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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2009/10/09

アンジェラ・ギャラリー(2)…ネーミング秘話

近年の『元祖!大食い王決定戦』(TV東京)は、5泊6日の本選ロケ(うち4日間が海外)の前日の午前に、最後の一枠を決める敗者復活戦である「最終代表決定戦」を行うスケジュールが定着しています。本選の一ヶ月ほど前に行われる大阪予選および東京予選で次点になった選手が、本選前日に東京に呼びつけられます。ここで勝利をおさめると、同日夕方からの当番組恒例の健康診断にて他の選手と合流し、翌日からの本選ロケに参加します。つまり、敗者復活戦経由の選手は、他の選手よりも一日多く試合をすることになります。

2009年春の女王戦の場合も、本選ロケの前日に最終代表決定戦が行われました。このときの司会は、本選と同じ中村有志さんです。しかし、その一ヶ月前に行われた東京予選の司会は、中村さんではありませんでした。彗星のごとくあらわれて東京第一代表の座をかっさらったノーマークの大型新人のことを、現場で何も知らないのは自分だけ…という状況に焦ったのか、中村さんは私に会うなり真っ先に聞いてきました。

「今度の東京一位の新人さんって、どんな人?」

ここでどう答えるかが、後々の番組の司会に多大な影響を与えるであろうことは、今考えれば当然のことでした。しかし、当時は私もそこまで考えが回っておりませんでした。ありのまま、率直に彼女についてあれこれ説明しましたが、そのときの第一声が、これでした。

「アンジェラ・アキさんみたいな雰囲気の人!」

前日の私の説明が司会者の頭の中でどのように処理されたかは、覗きようもありません。しかし、翌朝スタートした本選ロケで、早々にその答えは出ていました。ロケ初日から中村有志さんはまさに「舌好調」!佐藤綾里さんの「近寄りがたい美貌」と「お笑い芸人のようなギャグ」が同居するキャラクターが、当番組キャリア15年超のベテラン司会者の滑舌にプラスの化学変化をもたらしていることは、現場でもすぐにわかります。彼女には、顔がどうとか身長がどうとかいった個別の事実の寄せ集めを超越した、圧倒的な存在感があり、これまでに登場した誰にもなかったようなオーラを放つ彼女を形容する文脈のなかで、司会者の口をついて何度もでてきたのが「アンジェラ・アキ似」ひいては「アンジェラ佐藤」という表現でした。

この展開に、スタッフは最初のうちは難色を示していました。先方は、事務所もあるタレントです。勝手に名乗って、万一訴えられたりしたら…という懸念でもあったのでしょうか。司会者に対して両手でバッテンを出してみたり、陰で何やら打ち合わせしていましたが、スタッフもついに観念したようです。

司会「ところで、アンジェラって言っちゃって、大丈夫?」
プロデューサー「もうさんざん言っちゃってるし、手遅れでしょう!」(←開き直りの笑顔)

かくして、超美形大型新人・アンジェラ佐藤の誕生となったわけです。ただ、この名前、決して彼女からかけ離れた響きでは無いように思えるのは、私だけでしょうか。「アンジェラ」(Angela)とはそもそも、「アンジェリカ」(Angelica、ドイツではAngelika)の短縮形であります(注)。彼女の本名である「アヤリ」とは、「ア」と「り」が共通です(←逆に「ア」と「リ」しか一緒じゃない!というツッコミが聞こえてきます…)。天使を意味する「エンジェル」(angel)からの派生語である「アンジェリック」(angelic)は「天使のような;愛らしい」という意味で、天然色豊かな彼女にピッタリのような気がします。しかし、「アンジェリカ」にはもう一つ、別の意味があります。

それは、日本では「アンゼリカ」「シシウド」とも呼ばれる、鎮痛薬用植物です。その効能がこれまた傑作なので、引用します:

<アンジェリカ>
学名Angelica archangelica。セリ科の多年草で、茎を料理に、根を薬用に使う。食欲不振や胃けいれん、胃の膨満感などを和らげる作用があり、ドイツでは医薬品として認められている。
(日経BP社「サプリメント辞典」より)

やはり、この名前、彼女のためにあるような名前だと言えないでしょうか?(笑)

「アンジェラ」=「アンジェリカ」=「大食いの救世主」

という構図、どうやら医学界のみならず、大食い界にも共通の公式だった模様です!

以前は「アンジェラだなんて恐れ多いです~!アホンジャラでいいですぅ~」などといっていた佐藤綾里さんも、最近ではアンジェラ・アキさん本人からコンサートチケットが送られてきたりするなど、随分と「アンジェラ度」を増してきたようです。ちなみに、最近総選挙があったばかりのドイツの現在の首相は、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)という女性です。それでも今後、「アンジェラと言えばアンジェラ・佐藤」という時代がやってきたとしても、上記の公式がある限り、誰にも何も遠慮することはないと思いますよ、アンジェラ君!

 

 

(アンジェラ・アキ風のジーンズ姿の佐藤綾里さん(左)と、バイリンガルこと梅村鈴さん(右)。オーストラリア・フェザーデール動物園にて2009年2月28日撮影。その辺をウロウロするカンガルーやエミューは比較的人なつこい。時間帯によっては、コアラを抱かせてもらうことも可能)

(注)「アンジェラ」(Angela)とは、「アンジェリーナ」(Angelina)の短縮系である場合もあり。ただ、アンジェリーナ・ジョリーのように、「アンジー」(Angie)と呼ばれることもある。