Nagoya Talents' Network - タレコラ

Dr.片山晴子 RSS Feed

金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2010/12/24

ドイツのテレビが明かした正真正銘の「食べても太らない方法」…運動編

『元祖!大食い王決定戦』(TV東京)のような大食い番組や、それに類似した大食い企画をテレビで見たことのある視聴者は、「大食いをする人は食べても太らないのだろうか?」という疑問を、一度ならず心に抱いたことがあるのではないでしょうか。大食い番組の現場およびその裏側を見る機会を得るようになって間もなく6年になる私には、医師としてのみではなく、同じ日常生活を営む人間としての見地からも、その疑問に対しての答えがある程度頭の中に形成されており、このサイトの中でもあるときは直截的に、ある時は回りくどい事この上なく(?!)文章化を試みてきたつもりですが、あまり上手く伝わらなかったかもしれません。

しかし、ある日、ドイツで朝の情報番組を何気なく見ていたら、その疑問に対する模範答案のような会話が飛びだしてきて驚きました。あまりにも満点解答過ぎて、私は慌ててペンとメモを探しに走ったものです。そのゲストと司会者との簡潔なやりとりの中には、私が過去数年にわたり何人もの大食い選手から見聞きしてきた正真正銘の「食べても太らない方法」が過不足なく含まれておりました。

この朝の情報番組とは、ZDF(ドイツ第二テレビ)の『Volle Kanne』(満杯のポットの意)です。有名人のゲストが日替わりで招かれ、司会者と一緒にカメラの前で実際に朝食をとりながら(!)、日々のニュースやトピックスに対して意見を述べるというものです。そして、番組中に二度ほどトークを中断し、名物のお料理コーナーが流れます。筋骨隆々の金髪白人男性の料理研究家が、激しいバイエルンなまりで家庭の主婦にドイツのコッテリした伝統料理から糖尿病患者用のヘルシーな献立まで、キッチンスタジオにて生放送で実演調理してくれます。

ちなみにこの日のゲストは、若い頃に医学部を中退した経験を持つ御年65歳の有名歌手、ユルゲン・ドレフスさん(Jürgen Drews)でした。その会話の内容を以下に再現します。なお、文中に出てくるロスマイヤー氏(Armin Rothmeier)とは、先述のマッチョなお料理の先生のことです。

司会  「ここからは、ユルゲンが視聴者からのメールに答えてくれるコーナーです。早速女性ファンから質問がきました。ユルゲンは長年スタイルを保ってるけど、どうして太らないの?」
ユルゲン 「それはね…、『決まった時間に食べないこと』さ!」
司会 「えっ?どうゆうこと?」
ユルゲン 「単純なことさ。ハラが減った時に、そこそこハラが満たされる程度に食べる
司会 「でも、決まった時間に食べろって普通は言うよね?一日三回とか、規則正しくとか」
ユルゲン 「それが一番いけないんだ。一日何回、何時に食べるか、などと決めてしまうと、ハラが減ってもいないのに食べることになる。それが一番体に悪いんだ!」
司会 「なるほど!そういえば、当番組の料理コーナーのシェフであるロスマイヤー氏が言っていたっけ。彼は食に携わる仕事をしているけど、絶対に間食をしないんだって!それに、彼はもの凄く体を鍛えているんだ」
ユルゲン・司会 「…」
(カメラが厨房の筋肉ムキムキのシェフにパッと切り替わるのを、納得の表情でモニター越しに確認する二人)

以上の会話をまとめると、「食べても太らない方法」とは;
1.ハラが減らないうちは絶対に食べない
  (=ハラが減るまでしっかり待ってから食事する≒間食も厳禁)
2.摂る食事は「腹八分目」に抑える
3.運動をする
といった感じになるかと思われます。

ここでご紹介したいのが、当番組で栄光の三連覇に輝いた大食い王者・菅原初代さんが以前ロケの合間に発言していた内容です。

「大食いした後そのままにしていたら、2日くらいお腹が減らない」
「お腹が空いていないのに食べるから太るんですよ。ハラが減るまでしっかり待ってから食べれば、太ることはない」

ことの真偽はともかく、ドイツの大御所シンガーと日本の大食いクイーンが地球の反対側で全く同じ主旨の発言をしたこと自体、私には衝撃でした。そして、この会話には、大食いを考える上でさらに重大かつ示唆的なポイントがあります。それは、「体を鍛える」というくだりです。

大食いロケの歴史を振り返れば、激しい運動と大食いとの親和性は高いと言ってもよく、「趣味がマラソン」「元トライアスりート」「エアロビの先生」「元ボクサー」「元高校球児」といったスポーツ歴を誇る方々が幾年にもわたり当番組を彩ってきました。高橋尚子さんのような国民栄誉賞級のオリンピック金メダリストとまではいかなくても、例えばフルマラソンをする人などは、大食い選手並みの食事量を誇る一方で、日々消費するカロリーもまた人並み外れて多いものです。

しかし、実は逆のケースもあるようです。「激しいスポーツをするから大食いになる」のではなく、「大食いしたいけど太りたくないから激しいスポーツを始める」という、いわば逆パターンです。そして、その展開次第では、そこを足がかりに生活自体を変えていくことができるという話が混じってきます。それもこれも、その是非は別にして、「大食い」「激しいスポーツ」のいずれも自分の肉体を極限まで追い込む”自分への挑戦”という性質があるからです。この根源的な共通項がある限り、両者の親和性が高くなるのも当然です。そして、どちらも一般的な生活を営む人間にとっては体に悪いことこの上なく、特殊な訓練を段階的に積んでスキルを築き上げた人にしかそもそも出来ない行為であることも、これまた言うまでもありません。

ちなみに、先述のドイツの「ムキムキお料理研究家」ことロスマイヤー氏の場合も、ひょっとしたらそのマッチョな肉体は、仕事に伴う試作やら試食やらで口に運ばざるを得なかったカロリーをどうにかするための方便が生み出した副産物なのかもしれません。


<参考資料>
ZDF Volle Kanne


YouTube -Matthias Reim singt bei Volle Kanne (2010)
(Jürgenではない別の歌手がゲストの回だが、司会者および食卓を前に歌など披露する番組スタイルが同じであり、参考のため提示)

Wikipedia – Jürgen Drews

バックナンバー>>
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483