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金曜日

Dr.片山晴子

高校野球取材や大食い番組等のメディア出演を行う東京大学医学部医学科卒の脳神経外科認定専門医の医学博士。ドイツ在住。
2009/05/22

「センバツは寒冷地が有利?」・・・ スリー・イン・ワン温度計in甲子園(前)

さて、これまでは、「体温」「物体・液体温」「気温」の3種類の温度を測定するドイツ製のスリー・イン・ワン体温計が、大食い番組「元祖!大食い王決定戦」(TV東京)のロケにどのように役に立ったかを説明しました。今週は、この体温計が野球観戦にも役立った一例として、今年の春の選抜大会を挙げたいと思います。

第81回選抜高等学校野球大会(毎日新聞社主催)は、例年よりもやや早い2009年3月21日(土)に開幕しました。実はこの「3月21日」は、センバツ史上最も早い開幕日でした。おそらく、客の入りが格段に違う土曜・日曜に開幕を合わせ、この時期に比較的多い雨天順延を計算に入れた上で、翌月の新学期開始に被ることのないように、という配慮の結果と思われます。また、3月23日に決勝を迎え、日本の2連覇で幕を閉じたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)との兼ね合いも、この配慮に影響した可能性大です。

「史上最も早いセンバツ」が甲子園にもたらした最大の副産物・・・それは、ドイツの厳冬にも引けをとらない、強烈な寒さでした。大会初日から、気温の低さもさながら、風の冷たさが半端でなかったため、急遽私は駅前のダイエーに駆け込み、使い捨てカイロを大量に買いこんで体に貼りまくる羽目になりました。

そんな大会には、やはりそんな気候に見合った特徴がありました。それは、冬の寒さが厳しい地区のチームが勝つ
・・・という「寒冷地有利の法則」でした。

今春のベスト4入りのチームは、「清峰(長崎・佐々町)」「花巻東(岩手・花巻市)」「報徳学園(兵庫・西宮市)」「利府(宮城・利府町)」でした。ベスト4に東北勢が2校入っていること自体が、その何よりの証明なのかもしれません。さらに東北地区以外では、優勝候補の慶応(神奈川・横浜市)を初戦で圧倒した開星(島根・松江市)、優勝校・清峰に惜敗の福知山商(京都・福知山市)なども、冬の厳しさで有名な地区のチームです。前評判の高かった光星学院(青森・八戸市)の初戦敗退や、準優勝の花巻東が初戦の対戦相手だった鵡川(北海道・むかわ町)などのように、例外はあります。また、「寒冷地」の定義も確定したものはありません。それでも、沖縄や鹿児島といった「非寒冷地」が立て続けに敗退するのを見るにつけ、私はこの大会を「寒さ」と結びつけるようになっていきました。

この「寒冷地有利の法則」を強く印象づけたのは、今大会の第5日及び第6日でした。第5日の第一試合は、富山商(富山・富山市)が興南(沖縄・那覇市)を延長10回の末、2-0の大接戦で辛くも振り切りました。第6日の第一試合「利府(宮城)vs.掛川西(静岡・掛川市)」は利府の圧勝に終わり、以後の利府の快進撃の口火となりました。両試合とも朝イチの試合だっただけに、陽射しこそあったものの、その気温の低さと風の冷たさは、まるで頬に剣山を突き立てているようでした。この寒さが富山商や利府に微笑んだのでしょうか
・・・これを検証するためには、この寒さを数値化しなくてはなりません。そこでひらめいたのが、大食いロケの必需品としてシドニーでも活躍したスリー・イン・ワン温度計(→大食いドクターのカバンの中身(10)…スリー・イン・ワン温度計inシドニー)でした。かくして、大会第7日目となる2009年3月28日、この温度計はついに甲子園の野球観戦グッズの仲間入りを果たしました。

シドニーに引き続き甲子園でも、この温度計により興味深いデータが得られました。それについては、来週まとめたいと思います。