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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2009/06/05

大食いロケの必需品・・・使い捨てカイロはどこに貼る?

先週は、第81回選抜高等学校野球大会を襲った強烈な寒波と、それが東北勢の躍進に繋がった可能性について取り上げました。その際、大食いグッズから転用したドイツ・サニタス社製の体温計が明らかにしてくれたのは、今年の春のセンバツ大会が例年にも増して寒い大会だったということでした。しかし、それを言うなら、われらが「元祖!大食い王決定戦」(TV東京)のロケも、常に寒さとの戦いです。ということで、今週は、甲子園と大食いロケの経験から掴んだ、カイロの貼り方について考えてみたいと思います。

当番組の国内ロケは、春は2月下旬頃、秋は9月下旬頃行われ、その会場の多くは風の冷たい屋外です。そして、その参加者である大食い選手は、程度の差こそあれ、体脂肪率の非常に低い人たちが多くを占め、皆さん寒さには弱いようです。 (→徹底検証?! 大食いの資質(4)・・・胃ヂカラ・体脂肪率編)。従って、当番組の若手ADさんたちは、寒がりの選手たちに快く試合に専念してもらおうと、行く先々でコンビニやドラッグストアを駆けずり回りながら、使い捨てカイロの大量買い出しに追われています。そんな彼らの献身的な姿に、いつもながら頭が下がる想いであります。

そんな大食いロケの必需品・使い捨てカイロですが、体のどこに貼るのが一番効果的なのか、みなさんは考えたことがありますか?ざっとネット検索した感じでは、

案1.) おなかに貼る
案2.) 腰に貼る
案3.) 首に貼る
案4.) 背中・手足に貼る

という説が主流のようです。

これを全部実践したら、「全身タイツ男」ならぬ「全身カイロ人間」になってしまいそうですが、それぞれが様々な立場からのコメントです。例えば、一般論としての寒さ対策を論じる方は、体の中心としての体幹(いわゆる胴体)に貼ることを推奨し、その中でも「おなか・腰」といった下腹部周りを挙げる事が多いようです(背中の場合は「肩甲骨の間」という表現が多い)。それは、生命の維持に必要な主要臓器が体幹に集中していることとからも、何となく理解できるところです。

ちなみに、東洋医学で言う五臓六腑も、全て体幹ですね。さらに、寒さよりも「神経痛対策としての疼痛緩和」を主眼に置いた書き手は、「腰」「背中」「首(後頚部)」といった、脊髄の走行部位に沿って暖める方法を推奨する傾向にあるようです。中には、「手首・足首などの関節からは熱が逃げやすいので、そこに貼る」とする意見もありました。要するに、人と場合によりけりで、決まった解答は無いようです。

ちなみに、当番組のチーフプロデューサー(男性)はこのような説を述べておりました。

「(カイロは)好きなだけ使っていいから、全身どこにでも貼っちゃって!ちなみに、ボクが自分の経験からオススメするのは、胸から肩口にかけてのあたり。襟のすぐ下ともいうのかな。この辺って意外と熱が逃げるからさっ・・・!」

確かに、プロデューサーやスタッフ、そして私のように、実際に大食い競技をしない身であれば、「全身カイロ人間」でもオッケーでしょうし、実際にプロデューサー直伝の「肩口」も、やってみたら確かに効果はありました。しかし、選手の場合は、我々スタッフと同じ発想ではダメなのです。なぜなら、「食材の温度」という最重要ファクターがあるからです。

前回3月29日オンエアの当番組、「元祖!大食い王決定戦inシドニー」の国内での屋外ロケは、一回戦が湯豆腐30分(神奈川・伊勢原阿夫利神社境内)、二回戦が鉄板餃子45分(神奈川・横浜万国橋駐車場)で、ともに2月26日に行われました。(三回戦は屋内開催でした)

一回戦の会場は、マイナスイオンが充満していそうな、冷気に包まれた山深い神社の境内で行われました。「湯豆腐」は競技開始時こそ人肌程度の温度だったものの、5℃という気温のため、待機中にどんどん冷めていき、「冷奴の大食い」とまではいかないとしても、その大食いによって選手の体温が奪われていくこともまた、競技に折り込み済みのシビアなファクターでした。このため、選手はあちこちにカイロを仕込み、ひざに毛布をかけて試合に臨むのです。この光景は、かつての「キュウリ」「バナナ」などの試合を連想させます。大食い選手の胃は(横隔膜以下の)胴体を大きく占めるほどに拡張することから考えても、体幹深くの大動脈や主要臓器をガンガン冷やす食材の大食いに際しては、腹部・腰部などの腰周りに多量の加熱体を仕込むことは有効だとみて良いでしょう。

他方で二回戦は、試合開始からずっと、食材は保温性の高いアツアツの鉄板に乗って運ばれ、体は内部からガンガン温められます。このような、後半になってもさほど食材温が下がらない試合の場合、あまりカイロを貼りすぎると、後々かえって熱中症の原因になることがあり、注意が必要です。私が試合中に食材の温度を測る必要性を感じた事情は、このあたりにもあります(→大食いドクターのカバンの中身(10)・・・スリー・イン・ワン温度計in シドニー)。従って、試合前の寒さを基準にカイロを仕込んだ選手も、食材次第では、競技の進行に合わせてカイロを剥がして投げ捨てる・・・そんなケースもこれまでに何度かありました。ところが、「サングラスを投げ捨ててラストスパート」というのはサマになるのですが、「使い捨てカイロを投げ捨てて・・・」という光景はイマイチ絵にならないようで、オンエアには使ってもらえません。ただし、暑さ対策に関しては、氷水を飲むとか、冷やしたタオルを首にかける、ひいては頭から水をかけるなど、体を冷やす方法がいくらでもあるので、まだ対処しやすいかもしれません。

来週は、効率的なカイロの貼り方について、少し角度を変えて掘り下げてみましょう。

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