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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2012/07/27

大食いベトナムロケで遭遇した面白いモノ大集合!(5)…ベトナム版「クイズミリオネア」

以前、当サイトでも取り上げましたが、日本には視聴者参加番組が随分と少なくなってしまったように思います。かつての『アップダウンクイズ』(毎日放送・1963~985年)、『クイズタイムショック』(テレビ朝日・1969~1986年)といった60年代放送開始の老舗番組、70年代以降放送開始の『パネルクイズ アタック25』(朝日放送・1975年~現在)、『ぴったし カン・カン』(TBS・1975~1986年)、『クイズダービー』(TBS・1976~1992年)、『クイズドレミファドン』(フジテレビ・1976~1988年)、『アメリカ横断ウルトラクイズ』(日本テレビ・1977~1992年)、『クイズ100人に聞きました』(TBS・1979~1992)『100万円クイズハンター』(テレビ朝日・1981~1993年)など、時代を築いた人気クイズには、枚挙にいとまがありません。しかし、一時はクイズバブルともいえる盛り上がりを見せた一般視聴者参加型クイズ番組のブームも、『史上最強のクイズ王決定戦』(TBS・1989~1993年)の放送終了頃を最後に一気にしぼみ、視聴者参加型番組自体もまたガクッと減少していきます。

そんなご時世にあって、『元祖!大食い王決定戦』(TV東京)の前番組としても知られる『テレビチャンピオン』などは、90年代から現在にも至るテレビ界の「視聴者参加・冬の時代」の中で、日本のシロートがテレビに登場する数少ないチャンスを提供しつづけた稀少な番組のひとつでした。そして、仕組まれたり仕込まれた作り物のバラエティには到底及ばない、本物の面白さを備えたバラエティであったと言えるでしょう。

さて、「お茶の間を沸かせるシロート」が日本から姿を消してから早幾年。久々に面白いものを見たと思えるバラエティに出会ったのは、驚くことに、言葉の通じないベトナムでのことでした。昨年3月の『元祖!大食い王決定戦』のベトナムロケにおいて、滞在先ホテルで何気なくテレビをつけていたら、この世界的に有名な番組が流れてきたのです↓。
  大食いベトナムロケで遭遇した面白いモノ大集合!(5)…ベトナム版「クイズミリオネア」

以前、当サイトでも取り上げましたが、日本には視聴者参加番組が随分と少なくなってしまったように思います。かつての『アップダウンクイズ』(毎日放送・1963~985年)、『クイズタイムショック』(テレビ朝日・1969~1986年)といった60年代放送開始の老舗番組、70年代以降放送開始の『パネルクイズ アタック25』(朝日放送・1975年~現在)、『ぴったし カン・カン』(TBS・1975~1986年)、『クイズダービー』(TBS・1976~1992年)、『クイズドレミファドン』(フジテレビ・1976~1988年)、『アメリカ横断ウルトラクイズ』(日本テレビ・1977~1992年)、『クイズ100人に聞きました』(TBS・1979~1992)『100万円クイズハンター』(テレビ朝日・1981~1993年)など、時代を築いた人気クイズには、枚挙にいとまがありません。しかし、一時はクイズバブルともいえる盛り上がりを見せた一般視聴者参加型クイズ番組のブームも、『史上最強のクイズ王決定戦』(TBS・1989~1993年)の放送終了頃を最後に一気にしぼみ、視聴者参加型番組自体もまたガクッと減少していきます。

そんなご時世にあって、『元祖!大食い王決定戦』(TV東京)の前番組としても知られる『テレビチャンピオン』などは、90年代から現在にも至るテレビ界の「視聴者参加・冬の時代」の中で、日本のシロートがテレビに登場する数少ないチャンスを提供しつづけた稀少な番組のひとつでした。そして、仕組まれたり仕込まれた作り物のバラエティには到底及ばない、本物の面白さを備えたバラエティであったと言えるでしょう。

さて、「お茶の間を沸かせるシロート」が日本から姿を消してから早幾年。久々に面白いものを見たと思えるバラエティに出会ったのは、驚くことに、言葉の通じないベトナムでのことでした。昨年3月の『元祖!大食い王決定戦』のベトナムロケにおいて、滞在先ホテルで何気なくテレビをつけていたら、この世界的に有名な番組が流れてきたのです↓。


VTV3放映の『Ai La Trieu Phu』(直訳:ミリオネアは誰?)…お察しの通り、これは日本でいう『クイズ・ミリオネア』のベトナム版です。2005年1月に放送開始、火曜日20時枠の人気番組です。セットも音楽も、出題形式もライフラインも、基本的に本家のものを踏襲しており、ベトナム語がわからなくてもその雰囲気は十分に伝わってきます。

さて、番組を少しのぞいてみましょう。経済成長中のベトナムを支えている若い世代ですが、ここにもそんな同国の若年世代を代表すべく、メガネ姿の真面目そうなベトナム人青年が解答者席に登場です。そこへ、司会者が問題を読み上げていきます。


選択肢をじーっと睨みながら考える青年…真剣そのものです。

司会者が「ファイナルアンサー?」と聞いたかどうかは私の語学力では分かりようもありませんが、解答者が出したと思しき答えは黄色に変わりました。ちなみに司会者は、ベトナム版「みのもんた」(?)こと、Lai Van Samさんです。Wikipediaによると、現在55歳、ソビエト連邦に12年間の留学歴あり(専攻はヒンズー教)、この番組以外にもクイズ番組を中心に多数の司会歴ありとのことで、まさに同国隋一の人気司会者と考えてよさそうです。


そして、正解は…???あらららら~、残念!青年のショックが伝わってくるようです。


しかし、青年は立ち直りも早いようです。ニッコリ笑って賞金を受け取り、さようならとなります。ただし、よく見れば彼の賞金は5000ベトナムドン、日本円に換算して何と20円程度ではありませんか!ミリオネアとなる意気込みで参加したはずの彼は、どうやらずいぶん最初の方の、比較的容易なはずの問題を間違えてしまったようです。それでも、このような素敵な笑顔を残して去る彼は、なんだかとても幸せそうです。


筋書きのないイージーエラーというケースは、日本の「クイズミリオネア」でも珍しくはありません。しかし、早々と不正解したこの青年に少しでも長くテレビに映ってもらうためのサービスだったのか、このシーンの前後に司会者と解答者との間に比較的長い会話が展開されました。そして、その意味こそわからないものの、この青年の素朴ながら屈託のないその口調からも、青年のハニカミの表情の裏からも、その真面目さや前向きな人柄がにじみ出ているように感じました。

言葉が分からないのにそんなことが分かるわけない、と言われればそうかもしれません。この点について考えるにあたり、かつて日本の人気番組『風雲!たけし城』(TBS・1986~1989年)がドイツで放送されて人気を博していた事を例に説明したいと思います。『風雲!たけし城』のドイツ版は『Takeshi’s Castle』のタイトルで数年前まで放送されており、映像はそのままに、ナレーションはドイツ語に吹き替えられていました。しかし、ナレーション内容は実際に展開されるオリジナル音声とは全く関係のない別内容で、日本のシロートがドタバタしたりズッコケたりする様子に対して、単にドイツ人ナレーターが思いつくままにアフレコを乗せただけという質のものでした。ただし、背後の日本語音声とドイツ語のアフレコの意味が全く関連がないことを、日本語ができないドイツ人視聴者は元々理解できないので、まさに異国のバラエティを「見たまま」「聞いたまま」に楽しむことになります。そして、80年代後半のバブル末期の日本の元気なシロートの生態をそのまま切り取っただけのようなこの番組を、21世紀のドイツ人が老若男女を問わずありのままに楽しむことができていたのです。 それどころか、この手のシロート参加番組は、シロートばかりであるというその一点だけに鑑みても、言葉の壁を超えて世界中の人々に受け入れられる素地を持っているという側面もあるのです。

”ニホンのシロート”をフィーチャーした素人参加型番組は、それでも本国日本ではいつの間にかしぼんでいきました。予期できない発言・語彙、天真爛漫なリアクション、台本にないハプニング…素人を起用することに伴うあらゆる不確定要素を、制作者が「リスク」としてカウントせざるをえないほどに、日本のメディア(特にテレビ)ひいては日本という国そのものの神経過敏体質やこれに伴う過剰防衛の必要性が年月とともに増大していったということでしょうか。それ自体を非常に残念に思うとともに、日本のバラエティ界にも途中までは確実にあったはずの大らかな遊びごころを、今のベトナムのバラエティに見出すことができるということは純粋に感動的であり、願わくば経済発展に伴いこういう心を失うことのないようにと願っています。

<参考サイト>
Wikipedia – Ai La Trieu Phu

Wikipedia – Lai Van Sam

VTV3放映の『Ai La Trieu Phu』(直訳:ミリオネアは誰?)…お察しの通り、これは日本でいう『クイズ・ミリオネア』のベトナム版です。2005年1月に放送開始、火曜日20時枠の人気番組です。セットも音楽も、出題形式もライフラインも、基本的に本家のものを踏襲しており、ベトナム語がわからなくてもその雰囲気は十分に伝わってきます。

さて、番組を少しのぞいてみましょう。経済成長中のベトナムを支えている若い世代ですが、ここにもそんな同国の若年世代を代表すべく、メガネ姿の真面目そうなベトナム人青年が解答者席に登場です。そこへ、司会者が問題を読み上げていきます。

 



選択肢をじーっと睨みながら考える青年…真剣そのものです。



司会者が「ファイナルアンサー?」と聞いたかどうかは私の語学力では分かりようもありませんが、解答者が出したと思しき答えは黄色に変わりました。ちなみに司会者は、ベトナム版「みのもんた」(?)こと、Lai Van Samさんです。Wikipediaによると、現在55歳、ソビエト連邦に12年間の留学歴あり(専攻はヒンズー教)、この番組以外にもクイズ番組を中心に多数の司会歴ありとのことで、まさに同国隋一の人気司会者と考えてよさそうです。

 

そして、正解は…???あらららら~、残念!青年のショックが伝わってくるようです。

 

しかし、青年は立ち直りも早いようです。ニッコリ笑って賞金を受け取り、さようならとなります。ただし、よく見れば彼の賞金は5000ベトナムドン、日本円に換算して何と20円程度ではありませんか!ミリオネアとなる意気込みで参加したはずの彼は、どうやらずいぶん最初の方の、比較的容易なはずの問題を間違えてしまったようです。それでも、このような素敵な笑顔を残して去る彼は、なんだかとても幸せそうです。

 

筋書きのないイージーエラーというケースは、日本の「クイズミリオネア」でも珍しくはありません。しかし、早々と不正解したこの青年に少しでも長くテレビに映ってもらうためのサービスだったのか、このシーンの前後に司会者と解答者との間に比較的長い会話が展開されました。そして、その意味こそわからないものの、この青年の素朴ながら屈託のないその口調からも、青年のハニカミの表情の裏からも、その真面目さや前向きな人柄がにじみ出ているように感じました。

言葉が分からないのにそんなことが分かるわけない、と言われればそうかもしれません。この点について考えるにあたり、かつて日本の人気番組『風雲!たけし城』(TBS・1986~1989年)がドイツで放送されて人気を博していた事を例に説明したいと思います。『風雲!たけし城』のドイツ版は『Takeshi’s Castle』のタイトルで数年前まで放送されており、映像はそのままに、ナレーションはドイツ語に吹き替えられていました。しかし、ナレーション内容は実際に展開されるオリジナル音声とは全く関係のない別内容で、日本のシロートがドタバタしたりズッコケたりする様子に対して、単にドイツ人ナレーターが思いつくままにアフレコを乗せただけという質のものでした。ただし、背後の日本語音声とドイツ語のアフレコの意味が全く関連がないことを、日本語ができないドイツ人視聴者は元々理解できないので、まさに異国のバラエティを「見たまま」「聞いたまま」に楽しむことになります。そして、80年代後半のバブル末期の日本の元気なシロートの生態をそのまま切り取っただけのようなこの番組を、21世紀のドイツ人が老若男女を問わずありのままに楽しむことができていたのです。 それどころか、この手のシロート参加番組は、シロートばかりであるというその一点だけに鑑みても、言葉の壁を超えて世界中の人々に受け入れられる素地を持っているという側面もあるのです。

”ニホンのシロート”をフィーチャーした素人参加型番組は、それでも本国日本ではいつの間にかしぼんでいきました。予期できない発言・語彙、天真爛漫なリアクション、台本にないハプニング…素人を起用することに伴うあらゆる不確定要素を、制作者が「リスク」としてカウントせざるをえないほどに、日本のメディア(特にテレビ)ひいては日本という国そのものの神経過敏体質やこれに伴う過剰防衛の必要性が年月とともに増大していったということでしょうか。それ自体を非常に残念に思うとともに、日本のバラエティ界にも途中までは確実にあったはずの大らかな遊びごころを、今のベトナムのバラエティに見出すことができるということは純粋に感動的であり、願わくば経済発展に伴いこういう心を失うことのないようにと願っています。

<参考サイト>
Wikipedia – Ai La Trieu Phu


Wikipedia – Lai Van Sam

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