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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2010/05/28

フィギュアスケートと大食い…「ロシアン」という共通点(後編)

『元祖!大食い王決定戦』(TV東京)は、またまた始動いたしました。現在、秋の男女混合戦のシード権をかけた新人発掘戦が着々と進行中です。国内四県での地方予選と、秋の新人王をかけた東京決戦の模様は、2010年6月26日(土)のオンエアを予定しています。是非ご期待いただきたく思います。

 

さて、先週のコラムでは、当番組が生んだニュースターの一人でもある「ロシアン佐藤」こと佐藤ひとみさんについて、これまた男子フィギュアスケート界の「ジョニー様」ことジョニー・ウィアー選手(アメリカ)との対比で考えてみました。ともにロシアと少し関係がある…という話ではありましたが、両者には他にも共通点があるのでしょうか?

 

この質問の答えを考える際、今春のハワイロケ終了後の打ち上げにおけるロシアン佐藤さんの発言は大きなヒントになりました。ホノルル市内の寿司レストランの店内で、バイキングの取り皿に乗った山盛りの料理を前にも、満面の笑みで彼女はこうはしゃいでいました。 

 

「今回の出場選手のうち、楽しそうに食べてくれる人は君しか残っていないから、頑張ってきてくれって、実は日本を出てくるときにMさん(当番組の元大物プロデューサーで現在編成局所属)に言われてたんです!」

 

勝つために血眼になって食べる大食いの中にも、そういう選手にしか表現できない世界があります。しかし、そのような者ばかりが画面を埋め尽くした場合、視聴者の反応はどうなるのだろうか…。番組を制作する立場から言うと、「美味しそうに」「楽しく」「幸せそうに」食べるという、「勝負」ではなく「エンタメ」としての大食いを画面に確保しておきたいという論理が働くようです。ちょうど、人が人をジャッジするフィギュアスケートという世界において、点数や順位を超越した独自の美しく幻想的なプログラムを披露するジョニー・ウィアーの存在が大いなるアクセントになっているように…。もっとも、ロシアン佐藤の大食いスタイルも、ジョニー様の演技スタイルも、あくまでも自分自身の個性表出の一環であり、マスメディアの意図でも指示でもないということは、言うまでもありません。

 

それでも、「エンタメ」は必ずしも「事実」と相容れないことがあります。少し前に、以下のような報道がありました。

 

「浅田選手ら演技映像一部差し替え アイスショーのテレ東番組」(47 News)

http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010042301000821.html

 

2010 年の世界選手権後、日本国内で開催されたアイスショーに出演した浅田真央選手や小塚崇彦選手(ともに中京大学)の演技のうち、失敗ジャンプを別の映像に差し替えた上、編集を施したことを説明しないままオンエアしたというニュースでした。そして、テレビ東京の社長の記者会見における「あくまでショー。選手の妙技をより良い姿で見せたもので、問題はない」という説明は、ちょうど「菅原初代とエフゲニー・プルシェンコ(3)…ショーよりもコンペティション!」を準備中だった私にとって、驚くほどにタイムリーな報道でありました。

 

編集権を持った者が被写体に対して色をつける…これがテレビ界の構図だとすると、まさにフィギュアスケート界のジャッジが選手に対して点数をつけるという構図とよく似ていると考えられます。

 

しかし、当番組のロシアンとフィギュアスケート界のロシアンの共通点は、そんな周辺環境の思惑には十分な理解や配慮を示しつつも、当人はあくまでもスポーツマンシップに忠実に、正々堂々と戦うというスタンスを最も大切にして競技に望んでいるというところです。フィギュア界のロシアンことジョニー・ウィアーに関しては、同じ難易度の技でも点が出やすい選手や出にくい選手がいたり、「芸術点」のような数値化しようがない指標で勝敗が決まってしまう試合もあるフィギュアスケート界において、どちらかというと演技内容に比して点数が出にくい傾向がありますが、異議を申し立てることもなく、むしろブーイングに荒れる観客をなだめるなど、フェアな態度で臨む選手として知られています。

 

前回オンエアの女王戦「元祖!大食い王決定戦in Hawaii」では、4人しか行けないはずだったハワイロケに5人が行けるようになったり、従来3人で臨むはずだった決勝戦に、番組史上初となる4名が進出したりしました。それだけこの大会は選手レベルが拮抗しており、誰が脱落してもおかしくなかった訳です。そして、接戦の末に勝っても負けても引き分けても、制作者の意図とは無関係に、選手の心には何らかの爪跡が残ることもあるのです。「勝っていたのに○×△…」「負けるはずだったのに□☆◎…」などといった具合です。

 

そんな現場で、いつも選手のメンタル面のフォローにまわっていたのが、当番組のロシアンこと佐藤ひとみさんでした。「こうしていれば自分も危なかった」「条件はみんな一緒」など、色々な表現を用いて勝負の現場の混乱を収めようと尽力する姿は、とても印象に残りました。もっとも、その姿を見て、「彼女って、スポーツマンシップの塊!」と思った人は他にもいたかもしれませんが、「ロシアンって、まんまジョニー・ウィアーかも!」などと痛感していたのは、おそらく私ただ一人だった可能性が高いですが。

 

競技スタイルはあくまでも「個性的に」、「楽しく」、それでいてあくまでも「真剣に」、そしてスケートリンクを離れれば「ユーモラス」な言動で周囲を幸せにしてくれるあのジョニー様のように、ロシアン佐藤さんにもまた、今のその魅力を失わずに今後も当番組で活躍を続けて欲しい…それが私の願いであります。

 

 
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