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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2012/09/28

ドイツで観戦するロンドン・オリンピック2012 (9)…日本の”体を張ったバラエティ”に対するサミュエル・コッホ事件の教訓

『元祖!大食い王決定戦』(テレビ東京系列)は、8月下旬に無事海外ロケを終了しました。オンエアは明後日、2012年9月30日(日)の19時からの予定ですので、是非皆様でご覧いただければと思います。なお、今後のスケジュールの都合により、私の番組帯同は今回が最後となりました。これまでの私の活動を応援して下さった皆様方に、この場を借りて深く感謝と御礼を申し上げたいと思います。

さて、最近の日本では、テレビ番組の収録や舞台公演における事故が続いていると聞いております。テレビ番組収録中の事故としては、お笑いコンビ「平成ノブシコブシ」の徳井健太さんの外傷性気胸・多発肋骨骨折(フジ、1月6日…インドロケでの受傷)、お笑いコンビ「ずん」のやすさんの腰椎破裂骨折(フジ、2012年2月2日)、SHELLYさんの右膝靭帯損傷・右大腿骨内顆骨折(日本テレビ、3月10日)、神取忍さんの右足指骨折(TBS、3月13日)、お笑いコンビ「ライセンス」の藤原一裕さんの左膝靭帯損傷(テレビ東京、5月14日)、お笑い芸人のスギちゃんさんの胸椎破裂骨折(テレビ朝日、9月1日)、梅宮アンナさんの左膝靭帯部分断裂(テレビ東京、9月6日)など枚挙にいとまがなく、舞台公演中の事故としては市川染五郎さんの転落外傷(国立劇場、年8月27日)、早乙女太一さんの踵骨骨折(日本橋公会堂、9月18日)など、確かにたて続いています。特にお笑い芸人さんの体を張った芸が想定以上の重症度の怪我につながっているという現実は重く、バラエティの本質、ひいては笑いそのものの質が問われているのかもしれません。

2005年から足掛け8年に渡って大食い選手のロケに帯同し、健康管理および事故防止に尽力してきた私にとって、これらの事故に接した現場スタッフの様子は目に浮かぶようで、他人事とは思えない部分もあります。というのも、明後日オンエア予定の『元祖!大食い王決定戦』が、これまでのどの大会をも凌駕するほど、何が起きてもおかしくない激戦の連続であったのと、当サイトの「ドイツで観戦するロンドン・オリンピック2012」シリーズの予定稿の中に、今回のコラムで取り上げる、ドイツで一時期大いに議論を巻き起こした「サミュエル・コッホ事件」があったからです。

まずは、ロンドン五輪期間中である2012年8月8日 、ドイツのビルト紙に掲載されたこちらの記事をご覧下さい。

 この記事で大きくバンザイしている男性は、ロンドン五輪の鉄棒で銀メダルを獲得したファビアン・ハンビュッヒェン(Fabian Hambüchen)選手です。彼は北京五輪では同種目で銅メダルを獲得しており、今回は会心の出来でさらに一つ上となる銀メダルを獲得し、ガッツポーズにも迫力があります。しかし、この記事で私が注目したのは、右下の小さな囲み写真の方でした。

 拡大してみました。これは、競技後にロンドンのドイツハウスで開かれた祝勝会の模様で、右側のハンビュッヒェン選手は珍しくメガネ姿でリラックスモード、先ほどとはうって変わった優しい笑みをたたえています。ここで、彼の銀メダル獲得を一緒に祝福しようと駆けつけた左側の男性が、車椅子姿であることにお気づきいただけたでしょうか。首の後ろには黒いヘッドレストも見えます。この車椅子の男性こそ、日本ではおそらく誰も知らないであろうものの、ドイツではその名を全土に知られ、「体を張った肉体系バラエティ」の是非について大いなる論争を巻き起こした重大事故の主人公、サミュエル・コッホ(Samuel Koch)さんです。

ドイツには有名なバラエティ番組がいくつかありますが、このドイツ第2テレビ(ZDF)の「Wetten, dass…?」こそ、その驚異的な視聴率のみならず、老若男女を問わない幅広い人気という点においても、ドイツのみならず全ヨーロッパのバラエティ番組の最高峰と言っても良いでしょう。この番組は、一般人たるシロートが毎回数人登場し、自らの特技や芸を披露するという、(日本ではすたれつつある)素人参加型番組でもあります。「Wetten, dass…」とは、直訳すれば「…かどうか、賭ける」という意味で、参加者たるシロートが「何分以内に何々を達成する」「目隠しで何々を判別する」など、自らの特技を特定の条件下で披露するという課題に挑戦します。そして、見届人となる有名人や芸能人のゲストが「その課題は達成される」あるいは「達成されない」のいずれかに賭け、観客席の観覧者やお茶の間の視聴者と一緒に賭けの行方を見守る…そんな番組です。1981年の放送開始以来、年に6回程度のオンエアは全て生放送、しかもドイツ全国の各都市を回るという「NHKのど自慢」的な要素も人気の秘訣です。私も子供の頃に見た記憶があり、何よりも私の亡き母が若かりし頃の金髪巻き毛イケメン司会者だったトーマス・ゴットシャルク(Thomas Gottschalk)に熱をあげていたことを懐かしく思い出します(笑)。

さて、事故は2010年12月4日に起きました。事故の映像はYouTubeに色々ありますが、実際のオンエア映像は心臓が悪い方にはオススメできないので、こちらの無難な下記サイトを先にご紹介します。この中のドイツ語ナレーションの内容が事故を端的によくまとめているので、その全文和訳を青字で掲載します。この説明と合わせて動画をご覧いただけると、理解がスムーズになるかと思います。

YouTube-Bild.de–”Samuel Koch – Was wirklich geschah(サミュエル・コッホ-実際に起きたこと)”

(ナレーション内容) サミュエル・コッホ、23歳にして高い意志の持ち主。「Wetten, dass…?」で臨む危険な賭けで、彼は自分の限界に挑戦しようとした。両足にバネを装着し、向かってくる車を飛び越えるという試技である。しかし、試技には二回成功したものの、三回目で悲劇が発生する。26m離れたグレーのアウディのハンドルを握っていたのは、彼の実の父親である。(向かってくるアウディに)彼は走り込んで6歩目でジャンプしたのだが、手を窓ガラスに添えた際、頭が車の屋根部分に当たった。彼はこの時点で既に意識がなかったと考えられる。この衝撃で宙返りの回転が加速され、コントロールを失ったまま彼の体は宙を舞い、頭から床に叩きつけられ、そのままピクリとも動かなかった。すぐに司会のトーマス・ゴットシャルクとミッシェル・フンツィカーの二人が駆け寄り、救助を求めた。救命救急士が処置する光景を、司会者たちはただ放心状態で見守るしかなかった。番組スタッフにより黒い布が即座に用意され、救助の様子は観客の視線から仕切られた。司会のゴットシャルクは、スタッフと協議の末、最終的に観客と視聴者に対して番組の続行を断念すると宣言した。これは、この大御所司会者の長い経歴の中でも初めての出来事であった。サミュエル・コッホはそのまま大学病院に搬送された。彼が元通りの健康体に戻れるのかどうかは、まだ不明である。

事故を正視する勇気のある方は、こちらの二つの動画をどうぞ↓。

当日観覧していた観客が撮影した動画(一応閲覧注意):

YouTube - Wetten dass Unfall – Privataufnahmeh

(客席にいた観客が事故の瞬間を撮ったプライベート映像。かなり後方からの撮影で、画質も決して良くなく、受傷の瞬間は前方観客の陰に隠れている。それでも、カメラワークやスタッフの配置、事故発生時の反応が現場スタッフと司会者との間で奇妙な温度差があること(事態の深刻さに瞬時に気づいたのは女性司会者のみであることもわかる)、出演者席でゲストの笑い芸人・オットーさんが試技失敗の瞬間にズッコケる様子、思わず立ち上がる観客の姿なども映っており、資料的価値の高い映像)

実際の生放送のオンエア映像(ノーカット)(これも閲覧注意):

YouTube - Wetten, dass…Unfall am 04.12.10 Full Video Real Not Fake

(試技前のトークや、成功した試技も見ることができる。0:15、1:42、2:11、2:27、2:54、3:32等、何度も映る観客席の白いスーツの女性は、サミュエルの母親(医療関係者でもある)。3:36頃に事故発生、直後から画面は客席方向のカメラ映像に切り替わり、怪我人の様子は音声でしか分からないようになった。3:44頃に女性司会がすかさず連呼する「Sofort den Arzt!」は、「すぐに医者を呼べ」の意味。3:51から聞こえる「マルティーナ!」の連呼は、例のアウディの運転席に座るサミュエルの父親が、客席に座るサミュエルの母親をパニック気味に呼びつけているもの。3:58頃に救急隊が慌しく登場、彼らが舞台裏に元々待機していたことを伺わせる。4分過ぎから断続的に男性司会者ゴットシャルクの「これまで何回もリハーサルを行い、彼は全て成功していた」「これは確かに危険な賭けだ。しかし、彼はそのためのトレーニングをもの凄く積んできていたし、この試技に自分は熟練しているから大丈夫だと、いつも言っていた」といった言い訳が続く。5:58より女性司会が繰り返す「Wir brauchen ein Tuch」は、「(観客席の視線から隠すための)布が要る」の意味。6:40には今度は観客席の複数の客から「カメラを下げろ」という怒号が飛ぶが、「確かにカメラは…いや、これは照明の代わりだそうだ。カメラは回していない。(布で仕切ったたため)照明が足りない」と男性司会が答えるやりとりも。7:50からゴットシャルクが「サミュエルの無事が確認されない限り、番組を続行する訳にはいかない。彼が無事であることを願って、また後ほど」と言ってしばしの中断に入る。この時点ではまだ、サミュエルの容態の深刻さをスタッフ一同がさほど認識しておらず、放送中止の結論にまで至っていなかったこともわかる)

いずれにしても、そのキャリアではドイツでナンバーワンと言っても良い大御所司会者のゴットシャルクがここまでしどろもどろになる姿を見たのは、多くのドイツ国民にとって衝撃的なまでに初めての事でした。さらに私の場合、この中継において飛び出した彼の言い訳部分が、大食いの世界に対する警鐘にも聞こえてしまったのでした。「これまでは大丈夫だった」「参加者は特別なトレーニングを積んできている」と言ってはいても、よりによって本番で事故は現実に起きたのです。しかも、「この競技に自分は熟練しているから大丈夫」と言われながら、その百人百様なはずの実際のトレーニングを誰も見ていない、つまり、大丈夫だという本人申告を信じる以外にスタッフ側の判断材料が驚くほど少ないという点もまた、サミュエル・コッホ事件を検証する中で否応無く気づかされた大食い競技の宿命的な特質の一つでもあったのでした。

なお、この動画からは、サミュエルの活動を彼の両親が理解し、心底支援してきたことも分かります。親も巻き込んでの不幸な事故というのもまた、その両親の複雑な心境、後日湧き上がってきたであろうやりきれない自責の念が伝わってきて、何度見ても心を痛めずにはいられません。

さて、サミュエル・コッホのその後ですが、診断は「第1頚髄損傷」という非常に重く、取り返しのつかないものでした。つまり、脊髄損傷で首から下が全部麻痺する「四肢麻痺」になってしまったのです。事故の起きたロケ会場のあったデュッセルドルフの大学病院で急性期治療を受けた後、彼はスイスのリハビリ病院に転院し、そこでさらに1年ほどリハビリ生活を続けました。その結果、彼は右腕と右足の一部が辛うじて動くようになって昨年末に退院、今はその何とか動いてくれる右手で電動車椅子のレバーを操作しています。しかし、日常生活の全ての面で介護を要する重度障害であることには変わりがなく、そのライフスタイルや将来設計についても当初想定していたのと比べて大幅な変更を強いられることは間違いないでしょう。

というのも、彼は元々6歳から器械体操をやっていた元体操選手(地区大会レベル)であり、高校卒業および兵役終了の後、ハノーファーの芸術系大学に進学して演劇を専攻中の大学生であり、将来はスタントマンひいてはアクション俳優としての道を目指している俳優の卵でもあったのです。足にバネを着けて飛んだり跳ねたりするパーフォーマンスもまた、この国民的番組への出演を足がかりに自らの夢の実現へと一歩近づくための人生の青写真の一つ…のはずでした。彼の在籍する学校のホームページには、演劇科在籍者リストの中に未だに彼の写真が掲載されていますが、在籍後わずか3ヶ月余りで不全四肢麻痺となってしまった彼にとって、大変残念ですが、俳優への道は極めて非現実的となったと言わざるを得ません。彼自身、最近自叙伝も出版し、いずれは「演出」「脚本」といった”カメラレンズの後ろ側の仕事”を新たな目標に設定し直す必要があるだろうと語り始めています。

ここで誤解なきよう付け加えるなら、「Wetten, dass…?」という番組自体は、必ずしも単なる肉体系バラエティではなく、むしろ体を張らない賭けの内容の方が多いです。例えば、私が渡独した2005年以降で最も印象に残った”賭け”を挙げると、「目隠しされた状態で、冷凍ピザを、手触りと匂いだけで、どこのメーカーの何というピザか当ててみせる」というものだったり(ちなみにこの時の挑戦者は見事に全問正解、ドイツ全土に流通する全ての冷凍ピザを判別することに成功!)、「目隠しされた状態で、その手触りと、水を流したときの音だけで、トイレの便器のメーカーとブランド名を当てる」などというものだったりします(日本はTOTOやINAXといった大手メーカーのシェアが大きく、そもそも便器の種類がさほど多くないが、ドイツは便器の規格に規制が無いに等しく、マイナーなものも含めて膨大な種類の便器が市場に出ている…にもかかわらず、この挑戦者もまた全問正解!)。強いて似たコンセプトの番組に例えるなら、「カルトQ」(特定分野に驚異的な知識を持つ素人同士がその狭い範囲内での知識量を争う、往年のフジテレビ深夜枠のクイズ番組)に「探偵ナイトスクープ」を思わせる脱力系のローカル色を加えた感じと言えばよいでしょうか。それでいて、「ミュージックステーション」も顔負けの豪華な歌のゲストによる夢のようなライブも売りの一つで、マドンナもボン・ジョビも常連です!なお、サミュエル・コッホ事件で放送中止となった回では、デュッセルドルフに招聘されながら演奏かなわずそのままご帰宅となったのは、ジャスティン・ビーバー、テイク・ザット、フィル・コリンズ、ロビー・ウィリアムズという4組の豪華ミュージシャンでした。彼らに対してどれだけの(違約金の)支払い義務がZDFに生じたことかと、受信料(※注2)を払っている身では下世話な想像をしてしまいつつも、これらのアーチストが自らのホームページやツイッターなどの媒体を通して、サミュエル・コッホの事故を理解し、その闘病を応援するというコメントを即座に発表していたのも、これまた印象的でした。

それでも、この事故で一人の未来ある若き青年に癒えること無き重度の後遺症を残したということが社会に投げかけた波紋は大きく、1987年から同番組のメイン司会を担当してきたトーマス・ゴットシャルクは、「もう今までと同じ質の笑顔で司会していくことは自分にはできない」と、2011年12月3日の第199回放送分を以って番組を降板しました。そして、この国民的長寿番組自体も打ち切りの危機にさらされ続けました。最も多かった批判は、「国民の払う受信料で成り立ち(※注1)、視聴率を追い求める必要もないはずの国営放送が、ここまで危険な企画を行うことの矛盾」というものです。そして、「体を張ったバラエティ」全体、視聴率競争、ひいてはテレビ全般に対する国民の視線がいっそう冷ややかになったのでした。なお、「サミュエル・コッホ事件」は第192回放送だったのですが、とりあえず以降の同番組においては危険を伴いそうな”肉体系の賭け”は一切行わないということで、辛うじて番組を継続できることになりました。といっても、ゴットシャルク降板の第199回以降、番組制作は現在長期中断のさなかにあり、実に10ヶ月ぶりとなる200回記念放送を、別の司会者を立ててようやく本年10月6日に予定しており、その内容やコンセプトの変化による「新生Wetten, dass…?」の行方が注目されるところです。

何だか、大食い番組が経験した「視聴者が番組を真似して窒息死」による3年間の放送中止(2002~2005)、東日本大震災による1年間の放送自粛(2011~2012)という二度の経緯を連想してしまいそうなストーリーです。しかし、大きく違う点があります。「Wetten, dass…?」はこれまで同様、今後も生放送というスタイルを貫くのに対し、「元祖!大食い王決定戦」は何だかんだ言っても収録番組であり、編集という手段で見せ方を加工することが可能だということです。以前よくギャル曽根さんが生放送で披露していたような実演大食いや、デカ盛り系や食べ歩き系の番組などとは異なり、あくまでも試合形式で参加選手の本気度の高い「元祖!大食い王決定戦」は、さすがに全てを包み隠さずお見せしようものなら一瞬で番組が終わってしまうようなリスクを秘めた素材であり、生放送になることは未来永劫有り得ないでしょう。だからこそ、その背後にスタッフ一同の全力を挙げた事故防止への尽力があるのですが、テレビで見るだけでは背後の努力や工夫はなかなか見えませんし、逆に制作者もそのようなものをあまり前面に出したくないという思惑も見え隠れします。これで事故が起きなければめでたい限りですが、万一「サミュエル・コッホ」が大食い番組に応募してきたらどうするのか、そして、誰がそれであるかをどう見極めるのか、番組制作者は今のうちに真剣にシミュレーションしておいた方が良いでしょう。それこそが、「サミュエル・コッホ」がその体を張って私たちに訴えかけてくれている教訓なのではないかと思います。

なぜ私が今このようなことを書くのかというと、上述のビルト紙に載ったロンドン銀のハンビュッヒェン選手とサミュエル・コッホさんのツーショット写真が私の目に触れたのが、たまたま「元祖!大食い王決定戦」の番組帯同前でありながら、番組参加選手の顔ぶれが既に確定していたタイミングだったからです。来るべき半端なくギリギリの消耗戦の連続をあらかじめ予想していた私が、このツーショット写真を見たことで、一気に「肉体系バラエティ」の極限型にまで思いを馳せてしまったゆえなのかもしれません。

では、実際の番組制作現場はどうだったのか…それについてはオンエア終了後でないと書けないので、来週以降に今回のロケの思い出を振り返ってみたいと思います。


(※注1)受信料で成り立つ国営放送と書きましたが、ドイツにおける公共放送のうちARD(ドイツ第1チャンネル)とZDF(ドイツ第2テレビ)の国営放送2局は実はコマーシャル(CM)を取っており、これも重要な番組制作費の源となっています。国営放送のCMの場合、民放と比べて時間帯や放映回数の制限が厳しいのですが、その代わりにちょっと変わった工夫もみられ、これはこれで面白いです。このドイツのテレビCMに関しては、後日別稿を予定。

(※注2)ドイツにおける公共放送受信料は月額17.98ユーロ(約1800円)で、この金額で地上波だろうがケーブル放送だろうが衛星放送だろうが関係なく、国営放送も州営放送も、ニュース専門チャンネルも外国発の海外向け放送(BBC、CNN、フランス24、アルジャジーラ、Russia Today、CCTV、アリラン、NHKワールドなど多数)も全てカバーしており、見れるチャンネルの数は膨大です。従って、ドイツでの受信料が高いという感覚は全くなく、逆に申し訳ないくらい安い印象です(広告を取っていることも理由か)。ちなみに日本のNHK受信料は2290円(地上波+衛星、本年10月より2170円に値下げ)とドイツよりも高く、それでいて日本の公共放送局はNHK一局のみ、民放は数も少ない上に内容が横並び、さらにBBCやCNNなどを見るためには有料衛星放送契約等で出費が大幅に増すことなどを考えると、その支払い金額の高さの割に内容も多様性も選択肢も乏しい感が否めず、先進国のマス・メディアとしては非常に異質だと言わざるをえません。また、ドイツのテレビ局は日本と異なり衛星放送と地上波の内容が同一、つまり、衛星放送は難視対策も兼ねており、ドイツのどこにいても他の州の放送が視聴できることを意味します。これは、「県域放送」という制約で地方ローカル局を他県・他地域で視聴できない(ことで地域間の情報格差を意図的に生み出している)日本のテレビとの重要な相違点でもあります。

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