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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2010/03/26

ハワイの記憶 (1)…裏テーマは「裏をかく」!

『元祖!大食い王決定戦』(TV東京)は、3月21日に放送されました。このサイトで紹介した通り、ロケ当時はオンエア予定日を「3月27日または28日」と設定しており、今回のオンエアは一週間繰り上げた形になります。おそらく、直前の金曜日(3月19日)が当番組のDVDの発売日であったことが理由と思われます。

今回の当番組のテーマは「進化」だったそうですが、裏テーマを挙げるとすれば、「裏をかく」という表現がピッタリではないでしょうか。今回ほどスタッフがあの手この手で選手や視聴者の裏をかこうと趣向を凝らした大会は、記憶にありません。具体的に列記してみると、こんな感じでしょうか。

1) 予選ロケと本選ロケの日程は従来は1ヶ月近く間を空けていたのに対し、今回は予選と本選との間が1週間足らずと、極めて短かったこと。(選手のコンディション調整という観点からは、極めて過酷な日程)
2) その本選ロケも従来は2月末~3月初めに行われていたのが、今回は2月中旬と、2週間程度早くなっていること。
3) 本選参加選手は従来は8名だったのを、今回は9名に増員し、初戦で2人落ちる設定にしたこと。
4) 海外ロケ採用以降、これまでは日本と海外で3試合ずつの計6試合を戦っていたのを、日本で4試合、海外で2試合と、配分を変更したこと。
5) 海外ロケに連れて行く選手を5名から4名に減らす設定にしたのみならず、海外に連れて行くスタッフの人数も大幅に減らしたこと。
6) 海外行きを決定する試合(従来は3回戦に相当)では「ご飯モノ」が鉄則で、それもあんかけ・雑炊・茶漬けといった「容量モノ」(アゴ力や嚥下力でなく純粋に胃の大きさを問う食材)が多かったのに対し、今回(準々決勝に相当)は「とんかつ」だったこと。
7) 関西国際空港からの出国だったこと。
8) オンエア日が例年よりも1週間繰り上がったこと。

これらのうち、1)2)3)8)はズバリ、DVDの発売日に放送を合わせるための策であったと思われます。さらに2)に関しては、フライト予約の調整で苦戦したことも関係があるようです。4)5)に関しては昨今の経済不況による経費削減の影響も色濃く反映した可能性が高いでしょう。しかし、4)については、今大会では海外での試合数が従来より1試合少なく設定されていたにもかかわらず、海外滞在日数は逆に従来よりも1泊多くなっており、これもフライトの影響です。しかも、5)の通り、選手の海外枠を減らしたにもかかわらず、結果的には5名とも海外に行くことになったため、経費節減効果は思ったほどは得られなかったようです。3)は顔ぶれの固定化によるマンネリ防止、あるいは、大食いDVDにも登場する昔の選手の競技ブランクを考慮した門戸開放の一環とも考えられ、6)7)も番組のパターン化を防ぐ目的と推測されます。いずれにしても、見るものの裏をかくあらゆる試みが施されており、意外性の奥に潜む面白さを引っ張り出してくるという、近年稀にみる実験的な制作意図をうかがうことができます。

特に7)の「関空出発」は効果が高かったといえるでしょう。今までは成田からの出国であったため、その直前の国内試合が関東圏に限られるなど、その会場選定には常に大きな制約がありました。それが今回は、「日本列島横断」という新鮮味のみならず、最近の橋下徹・大阪府知事による伊丹空港閉鎖問題や米軍基地問題に関する発言等でも知られるように、今まさに旬である「関空」の話題性も加わり、番組の新しい方向性を模索する機会となったのではないかと思います。そして、その延長線上に、当番組の「進化」の余地もまたあるのだと言い換えても良いでしょう。

今回、関空発となったもう一つの理由として、昨年の「マカオの教訓」というのも考えられます。当番組は2009年秋の海外ロケの後半部分をマカオで行いましたが、このときの移動は実に過酷なものでした。まず飛行機で成田から香港まで飛び、バスに乗り換えて香港市内を1時間程度移動、さらに船(ジェットホィール)でマカオに渡り、そこからもまたバス…というもので、ようやく宿泊先にたどりついたのは現地時間の早朝5時でした。ベテラン司会・中村有志さんをして「これまでの大食い番組の移動の中でも最も過酷な部類」と言わしめたこの移動ですが、その理由は簡単でした。日本からマカオへの直行便は、関空からしか出ていなかったからです。もし、前回のマカオで「関空発」を採用していたとしたら、移動がどんなに楽だったことでしょうか。滞在時間ももっと有効に使えたかもしれません。しかし、そうなると国内ロケの選定からやり直しになってしまうことが懸念されたのでしょう。ひょっとしたら、「関空発」を盛り込んだ今回のロケスケジュールの原案は、このマカオ移動の過酷さの結果としてスタッフの脳裏に刷り込まれた秘策だったのかもしれません。

となると、話題性という観点からも、次回は「茨城空港からインチョン(韓国)経由で…」が有力でしょうか?ここに書いた時点ですでにありえないという話もありますが、「裏の裏をかいて」実現するかもしれません!食材に限らず、話題でも常に旬を取り込むのが当番組ですから、今後はその辺りにも注目して見ていただければと思います。

(写真は梅田駅横のリムジンバス乗り場。最近何かと話題の尽きない「関空」と「伊丹」ですが、次回の大食いロケでは、どの空港が使用されるのでしょうか?)

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