2009/07/03
大食いの資質・番外編(Ⅰ)…体脂肪は断熱材?
「元祖!大食い王決定戦」(TV東京)では毎年、春と秋の本選の合間に、大食い界の未来のホープを求めて地方を巡る新人発掘戦が行われます。今年もまた、5月末及び六月上旬に福島・岐阜・広島・熊本を巡って地方予選を開催し、6月13日には東京決戦(新人王決定戦)を無事に終了し、今年の新人王が決定いたしました。例年なら、この地方予選および東京決戦の模様は、日曜の昼間などにひっそり(?)と地味に放送されていましたが、今年は何とこの番組、ゴールデンタイムに昇格だそうです。2009年7月7日の七夕様の夕刻は是非、「元祖!大食い王決定戦 2009年夏 新人戦(仮)」を皆様でお楽しみ下さい。
ネタバレになるため具体的なエピソードは後日に譲りますが、今回の新人戦の第一のキーワードは「体脂肪」でした。脂肪といえば、メタボ健診では槍玉に挙げられ、ダイエットに励むうら若き乙女には目の敵にされています。ところが、そんな脂肪組織にも一応役割はあり、その一つは「断熱性による体温保持」です(→「ワキバラにカイロ」の医学的根拠)。厳しい寒さの屋外に薄着で放り出された場合、皮下脂肪のコート(外套)にある程度の厚みがないと、なかなか体温を保持できずに体調不良に陥ることは、誰もが容易に想像できると思います。
しかし、さらに大事なことがあります。それは、体脂肪が保温材であるのみならず、保冷材でもあるということです。このことは、医学的には常識であるにもかかわらず、世間的にはあまり語られていないようです。
しかし、当番組には象徴的な事例がありました。2008年秋の「元祖!大食い王決定戦」(男女混合戦)にて、超細身の金髪青年であった驚異の新人・木下智弘さんが、その抜群の前評判にも関わらず、三回戦であっけなくドクターストップ敗退となった一件です。体外からは強い日差しとテラスからの照り返し、そして体内からは猛烈にアツアツの「あんかけチャーハン」という、熱波の挟み撃ち状態に身を晒(さら)され、参加選手の中でも際立って体脂肪率が低かった彼は、まさにその「身体の保冷材」の絶対的不足から来る熱射病症状により、箸を置く事態となりました。この光景は、「体脂肪」に裏打ちされた「体力」もまた、大食いの資質の一つであるということを、スタッフ一同の目や脳に強く深く印象づけたのです。
この地球に暮らす人間の皮下脂肪の量は個人差があるだけでなく、民族差や地域差、国家間の差も存在します。ここで、2007年WHO発表の世界各国の肥満度のランキングを一例として挙げたいと思います:
「World’s Fattest Countries」
ここでは、BMI(Body Mass Index)≧25という肥満・過体重の国民の比率が高い順に、194カ国がランク付けられています。このランキングを見ると、1位がナウル、2位ミクロネシア、3位クック諸島…というように、ポリネシア・ミクロネシア系の南太平洋の島国がトップ7を独占しています。また、カリブ海の国々(ドミニカ11位、バルバドス12位、トリニダードトバゴ20位)や北アフリカ(エジプト14位)など、赤道に比較的近い熱帯・亜熱帯諸国が上位を占めていることも目につきます。ポリネシア・ミクロネシア系といえば、私の頭に真っ先に浮かぶのは小錦・曙・武蔵丸といった元・力士の方々です。しかし、彼らに限らず、ポリネシア・ミクロネシア系住民は元々体格が大柄な人が多いことで知られており、それは赤道直下の猛暑のみならず、意外に寒暖差の大きいとされる気候に対して、身にまとう断熱材の量の多い人間の方が適応しやすいため…という考え方もできます。ただし、国家の経済力のほか、文明化に伴う食生活の変化や運動不足といった、現代社会が宿命的に抱える別の側面もまた、無視できない重要因子であることは言うまでもありません。
ちなみに、このランキングにおいて、肥満大国と騒がれるアメリカは9位(74.1%)です。また、上位50カ国のうち寒冷地国家を書き出すと、ベラルーシ22位(66.8%)、イギリス28位(63.8%)、モンゴル34%(61.2%)、カナダ35位(61.1%)、アイスランド40位(60.4%)、ドイツ43位(60.1%)、フィンランド48位(58.7%)となります。
それに対し、われらが日本は163位(22.6%)、インド176位(16.0%)、インドネシア175位(16.2%)、フィリピン155位(25.2%)、中国148位(28.9%)、タイ144位(31.6%)、韓国が123位(42%)など、東アジア・東南アジアの国は肥満度が低い国のオンパレードです。その中でも、世界第2位の経済大国といわれ、世界に類を見ない「大食い」「デカ盛り」などの(飽)食文化を有する日本の、そのランクの低さは際立っています。その理由としては、色々と原因が挙げられるかとは思いますが、それについては別の機会に考えてみたいと思います。
なお、日本における住宅用断熱材のシェアは、グラスウール、ロックウール、ビーズ法ポリスチレンフォーム、押し出し法ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォームの順となっているようです。とすると、体脂肪率の極端に低い大食い選手は、硝子繊維やポリスチレン・ウレタンフォームなどで作った衣装に身を包んで参加したら、躍進が期待できるかもしれませんね。
(大食いの資質・番外編は不定期連載です)
<参考資料>
Forbes.com「World’s Fattest Countries」
日本保温保冷工業協会ホームページ 「保温・保冷とは」
硝子繊維協会ホームページ「断熱材対決」
ネタバレになるため具体的なエピソードは後日に譲りますが、今回の新人戦の第一のキーワードは「体脂肪」でした。脂肪といえば、メタボ健診では槍玉に挙げられ、ダイエットに励むうら若き乙女には目の敵にされています。ところが、そんな脂肪組織にも一応役割はあり、その一つは「断熱性による体温保持」です(→「ワキバラにカイロ」の医学的根拠)。厳しい寒さの屋外に薄着で放り出された場合、皮下脂肪のコート(外套)にある程度の厚みがないと、なかなか体温を保持できずに体調不良に陥ることは、誰もが容易に想像できると思います。
しかし、さらに大事なことがあります。それは、体脂肪が保温材であるのみならず、保冷材でもあるということです。このことは、医学的には常識であるにもかかわらず、世間的にはあまり語られていないようです。
しかし、当番組には象徴的な事例がありました。2008年秋の「元祖!大食い王決定戦」(男女混合戦)にて、超細身の金髪青年であった驚異の新人・木下智弘さんが、その抜群の前評判にも関わらず、三回戦であっけなくドクターストップ敗退となった一件です。体外からは強い日差しとテラスからの照り返し、そして体内からは猛烈にアツアツの「あんかけチャーハン」という、熱波の挟み撃ち状態に身を晒(さら)され、参加選手の中でも際立って体脂肪率が低かった彼は、まさにその「身体の保冷材」の絶対的不足から来る熱射病症状により、箸を置く事態となりました。この光景は、「体脂肪」に裏打ちされた「体力」もまた、大食いの資質の一つであるということを、スタッフ一同の目や脳に強く深く印象づけたのです。
この地球に暮らす人間の皮下脂肪の量は個人差があるだけでなく、民族差や地域差、国家間の差も存在します。ここで、2007年WHO発表の世界各国の肥満度のランキングを一例として挙げたいと思います:
「World’s Fattest Countries」
ここでは、BMI(Body Mass Index)≧25という肥満・過体重の国民の比率が高い順に、194カ国がランク付けられています。このランキングを見ると、1位がナウル、2位ミクロネシア、3位クック諸島…というように、ポリネシア・ミクロネシア系の南太平洋の島国がトップ7を独占しています。また、カリブ海の国々(ドミニカ11位、バルバドス12位、トリニダードトバゴ20位)や北アフリカ(エジプト14位)など、赤道に比較的近い熱帯・亜熱帯諸国が上位を占めていることも目につきます。ポリネシア・ミクロネシア系といえば、私の頭に真っ先に浮かぶのは小錦・曙・武蔵丸といった元・力士の方々です。しかし、彼らに限らず、ポリネシア・ミクロネシア系住民は元々体格が大柄な人が多いことで知られており、それは赤道直下の猛暑のみならず、意外に寒暖差の大きいとされる気候に対して、身にまとう断熱材の量の多い人間の方が適応しやすいため…という考え方もできます。ただし、国家の経済力のほか、文明化に伴う食生活の変化や運動不足といった、現代社会が宿命的に抱える別の側面もまた、無視できない重要因子であることは言うまでもありません。
ちなみに、このランキングにおいて、肥満大国と騒がれるアメリカは9位(74.1%)です。また、上位50カ国のうち寒冷地国家を書き出すと、ベラルーシ22位(66.8%)、イギリス28位(63.8%)、モンゴル34%(61.2%)、カナダ35位(61.1%)、アイスランド40位(60.4%)、ドイツ43位(60.1%)、フィンランド48位(58.7%)となります。
それに対し、われらが日本は163位(22.6%)、インド176位(16.0%)、インドネシア175位(16.2%)、フィリピン155位(25.2%)、中国148位(28.9%)、タイ144位(31.6%)、韓国が123位(42%)など、東アジア・東南アジアの国は肥満度が低い国のオンパレードです。その中でも、世界第2位の経済大国といわれ、世界に類を見ない「大食い」「デカ盛り」などの(飽)食文化を有する日本の、そのランクの低さは際立っています。その理由としては、色々と原因が挙げられるかとは思いますが、それについては別の機会に考えてみたいと思います。
なお、日本における住宅用断熱材のシェアは、グラスウール、ロックウール、ビーズ法ポリスチレンフォーム、押し出し法ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォームの順となっているようです。とすると、体脂肪率の極端に低い大食い選手は、硝子繊維やポリスチレン・ウレタンフォームなどで作った衣装に身を包んで参加したら、躍進が期待できるかもしれませんね。
(大食いの資質・番外編は不定期連載です)
<参考資料>
Forbes.com「World’s Fattest Countries」
日本保温保冷工業協会ホームページ 「保温・保冷とは」
硝子繊維協会ホームページ「断熱材対決」





