を相手にトークショーを行ったというニュースであろうことが、私のゼロに等しい中国語力からも容易に推察されます。しかし、何と言っても目を引いたのは、左下の写真等に出てくる選手名の縦書き字幕に添えられた、「国家金牌運動員」という単語でした。

 

 

 

「国家金牌運動員」とは、これまたゴツい響きです。中国語で金メダリストのことをこう呼ぶようですが、中国は38個の「金牌」を獲得しており、その中には団体競技やペア競技もあるため、国家金牌運動員の人数自体がそれはもう半端ありません。ちなみに左上の写真でマイクを握る男性は、金メダル獲得の男子体操団体総合の主将も務めた陳一冰(Chen Yibing)選手であり、その彼がロンドン五輪の男子体操団体で金メダル確定の瞬間にドイツのテレビに大写しされたのが右上の写真です。この競技では日本が一度はメダル圏外の4位と発表されたものの、日本サイドからの抗議でエース内村航平選手の得点が修正され、団体銀メダル獲得となったあのハプニングがありました。また、左上の写真で陳一冰選手の右側に座る男性は、同じく体操の鄒凱(Zou Kai)選手で、彼は北京五輪で金3個(団体総合、床、鉄棒)、ロンドン五輪では金2個(団体総合、床)と銅1個(鉄棒)を獲得しており、五輪通算5個の金メダル獲得は中国史上最多なのですが、それだけの輝かしい実績の割には彼の扱いが地味で林丹ほどにはキャーキャー騒がれないのは、ちょいワル風でカリスマ的な存在感を放つ林丹とはあまりに異なる彼のその普通っぽさに起因しているのでしょうか?

さて、このトークショー、真面目な体験談や説教じみた精神論ばかりではマカオの学生も飽きてしまうとみたのか、ワイドショー的なテイストも忘れてはおりません(笑)。下の写真で「大談緋聞 孫揚・葉詩文臉紅」の字幕が出るくだりは、競泳男子400mおよび1500m自由形で金メダル獲得の孫揚(Sun Yang)と、競泳女子200mおよび400m個人メドレー金メダリストの葉詩文(Ye Shiwen)という、若き競泳界の新星二人に恋のウワサでもあるということでしょうか?女性司会者がまるで芸能レポーターよろしく「二人はホントにただのお友達なの?」などと追求し、それに対して「いやいや、彼女にとっては2016年のオリンピックが重要ですから…」などと男性が女性を気遣ってコメントしているように見えます。中国語で「緋聞」とはズバリ「艶聞」「スキャンダル」のこと、「臉」とは瞼(まぶた)ではなく顔全体を指すので、「臉紅」は「顔を赤らめる」ということ…もう絵に書いたような芸能ネタになっております!ただし、正直どーでも良すぎるネタでもあります(笑)。

 

なお、女性の葉詩文選手といえば、まだ16歳の若さながら、400m個人メドレーの最後の50メートルのタイムが同種目の男子金メダリストのライアン・ロクテ(アメリカ)のラスト50メートルよりも早かったことが話題を呼び、「本当に16歳か?」「ドーピングしているのではないか?」「そもそも本当に女か?」などと欧米のメディアにさんざん叩かれたものでした(下写真)。もし、この葉詩文と孫揚の両選手が本当にカップルとなることがあるのなら、その子供は水泳界きってのサラブレッドとなることがまさに目に浮かぶようです。そもそも、孫揚選手自身がバスケットボール選手の父とバレーボール選手の母から生まれたとのことですし、他にも元バスケットボール選手の姚明(Yao Ming)の両親が共にバスケットボール選手というケースが有名です。今後の中国におけるアスリート養成手法の一つとしての「サラブレッド計画」なのか、これまた今後も世界の注目を集めていくことでしょう。

 

そして、ショーの最後は何と選手一同の歌で締めくくり(左下写真)、拍手に包まれて退場(右下写真)となりました。彼らの歌う姿は意外と場慣れした感がアリアリで、ほとんど”SMAP”か”EXILE”を彷彿とさせる世界でした(笑)!それにしても、国家金牌運動員に歌を歌わせるとは、一体どういう神経でしょうか?!日本では五輪後にメダリストがテレビの特別番組でインタビューを受けたり、「メダリスト凱旋パレード」が銀座で行われたりもしましたが、「日本の金メダリストによるトークと歌のオンステージ!」などというのは、記憶にもないし想像もできません。このあたりは、果たしてお国柄の違いなのか、何なのか…などと、マカオの丑三つ時に私はひとり考え込むのでありました。

 

ちなみに、わが日本は今回のロンドン五輪にて史上最多となる38個のメダルを獲得、そのうちの金メダル7個が全て個人競技だったため、金メダリストも7人となりました。これが中国の場合、総メダル数が88個、金メダル獲得数だけでも日本の総メダル数と同じ38個と、それはもうケタが違う話になります。もっとも、中国の総人口もまた日本より一桁多いことを考えれば、日本もなかなか健闘したと言えるでしょう。ただし、中国の金メダルは団体・ぺア種目が多く、「国家金牌運動員」は延べ人数にして56人、そこから重複獲得者分を差し引くと、金メダル獲得の実際の人数は47名となります。下のリンク先の記事には「彼らの一行は総勢70名」と書かれており、さらにリンク先の集合写真を見ると、役員ないしスタッフと思われる(非ジャージかつ非Tシャツの)人物が少なくとも十数名は確認できることから、金メダリストは今回全員がマカオ入りしていた可能性が高いと考えます。その彼らが聖ポール天主堂跡の前に勢ぞろいする写真は迫力あり、一見の価値があります。

新華網(2012年8月28日):体育頻道「内地奥運金牌運動員在澳門訪問」

(このリンク先に4枚の写真あり。当記事によると、彼ら金メダリストの一行は8月26日に香港から船でマカオ入りし、28日までの三日間「訪問活動」を行ったとある。ちなみに「奥運」とは「奥林匹克運動会」の略で、オリンピックのこと)

さて、この「中国の国家金牌運動員の澳門訪問」と「日本の大食い選手のマカオ決戦」というと、いかにも何の関連性も接点もなさそうに思えますが、実は奇遇にも他の共通点があったのでした。それについては次回に続きます。


<参考サイト>
人民網-港澳-「奥運金牌運動員将於8月26日訪問澳門」

バックナンバー>>
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469