大食い政治学(3)…中国メディアに見る日本の政権交代
前回の『元祖!大食い王決定戦』(TV東京)が収録されたマカオ(澳門Macau)は、中国の特別行政区の一つであります。旧ポルトガル植民地である関係で、街のいたるところにポルトガル表示がありますが、基本的には日常会話に使われるのは中国語(広東語)であり、現地新聞も地元テレビ・ラジオも全て中国語です。
2009年8月30日の第45回衆議院議員選挙の前後、私はマカオのホテルでリモコン片手に、各国のメディアの報道を見比べていました。この選挙関連報道を見ていると、言葉は分からなくても、中国系メディアについて確実に指摘できることがありました。それは、「準備の良さ」です。思えば、開票が始まる前から、自民党政治の復習を思わせる過去のVTRがさんざん流れ、まもなく来る日本の政権交代の予習みたいな状況でした。そして、開票が進んで大勢が判明した頃、他局をハシゴしてCCTV(中国中央電視台)に戻ってきた私の目に飛び込んできたのが、下の画面です。

どこかで見たことのある男性だと思ったら、何と、海江田万里さん(左)が生出演中ではありませんか。「民主党創建人之一」とは、「民主党旗揚げメンバーの一人」という感じでしょうか。インタビューは日本語で(おそらく日本で)行われ、その音声の上から、同時通訳の中国語がかぶさっていました。大きすぎる通訳音声のすき間からこぼれてくる日本語を必死に拾いあげたものの、多くは聞き取れませんでした。ただ、(海江田さんのような)よその国の選挙の立候補者を、当選直後というタイミングで生出演させるなどという離れ業は、他の国にはなかなか出来ない(する気もない?)と思われます。「マカオで海江田万里」という思わぬ取り合わせに、「そこまでするか中国!」という驚きと同時に、中国(ないし中国語圏)のこの選挙結果に対する手際や準備の良さを感じずにはいられませんでした。
翌日、これまた言葉も分からないというのに、コンビニで新聞など買ってみました。そして、その中の一つ、香港の新聞「Hong Kong Daily News」に目が止まりました。そこには、若かりし頃の鳩山由紀夫・現首相と幸夫人のツーショット写真がドカーンと載っていました。どうも、二人の新婚時代の写真のようです。鳩山夫妻の写真といえば、最近のものしか見たことはありませんでしたので、大変目を引きました。また、夫人の鳩山幸さんが上海生まれだということも、この記事の本文を読むまでスタッフ一同誰も知りませんでした。どうりで、この夫婦に対して、ひいては民主党に対して、全体的に大変好意的な記事となっていたワケです。
さらに「星島日報」では、民主党の政策について触れている部分に驚かされました。民主党のマニフェストに喧伝された政策といえば、皆さんは何が真っ先に思い浮かぶでしょうか。「天下り根絶」「子ども手当て・高校無料化」「高速道路無料化」「年金制度改革」「郵政見直し」「後期高齢者医療制度廃止」「農家戸別所得補償」あたりでしょうか。
それがここでは、日本の民主党が政権を取った場合に真っ先に実現に動くのは「夫婦別姓法案」だとありました。他の政策のことは一切書かれておらず、私たち日本人なら奇異な印象を受ける記事です。日本のキー局のれっきとした社員であるテレビ東京のプロデューサーに見せても、「えーっ、そうなのぉ~?」と、半信半疑どころか100%疑っており、所詮は海外の報道だとハナから信用していない口調でした。
それから後の展開は、ご存知の通りです。マカオから日本に帰国してからひと月と経たないうちに、選択性夫婦別姓法案に関連する報道が一気に出てきた時、即座にピンときました。マカオでの経験から学んだことは、これは中国側が特大の関心を寄せている法案だということ、日本人が知らされていない情報が海外で先に流されることもあるといったことでしょうか。あらためて、マカオで見た中国(香港)の報道の先見性(インテリジェンス能力?)に驚くと同時に、「大食い政治学」も捨てたものではないと感じた次第でありました。これからも、国内・国外を問わず、当番組ロケで訪れる先では精一杯見聞を広げることに努めたいと思っています。
<参考資料>
Hong Kong daily News (2009年8月31日)
星島日報SING TAO DAILY (2009年8月31日)
民主党マニフェスト
Yahoo!みんなの政治-各政党のマニフェストで実現を望むのは?(民主党)





