2010/09/17
大食い版・どうぶつ奇想天外(1)…宮島鹿乱入事件
先月末にロケを終了したばかりの2010年秋の本選『元祖!大食い王決定戦』(TV東京)は、2010年9月25・26日(土日)の昼間に予選および最終代表決定戦の模様を、26日(日)19時より本選の模様をオンエアする予定です。今回は近年稀にみる出場選手の実力が拮抗した大会であり、行く末の読めない熱戦が目白押しでありました。きっと、お楽しみいただけるオンエア内容に仕上がるであろうと予想されます。是非皆様でご覧いただければ幸いです。
さて、「大食いロケと動物とのコラボ」を取り上げてきた本連載ですが、今回は大食いスタッフ一同が最も肝を冷やした「宮島鹿乱入事件」を取り上げたいと思います。
あれは、当番組に木下祐曄さんが初登場した2009年夏の新人戦でのヒトコマでした。広島髄一の景勝の地であり世界遺産登録もされている厳島神社のど真ん前で「にぎり天45分勝負」を行う…というゴージャスかつスペクタクルなショーの撮影に心ときめかせつつ、スタッフと選手一同は広島・宮島にフェリーで渡ったのでありました。そして、一行は当然のことながら、「人間より多いんじゃないか」と思うほど現地の至るところにウロウロする鹿さんたちの歓迎を受ける訳ですが、このときはまさか、この後に別の意味でのスペクタクルな事件が起きようとは思いも及びませんでした。
上の写真は、競技開始前の模様を撮ったものです。写真右端のハッピ姿の女性が、当番組でおなじみの正司優子さんです。山口・周南市在住で、撮影現場には遊びにきただけの彼女ですが、早速スタッフ扱いで食材出しなどの手伝いをする羽目になっておりました。
こうして「よ~いドン!」となり、選手たちはパクパクとにぎり天を口に放り込み、撮影も順調に進んでいたはずでした。しかし、その矢先にいきなりとんだお客様が割り込んできたのです。それこそが、地元宮島に生息する鹿様ご一行でした。彼らはよほどお腹が空いていたのか、にぎり天の匂いにつられて会場に乱入し、準備中の食材に猛然とダッシュしてきました。初めは1~2頭でしたが、どこからともなく仲間が合流してくるのは、鹿の世界も意外とクチコミ社会なのでしょうか?プロデューサーやスタッフに正司さんも、追い払おうとしたり、あやそうとしたり、色々試みましたが、ここまでの事態になると防戦一方です。そして、選手がまさにかじろうとして手に持っているにぎり天を、ある鹿がジャンプ一番、横からかっさらっていったシーンが決定打となり、ついに撮影は中断となったのでありました。
実は、このロケの台本を読むと、鹿の乱入自体は想定内の出来事であったことが分かります。試合経過中の進行表には、「驚く見物客 インタビュー」の続きに、「のんびり寄ってくるシカにもインタビュー」という、今思えば大いに牧歌的な記述があります。企画段階では、エサを前にした鹿が豹変して獰猛性をむき出しにすることにまでは、さすがに発想が及ばなかったのでしょう。
しかし、本当の恐怖は、実はこの後に襲ってきました。というのも、会場を縦横無尽に走り回っていた宮島の鹿たちが、ある瞬間を境に地面にへたりこんだまま、パタッと動かなくなったのです(下写真)。思えば、鹿は本来は草食動物、それがあれほど大量に練り物を摂っただけでなく、揚げ物のアブラにやられてしまったのかもしれません。
ご覧のように、すっかり目がトロンとしてしまっています。鹿せんべいにとどめておけば、こんなことにはならなかったのでしょうか。「宮島の鹿が、大食い番組の食材を食べて中毒死!」などという事態にでもなろうものなら、今度こそ番組が完全に終わってしまいます。ということで、番組プロデューサーも必死です。鹿さんの回復を祈って、こんな感じで付き添い看護(?!)しておりました(下写真)。
幸い、岡田英吉プロデューサーの献身的な介護の甲斐もあって(?)、鹿たちも何とか回復し、競技も再開され、晴れてこの試合の勝者となった木下祐曄さんはその後の当番組でも大活躍しています。木下さんといえば「四コマ漫画」ですが、彼女の四コマ漫画のサイトでも、この宮島鹿乱入事件は生き生きと描かれていました。スタッフにも選手にも強烈な思い出を刻んだこの鹿さんたちは、今頃はどんな食生活をしているのでしょうか…?また広島に行く機会があれば、是非とも確認のため宮島まで足を延ばしたいと思います。