「オシャレ大食い」の系譜
皆さんは、大食い選手といえばどのようなイメージを持っていますか?思えば、 『元祖!大食い王決定戦』(TV東京)の放送開始から4年半、実にたくさんの大食い選手と出会う機会に恵まれました。年を追うごとにその登場メンバーおよび番組コンセプトはメジャーないしマイナーな変遷を重ねてきました。私自身、この番組に携わるようになってから5年目への突入を迎えようとは、番組開始当初は全く考えてもいませんでしたが、実際にロケを重ねてみると、実にいろいろと興味深い発見がありました。
2005年秋の当番組で本選初出場を果たしたギャル曽根こと曽根菜津子さんは、今や無く子も黙る大手プロダクション所属の全国区タレントであります。かつての『TVチャンピオン大食い選手権』(TV東京)時代からの流れも含めた大食い界全般において、ギャル曽根の登場の最大の功績は何かと聞かれたら、みなさんならどう答えるでしょうか。テレビ関係者であれば、それまでどちらかと言うといささかのB級感の伴う超マニアックで硬派な勝負の世界であった「大食い」を、老人から子供まで、北は北海道から南は沖縄まで、あまねく楽しめるエンタテインメントとして浸透させた点にあると考えるでしょう。実際、彼女の成功以降、他局もこのブームに乗って次々に「大食いコーナー」を設けたりしたものでした。
しかし、少なくとも私が関与した「元祖!大食い王決定戦」を継続的に見る限りでは、別の考え方も成り立ちます。私思うに、ギャル曽根の登場が大食い界にもたらした最大の変化は、「メイク」と「ファッション」でした。人一倍オシャレな彼女がオトコ顔負けの食いっぷりを披露するようになってから、大食い番組の画面から溢れるパワーの中身が一気に変わったように見えます。それまで化粧っ気の乏しかった選手が、この番組出演を契機にオシャレに目覚め、出場を重ねる度に自分に研きをかけていくという現象は、彼女の登場後から顕著になりました。この変化はオンエア映像でも確認可能ですが、実はこれはロケバスの雰囲気の変遷とも直結しています。服にメイクに小物・アクセサリーは、大食いの力量とは本来相関しないはずなのに、オシャレ度の競争と大食い選手の力量アップは、まるで正比例の関係にありました。そして、2007年春の女王戦のファイナリストであり、大食いタレントとして活躍中のエステ三宅こと三宅智子さんから、本年春の新人として本選準決勝進出の快挙を成し遂げた果たしたアンジェラ佐藤こと佐藤綾里さんへと受け継がれた、「超が三つ四つつく正統派美人」の系譜は、方向性を模索する番組にとっては決定打となったかもしれません。(→Eating Beauty!!三宅智子の魅力(1))
女性が美しくなること自体を歓迎しない社会は無いでしょう。本来、女性にとってのオシャレとは、幸せをつかもうとするアクションであるはずです。美の希求そのものが楽しさと幸せをもたらさないのなら、この世の化粧品業界も美容院もアパレルも商売にならないでしょう。実際、ロケに参加する選手はとても楽しそうですし、彼女たちの幸せそうな顔を見るのもまた、私の楽しみでもあります。
ただ、海外で生活していると、違う考え方も色々浮かんできます。来週から、そのあたりについて段階的に説明してみたいと思います。
(2009年2月28日、オーストラリア・シドニーにて。左から筆者、正司優子さん、梅村鈴さん、現地コーディネーター・ダグラスさん、佐藤綾里さん。選手たちはファッションモデルのようにオシャレで、しかも小顔揃いであり、一緒に写真に入るのにはかなり勇気が必要…)






