元祖!食いだおれ選手権?(2)…タイのトマトシェイク
毎回、美味しい食材をふんだんに用いた大食い競技を放送している『元祖!大食い王決定戦』(TV東京)ですが、今回ご紹介するのは、実は競技に使用したものではありません。「当番組のロケに同行すると、撮影とは無関係に逸品に出遭うこともある」という一例として、今日はタイのトマトシェイクを取り上げたいと思います。
2008年8月30日、大食いロケ隊は選手一同とともに未明にタイに到着したばかりでした。渡航から丸一日は当番組では「胃の休息日」と呼ばれ、体調調整のために大食い競技が行われないことになっています。従ってこの日は、タイを紹介する旅行番組のようなシーンの撮影に費やされることになります。
そして、その出会いはバンコク市内の「アッタイ41食堂」なる大衆食堂での収録時でした。選手やスタッフが同店自慢のカレーやチキンなどを次々と頬張る横で、やたらとトマトカレーをおかわりしていた私に、一人の女性店員がそっとささやいたのです。
「アナタ、トマト好キソウネ!ソレナラ、トッテオキノガアルカラ、作ッテアゲル!」(←発言はタイ語。通訳を介して理解)
そうして運ばれてきたのが、コレです↓。
見れば、トマトを一個丸ごとシェイカーに放り込み、牛乳や氷や砂糖を加えてガガーっとやっているではありませんか。「トマトに氷」や「トマトに砂糖」までは許せるものの、「トマトに牛乳」には、さすがの私も一瞬たじろぎました。そんな私の反応を待っていたかのように、彼女は大笑いしてこう言うのでした。
「トニカク飲ンデミテ、騙サレタト思ッテ!」
半信半疑の私の顔をニタニタしながら見ている彼女を、信じるべきか…信じないべきか…などとシェイクスピア状態になること数秒、意を決して私はこのドリンクをエイヤっと飲んでみました。
「コレ、メチャおいしい!」
いやはや、シェイクスピアも真っ青の、意外な新食感が全開の美味しさでした。トマトをミルクシェイクにするという大胆な発想と、その想像を凌駕する素晴らしい味に、まさに一本取られた心境で感動にひたっていたら、周囲にいたスタッフがゾロゾロとこちらへやってきました。
「センセ、それマジで美味いの?」
「信じらんないから、チョッと味見させて」
そうして私のシェイクは、試飲のためスタッフに持っていかれてしまったのでした。そして彼らは一様に「何コレ、超うめぇ!」「いや~、新食感だね!」「最高!」などと異口同音に言います。カウンターの後ろで勝ち誇ったような笑みを浮かべていた女性店員の顔が、いまだに忘れられません。
あれから1年4ヶ月ほどが経ち、今や日本では「トマト鍋」がブームになっています。久しぶりに訪れた日本のスーパーで、「トマト鍋の素」なるものを初めて目にした時、日本の鍋文化も随分変わったものだと唖然としたのと同時に、あの日のタイで出遭った「意外性」と「新食感」のトマトシェイクを思い出したものでした(ちなみにトマト鍋、早速試したところ、これが結構美味しかったです)。もっとも、日本で「タイ式・トマトシェイクの素」なるものが販売される日は、とても来そうにありません。これをどこかの会社が、私が生きている間に製品化してくれることを、アテにはせずに気長に期待したいと思います。






