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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2012/08/31

ドイツで観戦するロンドン・オリンピック2012 (5)…目の保養特集!日本でも評判のドイツ美男美女アスリート

個人的な話ですが、夏のオリンピックの開催期間中に日本にいなかったというのは、私にとっては「ほぼ人生初」の経験でした。このためか、ドイツのテレビで連日ロンドンオリンピックの中継を見るということ自体が、とても不思議な感覚であり、新鮮な驚きの連続でもありました。日本のテレビで見る五輪は当然のことながらあくまでも日本選手が中心で、日本選手の出ない種目の中継はあまり多くなかったように記憶しています。それがドイツでは、これまた当然のことながら、ドイツの選手ばかりを追いかける番組構成となり、日本選手の活躍する姿はほとんど取り上げられません。ダイジェスト版やインタビューのコーナーも、ドイツの選手は全員がこれでもかというほど登場するのですが、他国の選手の場合は英語・ドイツ語・フランス語のいずれかを話せる選手でないと、まずお目にかかることはありません(英語とフランス語の場合はドイツ語の同時通訳音声がつくが、他の言語に対応できるスタッフがいないのかもしれない)。したがって、日本人選手の勇姿を拝むことができるとしたら、基本的にドイツチームないしドイツ人選手と対戦のある種目に限定されてきます。なでしこJAPANの女子サッカーに至っては、ドイツが出場できなかった腹いせ(?!)もあったのでしょうか、決勝戦「アメリカvs日本」ですらどこも放映せず、仕方なく私はパソコンでストリーム配信をやっているサイトを探し出すしかありませんでした。

ところで、たまに日本のインターネット掲示板やツイッターをのぞいていると、このような投稿をよく目にしました。

「ドイツの重量挙げの女子選手、なんかすごい美形なんだけど!」
「ドイツの体操の男子選手、イケメンすぎてちょっとヤバイ!」

他国の選手の話題もきっと出ていたのでしょうが、ドイツ選手の名前が挙がるケースが多いように思われました。もっとも、統計を取った訳ではありませんし、何といってもドイツの偏重報道のせいでこちらはドイツ選手の名前以外はろくに知らされていませんので、ルックスを誉められているのがたまたまドイツ選手に多いように感じただけなのかもしれません。

ということで、今週は「目の保養特集!」と題し、その話題に上がった美形アスリートをご紹介したいと思います。

まずはこちらの女性、女子重量挙げのユリア・ローデ(Julia Rohde)選手です↓:

 

ユリア・ローデ選手は23歳、ドイツのほぼ東端、ポーランド国境に近いゲルリッツ(サッカーのミヒャエル・バラックの出生地としても有名)の生まれで、今はケムニッツ(フィギュアスケートのカタリーナ・ヴィットの出身地としても有名)に拠点を置いて練習しています。今回の五輪では以前のコラム(→ドイツで観戦するロンドン・オリンピック2012 (2)…日本で見た垂れ幕や横断幕の選手が登場!須磨友が丘高校訪問記)で取り上げた日本の八木かなえ選手と同じカテゴリー(女子53kg級)にエントリーしていたので、そのために日本のお茶の間にもその姿が映し出されたのではないかと想像します。ちなみにローデ選手はこの種目で11位、八木選手は12位と、その成績が縦に並んでいたのも、何かの縁かもしれません。ローデ選手は実は北京五輪にも出場しており、同じ53kg級で7位という成績を残しています。ウェイトリフティング界にこのような凄い美人というのも、ちょっと異例な気がしますが、今後の彼女の活躍によって、ウェイトリフティング自体の人気が上がること、そして、彼女自身の日本での人気も沸騰してくることを期待したいと思います。

参考のために、ユリア・ローデ選手の写真を多く掲載しているファンサイトをご紹介↓:
http://www.thob.org/articulo/julia_rohde-409304.html
(どの角度から見ても、実にお綺麗な方ですが、その筋肉も凄い!)

さて、女性の皆様、大変お待たせいたしました(笑)!次は、日本のみならず世界中にかなりの旋風を巻き起こし、中国のインターネット投票では何と、「ロンドン五輪でもっともセクシーな男性選手」部門で第1位の栄誉(?)に輝いたという、こちらの男性をご紹介します↓:

 

こちらはMarcel Nguyen(日本語表記:マルセル・ニューエン)選手です。内村航平選手が金メダルを獲得した体操個人総合において、彼は銀メダルに輝いたので、きっと日本の中継でも内村選手や他選手を追いかける過程でテレビ画面に映ってきたのでしょう。ネット掲示板やツイッターなどで「美しすぎる」「松岡昌宏似」などと騒がれ、途中からは内村選手そっちのけで目が釘付けとなった日本女性も相当いたようです。彼はミュンヘン生まれ(バイエルン育ち)、シュトゥットガルト在住の24歳、父がベトナム人で母がドイツ人というハーフです。いかにもベトナム系らしく、フルネームはMarcel Van Minh Phuc Long Nguyenという長いものです。

 

ちなみに、この彼の苗字の「ニューエン」という日本語表記は何とかならないものでしょうか。この表記を知らなかった私は、日本のサイトで「ニューエンかっこいい!」「ニューエンにハマった!」などの記載を見ても、初めは誰のことを言っているのかサッパリ見当もつきませんでした。ドイツの報道における彼の苗字の発音は「ニューエン」とはいささか感じが異なります。あえてカタカナで近い発音を表記するとしたら「ヌエン」(「ヌ・イェーン」という感じで発音)でしょうが、それでも「ニューエン」と書くのであれば、「ニュー」ではなく「エン」の方にアクセントを置いていただき、「ー」の位置も移動していただかねばなりません。実際の発音が下記の動画サイトで聞けますので、お時間のある方はぜひ確認してみてください。(末尾の注も参照)

Marcel Nguyen interwiew – YouTube -

(全編ドイツ語ですが、0:09と1:56に彼の名前の正しい発音あり、さらに4:50以降は過剰ともいえるほど名前の連呼が続く。彼のトークに練習風景のみならずプライベートシーンもふんだんに紹介されており、ファンであればきっと垂涎モノのオススメ動画と思われる)

なお、ドイツのビルトという新聞にはこのような記事もありました:

Olympya 2012 in London: Marcel Nguyen. 2. Silber und Champagner – Sport – Bild.de

”Sieben Athleten mit dem Namen „Nguyen“ sind bei Olympia. Sechs starten für Vietnam – einer räumt für Deutschland ab! ”

訳:「今回のオリンピックには、Nguyenという苗字の選手が7人出場しています。6人はベトナム代表として出場していますが、ドイツ代表として(メダル稼ぎに)貢献しているのは、(マルセル)ただ一人です!」

ここで、以前の当サイトのコラムで、ベトナムには「グエン」という名前が多いと述べたことを思い出していただければと思います(→「ベトナムと言えば?」(3)…「マーヴィン・トラン」と「グエン・トラン・フォク・アン」)。その「グエン」のローマ字表記も、マルセルの苗字と同じNguyenなのです。漢字では「阮」となり、これをWikipediaで調べると、こんな説明があります:

阮 – Wikipedia日本語版 -

“阮(げん、ピンイン:Ruǎn、越:Nguyễn グエン)は漢姓の一つ。中国では少数で百家姓のうちにも入らないが、ベトナムでは阮朝の皇帝の姓であり、国内最多。 “

Nguyễn – Wikipediaドイツ語版 - 

発音記号は [ŋwiɜn]。上記サイト内の  のボタンを押すと、実際の発音が聞けます。

かの有名なホーチミンの本名は「グエン・タト・タイン」、ベトナムの現首相の名は「グエン・タン・ズン」…といった多数の例を挙げるまでもなく、ベトナムでもっとも多い姓であるNguyenは、日本においては今も昔も「グエン」と表記されてきたはずです。実際のベトナムでの発音は、上記サイトで確認していただければわかる通り、「グエン」ではなく「ヌ・エーン」「ヌ・イェーン」というものですが、その発音のしにくさとスッキリしない表記が敬遠されたのか、「グエン」と表記されてきたのでしょう。以上の経緯を鑑みる限り、マルセルの日本での表記は「マルセル・グエン」とするのが本来の姿なのではないかと、私は個人的に思っています。

ここまで書いてきたついでに、ドイツにおける私の懐かしくも恥ずかしい経験をひとつ。2006年にドイツに渡って早々、雑談の中でフランスの某高級ファッションブランドの話が出た際、私のとある発言に同僚一同が廊下にまで響き渡るような大笑いをしたことがありました。中には涙まで浮かべながら腹を抱えている人もおりましたが、当時私はまるで意味がわかりませんでした。

私  「シャネルってのは…(中略)…」
一同 「ん?シャネルって何?」
私  「え、知らないの?ほら、あのフランスのブランドの…」
同僚 「えっ…(しばし絶句)…それってひょっとして…」
一同 「ぷっ、ヒャーーーーーーーッハッハッハーー!」
(妙にツボに入ったらしく、涙まで流し、机をバンバン叩いて笑う人々を前に、ただ呆然のワタクシ)
私  「何?シャネルのどこが可笑しいの?」
同僚 「シャネル、じゃ、チャンネル(CHANNEL)みたいじゃん!」
一同 「正しくは、シャ・ネーーーール!(CHANEL)って言うんだよ!」

欧米言語を発音する際、一番大切なのは実はアクセントだということを、すっかり忘れていました。どんなに発音が良くても、アクセントが間違っていたら、何百回発音しても絶対に理解してもらえないのです。日本語はアクセントが比較的平板な言語で、あまり抑揚を気にせずとも意味は通じるだけに、アクセントに対する認識が甘くなりがちです。日本で「シャネル」という場合、みなさんは冒頭の「シャ」の部分にアクセントを置いて発音していませんか?しかし、それをドイツでやってしまうと、こういうリアクションが待っているのでした(多分、シャネルの本国フランスでも他の欧米諸国でも同様と思われる)。これは「シャネル」に限った話ではなく、日本のカタカナ語は往々にして海外のオリジナルの単語とはアクセントが異なること、アクセントを軽視すると全く意味が通じず痛い目に合うことを、きちんと先に教えておいてほしかったと、日本の英語教育に対して恨み節の一つも言いたいところです。

以上から、私がこのコラムで「ニューエン」という表記にここまで噛み付き、疑義を呈さずにはいられない理由をお分かりいただけるのではないでしょうか。「ニューエン」という表記の最大の問題点は、アクセントの位置が誤って周知されるということであり、「シャネル事件」と全く同じ性質のイタさがあります。これが「グエン」という表記なら、「グ」にアクセントを置く日本人はまずいないでしょうし(発音しにくい)、その名の由来まで雄弁に物語ってくれます。外国人の名前を無理やりカタカナに変換する立場にある報道・メディアの立場の人たちは、ぜひとも「アクセントの位置」がどこに置かれるかも考慮に入れた上で、もっとも妥当な表記を編み出していただきたいものです。


注)本文中に引用したビルトの新聞記事内に、マルセル自身が自分の名前の呼び方について言及している部分があります:

Wie spricht man Nguyen aus? Marcel: „Einfach das g weglassen, dann passt das schon.“

訳)Nguyenはどう発音するの?マルセル曰く「単純にgの文字を取っ払ってそのまま読めばよい」

つまり、「Nguyen」のgを取り払って「Nuyen」をドイツではどう読むか…という話になります。ドイツでは「Nu」はあくまでも「ヌ」であり、これを「ニュ」と読む読み方は存在しません。ちなみに、日本円のことはドイツ語では「Yen」と書き、「エン」ではなく「イェン」と読みます。以上から、「Nu」+「Yen」=「ヌイェン」が正解というべきでしょうか。

なお、話は激しく飛びますが、フィギュアスケートに詳しい方であれば、トルコのフィギュアスケート女子シングルのトゥーバ・カラデミル選手(Tuğba Karademir)をご記憶の方もおられるかもしれません。彼女の名前もまた、「単純にgの文字を取っ払ってそのまま読めばよい」のパターンなのですが、トルコ語の場合のğ は前の音を伸ばせという意味であり、これがベトナム語との類似点という訳ではないようです。

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