2007年9月30日放送「元祖大食い王決定戦in Bali」を振り返る(3)
最後の口頭試問?!ジャイアント白田-
ついに迎えたバリでの頂上決戦。
オンエア映像でちょこちょこ映っていたように、私は灼熱の舞台上で、選手の熱中症防止のため、彼らの後ろで濡れタオル(中に氷が仕込んである)を持って忙しく動き回っていました。そして残り時間も少なくなり、どうやら何とか無事故で試合を終えることができそうだ…と、ひと息ついたその瞬間。
「幽門が開いた!」
白田君の叫び声は、一種の唐突感をもってバリの空に響き渡りました。
一瞬のスキを突かれたように、その一言で司会者やスタッフの動きは一気に忙しさを増し、私はカメラの前に引っ張り出されたのでした。
この「幽門が開く」という表現は、白田君と私が初めて会った2005年秋の大会の決勝戦「燕三条ラーメン対決」の時に私が口にして以来、すっかり番組のキーワードとして定着してしまったフレーズです。「幽門」とは胃の出口部分のこと(ちなみに胃の入口部分は噴門と言う)。制限時間が長い試合の後半部分において、充満していた胃の中にスッとスペースが出来て、ラストスパートが利くようになる現象を表現したものです。
大食いの人は「普通食い」の人に比べ、幽門がゆるいというか、食物の胃内停滞時間が短めであるという説もあるようです。確かに大食いの人を見ていると、食べてから出るまでが割と早いという印象もあります。
ただ、今回の決勝戦において本当に白田君の幽門が開いたのかどうかは「白田のみぞ知る」で、私にはわかりません。確実にわかることは、あの発言が出れば私がカメラの前に引きずり出されること。そして、私がカメラの前に立てば、何らかのコメントを求められるであろうということ。そして、白田君という人は、そういう計算の立つ人物であるということです。
まるで授業中に全く心の準備のない状態で先生に当てられた生徒のようでしたが、私としては精一杯、白田君に敬意を表した発言をしたつもりです。今思うと、「幽門が開いた!」という発言自体が、白田君から私への最後の口頭試問だったようにも思えます。その問いに私は、「長い間自分の胃と向き合ってきた人ならではの発言」という表現で回答しました。長年に渡ってこの世界の第一人者としてリードしてきた人物の引退試合において、私の最後のエールは果たしてうまく伝わったのでしょうか。今となってはわかりませんが、彼が「大食い実業家」として新しいジャンルを切り開いていくさまを、今後とも注目させていただきたいと思う次第です。





