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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2009/12/11

大食い政治学(4)…幾多のニアミス、神懸りの海外ロケ?

「大食い」と「政治」というと、何の縁もゆかりも無さそうです。ところが意外にも、『元祖!大食い王決定戦』(TV東京)の海外ロケは、「政治」を身近に感じることのできる、大変勉強になる道中でもあります。思えば、当番組の本選ロケが海外に移されてからというもの、海外ロケそのものが幾度となく国際政治の影響を受けたことがある…わけではないものの、度々の「ニアミス」がありました。それでは具体的に振り返ってみましょう。

1) 2007年秋、バリ(インドネシア)
ロケ入り直前である同年8月20日に、安倍晋三首相(当時)が原発支援の共同声明発表のために、昭恵夫人とともにインドネシアを訪問。当番組のロケ地をスタッフから聞いて知っていた身としては、何ともタイムリーな報道に驚く。さらに、その少し前である8月中旬、バリ島において2名の鳥インフルエンザ感染者が相次いで死亡の報道。バリ島はまさに実際の当番組ロケ予定地であるため、スタッフも私もさすがにこちらのニュースには冷や汗をかく。撮影中止はまぬがれたものの、鳥インフルエンザの発生地で食べ物を扱う番組を撮るという異例の事態に、「鳥の入った食材は映す訳にはいかない」など、スタッフは緊急の対応に追われており、食材も含めたマイナーチェンジがあったようである。

2) 2008年秋、バンコク(タイ)
この場合は、海外移動の前日(2008年8月26日)、既に国内でロケ入りしている最中のこと。都内のホテルにてテレビをつけて一息入れようとしたら、何と翌日に行く予定のタイで、大統領府前での座り込みデモが発生との報道。緊張感あふれる現地映像が日本の全局のニュース番組で一斉に取り上げられ、前年のバリ以来となる2年連続の冷や汗。さすがにこの時は当番組スタッフもタイでの収録中止を懸念しており、かなり心配そうに見えた。しかし幸運なことに、現地到着以降、我々は街でデモの気配を感じることは全くなく、ホテルで見る現地のニュース番組でも、全くそのような映像は流れなかった。まるで、日本のニュースに映っていた反政府デモの映像は、よその国の話だったかのような、狐につままれた感じであった。さすがは観光立国、観光客にはきな臭いところは一切見せないようにするノウハウがあると見える。

3) 2009年春、シドニー(オーストラリア)
このロケの場合は、政治報道では無かったものの、別の報道の多さで印象に残った。番組ロケ入り当月である2009年2月初旬より、オーストラリア南東部で大規模な山火事が発生。乾燥・高温・強風の三点がそろうこの時期は、元々同国では山火事の報道の多い季節だが、この2009年2月のケースは「230人を超える死者を出し、オーストラリア史上最悪の惨事」とされ、尋常ではない。この山火事の発生場所は主にビクトリア州で、シドニーのあるニューサウスウェールズ州のお隣である。シドニーも一応同国の南東部にあるため、当初の報道では「またロケ中止の危機?」と三度目の冷や汗を流しかけたものの、実際は直線距離がだいぶ離れているようで、予定変更はなかった。この当時は山火事のニュース以外にも、ちょうど公開を控えていたニコール・キッドマン主演映画「オーストラリア」の宣伝スポットが頻繁に流れていたのも、不思議な偶然であった。

ざっと書き出してみても、「大食いロケの渡航先では、渡航直前に必ず何かが起きる」という法則があるようです。これだけのニアミスや偶然に見舞われる番組は珍しいのではないでしょうか。タイのロケが終わる頃、当時の番組総合演出プロデューサー・三沢大助氏がしみじみと言っていた言葉を、今さらながら思い出します。

「この番組には、神様がついているよ、絶対!」

おかげさまで『元祖!大食い王決定戦』は、多少の波風はあれども、何とか5年間無事故で収録・オンエアのサイクルを維持することができました。願わくば、国際政治上の大事件に遭遇するかも分からない波乱含みのスリリングな展開はこのくらいにして、来年以降はもう少し落ち着いた神様についていただきたいものです…などというと、バチが当たるでしょうか。当番組はその性質上、どうにも波乱を呼ぶ宿命にあるようなので、今後も気を抜かずに選手ケアに努めつつ、大食い政治学の勉強も続けたいと思っております。

 

(2007年9月1日、神が宿るといわれたタイでの「胃の休息日」に、バイキングレストランにて撮影を行った際のショット。お茶目な像さんの手前に皿が積まれ、左右には豪華な料理がズラリと並ぶ)

<参考資料>
日刊ベリタ(2007年8月14日):バリで初の鳥フル死者

日刊ベリタ(2007年8月24日):バリで2人目の死者、鳥インフルエンザ

日刊ベリタ:安倍首相がインドネシア原発支援表明

UN News: タイ大統領府包囲 国営放送民営化きっかけに

Wikipedia-オーストラリア

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