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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2011/01/14

驚異の104歳児(?!)が語った『少食のススメ』

   驚異の104歳児(?!)が語った『少食のススメ』

遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。本年も『元祖!大食い王決定戦』(TV東京)は春の女王戦に向けて着々と準備が進行中です。番組予選と本選が2月中に行われる予定ですので、本年もよろしくお願いいたします。

さて、今週は年頭のご挨拶を兼ねて、目出度い話題でいきたいと思います。旧年中に開催された日本脳神経外科学会第69回学術総会において、フラリと立ち寄った講演が大変面白かったので、その話をご紹介します。

その講演の演者は、「104歳児・世界一元気な教育学者」こと、しいのみ学園理事長・園長、福岡教育大学名誉教授の曻地三郎さんでした。講演のタイトルは「104歳児・サブちゃんの十大習慣健康法~脳内・体内時計との関係や如何に?~」というもので、プログラムに連発される「104歳児」という活字にいくばくかの違和感を抱きつつ、私は学会会場のメインホールの重い扉を押して中に入っていったのでした。

壇上の曻地氏をまず見て感じたのは、104歳にはとても見えないその弾けっぷりでした。「104」と書かれた鉢巻を締め、真っ赤なマントで登場した中肉中背よりやや小柄、お肌ツヤツヤのご老人は、これまたその歳に似合わぬ大きく張りのある声で講演を始めました。子供の頃は「虚弱児」だったと自称する同氏は、25歳で「模範教師」となり、子供が脳性麻痺となったのを機にしいのみ学園を創立して障害児教育に邁進、さらに95歳で「妻子に先立たれて自由の身」(?)となって以降は、世界各地をまたにかけて講演活動を行ってきたとのことした。その堂々たるバワーポイントでのプレゼンテーションもさることながら、最後に披露された民謡・黒田節に合わせた同氏の踊りがこれまた驚嘆に値するもので、会場一同の人生にクタビレ気味の脳外科医たちは完全に呆気にとられて固まっておりました。

 

(黒田節を踊る曻地三郎氏。福岡国際会議場メインホール)

この曻地氏の講演、何から何まで大変興味深いものでしたが、大食い番組に携わる身として特に注目したのは、同氏の提唱する「十大習慣健康法」の中のとある一項目でした。「75歳で総義歯(よく噛むため)」「語学を勉強する(100歳を過ぎてなお5カ国語を学習中!)」「日記をつける」「硬いマットで寝る」「仰向けに寝る」「寝起きの冷水摩擦」「棒体操」などといった実に具体的な項目が並ぶ中、何と言っても私の目を引きつけたのはコレでした。

「少食」

その後に、「食事量が生涯で他人の半分程度」「カロリー制限・少食は長寿の医学データに符合」などといった説明が続きます。考えてみると、適量の食事は丈夫な体を作るということは間違いないでしょう。そして、多すぎる食事は体への負担が大きいということも、私は大食い番組の舞台裏を見て当然知っています(見なくても自明の話ですが!)。曻地氏の言い分では、少なめの食事をしっかり体に吸収させるということが実は重要で、健康の秘訣なのだそうです。そこには、食べすぎや飲みすぎで居酒屋のトイレにこもって唸り苦しむ現代の社会人のようなライフスタイルは全くといっていいほど影も形もありません。

さらに曻地氏の講演の直後、同氏の主治医でもある島史雄先生(ブックスクリニック機能神経外科)から追加説明があり、動物実験(ラット)にて「-30%のカロリー制限」による寿命延長効果が示されたというScience誌の2009年の論文が提示されていました。原因遺伝子も判明しているようですので、他の動物や人間の場合のデータ解析の結果もまた今後に期待されるところです。

曻地氏の講演を聞いた後、帰りのバスの中から大都会・福岡のネオンきらめく夜景を眺めながら、つくづく考えこんでしまいました。大食いの選手たちは、スポーツ選手も顔負けなほどに、体も精神もすり減らしながら真剣に戦っている…体に良かろうが悪かろうが、とりあえず今この瞬間だけは、隣の人にも誰にも断じて負けたくない…それはどんな動物にも備わる一種の闘争本能なのかもしれない…それは番組の画面にも全開に表現されている…しかし、それなら「104歳児」さんはどうして、戦争体験なども含めて波乱万丈の人生を送ってきているはずなのに、”体も精神もすり減らさない頑張り”を見せることができるのだろう…と。

良くは分かりませんが、そのカギを握っているのは、「小・中学生までは虚弱児だった」というくだりではないかと私は思っています。大食い選手はどちらかというと元々勉学優秀タイプや健康優良児タイプだった人が多い傾向にあります。そして、そのような人生経験の中で培われた独特の神経の敏感さをそのまま番組に持ち込んでくるからこそ、力を抜くことが不得手な選手が多くなるのでしょう。ただし、それが彼らの長所でもあるということを、スタッフも私ももちろん知っています。だからこそ、そんな彼らにとって、人生をとことんエンジョイし続けている「驚異の104歳児」の生き方が何かの参考になればと私は願わずにいられないのです。

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