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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2010/03/12

大食いロケ必携医薬品(5)…虫除けクリーム「きっかけは山本卓弥!」

先週は、『元祖!大食い王決定戦』(TV東京)のロケにおいて「虫除け」が必携品になるに至った経緯について取りあげました。もともと夏場の国内ロケでも用意していた品ではありましたが、2007年秋のインドネシア・バリ島におけるロケを契機に、熱帯感染症対策という重要項目を再認識したという話でした。そして、その背景には、近年の世界におけるデング熱の急増、日本人観光客のデング熱感染者数の増加という二つのデータがありました。

さて、恒例となった「トロピカルな海外ロケ」における虫除け対策ですが、新たな局面を迎えたのが2008年秋のタイでした。そして、そのきっかけとなったのは、その前年のバリにおける「大食いキング(元キング?)」こと山本卓弥さんのハプニングでした。

2005年春の当番組放送開始からの古参である山本卓弥君には、その類まれなる大食いの資質にも増して、実に当番組泣かせの特異体質がありました。それは、「やたらと蚊に咬まれる」というものです。当番組が日本国内のみで撮影されていた頃、他の選手がケロっとしている時でも、彼だけは夏の屋外ロケのたびに体のあちこちを赤く腫らし、しきりにかゆみを訴えていたものでした。彼曰く、その理由は「O型だから?」というものでしたが、他にもO型の選手はいたにもかかわらず、いつも明らかに彼ばかりが異常なほどに蚊のターゲットになるのです。2007年8月末のバリ島ロケで、デング熱の脅威におびえるスタッフが一番懸念したのもまた、他ならぬ「元キング」に対する虫除け対策でした。

しかしバリでの準決勝「エビカツ45分勝負」で、予想だにしなかった問題が発生しました。ボディの方は無事だったものの、やたらと顔を噛まれまくる男が一名いるではありませんか。「顔はやばいよ、ボディにしなよ」などと三原順子(現・三原じゅん子)さんのようなセリフが脳をよぎります。数珠のような虫刺され痕を頬やアゴに次々と作るこの男性こそ、当番組史上最強の「虫刺されキング」、山本卓弥さんでありました。

通常、虫除けスプレーの注意書きには、「目や口などの粘膜付近には使用しないこと」と書かれていることが多く、この文言を忠実に守った場合、顔付近には使用できないと考えるのが普通です。このため、体にはタップリ吹き付けた虫除け剤も、顔への塗布量には限界があり、全て汗で流れてしまったようです。

この反省から、一年後となる2008年真夏のタイにおいては、前年の雪辱と王座奪還を期して揚々と乗り込んできた山本さんのために、「顔にも使える虫除け剤」を探しておこうということになりました。通訳ガイドに付き添われつつ、現地の薬局の門を叩いた時のことです。

カタ「顔に使える虫除けスプレーありますか」
薬剤師「スプレー?タイの虫除けは、スプレーじゃなくてクリームだ!」
カタ「へっ?虫除けが、クリーム?スプレーは無いんですか?」
薬剤師「無くはないが、汗で流れちゃうだろ?顔に使うならなおさら、こっちの方が絶対に良いって!」

 

虫除けクリーム!これは新たな発見でした。考えてみれば、8月末のタイは、日本とは暑さの次元が異なるだけでなく、飛んでいる虫のコワサも比較にならないものでした。蚊が媒介する病気といえば、マラリア、日本脳炎、チクングニヤ熱、フィラリアなども知られています。中身は日焼け止めにも似た白色の乳液で、ボトル裏面のタイの丸文字だらけの説明のうち唯一読み取れたのは、有効成分がDEET (N,N-diethyl-meta-toluamide) 15%であることです。日本での虫除け剤におけるDEETの最高濃度は12%なので、より高濃度のタイの製剤は、効果がより長く持続する製剤です。真っ先に気づく最大の長所は、呼吸とともに吸いこんでしまう危険性がないことでしょうか。このため、スプレーに適さない部位にも虫除け対策を徹底することが可能です。こうしてみると、トロピカルな生活も楽ではないと思う反面、これが現地人の生活の知恵なのかも…などと、色々と思うところがありました。いずれにせよ、蚊に喰われまくる大食い王のための理想の虫除け剤を入手したことで、私たちはタイに来てようやく心の平安を得ることができたのでした。

しかし、それだけでは終わらないのが当番組です。丸文字ボトルをお守りの如く握りしめて臨んだ本番には、次なる波乱が待ちうけていました。それについては次回に続きます。

<参考資料>
Wikipedia - 三原じゅん子

厚生労働省検疫所-海外感染症情報-タイ

Wikipedia - ディート

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