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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2009/09/11

大食いとメイク(2)…欧州白人女性のアイメイク

先週掲載のコラムでは、「元祖!大食い王決定戦」(TV東京)の本選および予選を通して浮かび上がってくる大食い選手のメイクの特徴として、以下の三つを挙げました。

1) 濃いアイメイク
2) カラーコンタクトレンズ
3) 濃いチークカラー

そして、これらの三点は大食い選手独特のものではなく、全国津々浦々の日本女性に浸透したメイク方法の共通点であるかもしれないと考えました。

そう感じるのは、私が普段ヨーロッパの女性を目にする機会が多く、現地女性のファッションやメイクと、日本女性のそれらとの違いを日々痛感してきたからなのかもしれません。もっともこれらは、大食い番組に携わるようになったからこそ目に入るようになったことあり、普通の勤務医だった頃には無縁だった世界でもあります。

まず前提として、ヨーロッパはアメリカ同様の「人種のるつぼ」であるという点を確認しておきたいと思います。日本と違い、ヨーロッパには白人もいれば黒人もいますし、アジア人種だけ見ても中国系・韓国系・インド系・中東系など際限がなく、ひいては異人種間の混血など、異なる環境に育った異なる遺伝的素因の人間が共存しています。そして、多様性の豊富な文化においては、美の基準もまた多様なのです。

例えば日本では、「(黒)目が大きくパッチリ」「二重まぶた」「まつ毛が長くてカールしている」などといった、『現代日本版・美の不文律』とでも呼ぶべき独特な審美基準があって、それが女性たちのメイク方法を決定しているように見受けます。ところが海外に出れば、そのようなルールは微塵も感じられません。目が細い人の場合、日本では目を大きく見せるテクニックが多用されるのに対し、欧州ではその目の細さを逆に強調するような流れのあるメイクの方をよく見かけます。また、一重まぶたの人は、二重まぶたの人に比べてアイシャドウが映える(折れ返しが無いためシャドウが隠れない)という利点があり、かえっておしゃれの幅が広がることはあっても、それをコンプレックスにしているという話は聞きません。むしろ、「細目」「一重まぶた」は「黒髪」と並んでアジアン・ビューティーの代名詞のようなものであり、ハリウッドなど世界で活躍する中国系女優などにそのような人が多いのも、『美の多様性』のなせる技であるように思えます。

ちなみに、私の周囲のドイツ女性たちを見渡すと、「アイラインとマスカラと口紅以外は何も塗らない」というケースが圧倒的多数を占めます。もちろん、雑誌の表紙やファッションショーのモデルさんなら、チークカラーを濃く塗ったりアイメイクを派手にしても許されますが、街中をそんな人が歩いていたら、保守的なヨーロッパでは変な目で見られるだけでしょう。また、白人女性のメイク方法を仮に他人種の女性が真似したとしても、顔の造りや特徴が違うため、似合わない可能性が高いです。つまり、個々の人間の特性のバリエーションが大きい社会では、メイク方法も画一的にはなりえないのです。

ここで、「白人女性がアイラインで目を囲み、マスカラをコッテリ塗るのは、濃いメイクのうちに入らないのか?」と言われそうです。しかし、白人女性の"すっぴん”をご覧になったことがある方なら、白人女性にとってのアイラインとマスカラは日本人のそれらとは意味が違うということをご存知のことと思います。白人は、まつ毛の色が薄いのです。特に明るいブロンドの白人の場合、まつ毛も眉毛も金髪になるようです。ドイツの国民的スターでもある元テニス選手のボリス・ベッカーさんの写真が、参考になるかと思います。

参考1) Boris Becker(ATPツアー)

参考2) Boris Becker & Co


渡独当初、ファッションにもメイクにも関心が高いとは言えないドイツ人の同僚女性の面々が、アイラインだけは妙にうるさかったことが思い出されます。人もうらやむ金髪美人も、ノーメイクだと目元がボケた印象になるのが悩みの種のようです。髪に無頓着で、ファンデーションも口紅もろくに持っていない人が、アイライナーだけは5本ぐらい持っていたりしますし、「アイラインとマスカラを塗らなかったら、とても人様にお見せできる顔ではない」などと彼女たちは言うのです。

同時に彼女たちに何度聞かれたことでしょうか。
「髪の黒い東洋人は、まつ毛も黒いから楽なんでしょうね…」
そんなとき、私はどう返答したら良いのか、途方に暮れてしまいます。「上には上がある」と言うべきか、「毒を食らわば皿まで」か…。マスカラという美容アイテムは本来、まつ毛が黒くて目の輪郭が(あくまでも白人に比べてですが)はっきりしている私たちを想定した商品ではなかったのかもしれません。古今東西、美を追求する女性の欲には、上限は無いようです。

同様のことが、実はカラーコンタクトにも言えます。これについては次週あらためて考えてみたいと思います。
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